高等学校商業 経済活動と法/不動産の売買
登記
[編集]不動産の登記
[編集]「登記」(とうき)とは、法務局(ほうむきょく)などの役所にある「登記簿」(とうきぼ)という帳簿に、ある不動産などの所有権者を登録することである。不動産の登記によって、誰がその不動産を所有してるか、などを裁判などのさいに第三者に対して証明できる。
なお、(不動産ではないが)株式会社など法人の設立のさいにも、登記が必要になる。法人登記を申請(しんせい)する場所も、法務局などである。
本ページでは、以降、とくに断り書きのないかぎり、不動産登記について説明する。
不動産登記法という法律では、この登記簿を管轄する役所のことを「登記所」と呼んでいる。実際には、法務局または地方法務局、またはその支局、派出所が、登記簿を管轄している。要するに、法務局が登記所であると思ってよい。
また、登記簿の内容は、公示(こうじ)される。
土地の登記と、建物の登記は、それぞれ別の登記簿が扱っている。これは、不動産登記法の定めにより、土地の登記と建物の登記を、別々にあつかっているのである。(不登34,44) 土地の登記をあつかう登記簿が土地登記簿である。建物の登記をあつかう登記簿が、建物登記簿である。
不動産の所有をめぐる裁判では、登記が、その不動産の所有者についての重大な証拠になるので、売買などによって権利が変更したら、速やかに登記する必要がある。 なので、もし土地や建物などの不動産を売買したら、すぐに法務局などに行って、登記をするべきである。
所有権の移転の時期
[編集]不動産の所有権は、法律では原則として、売買が成立したときに所有権が移転する。(民176) しかし、当事者どうしの特約によって、代金支払いのときに所有権が移転する、とか、登記の完了で所有権が移転する、などの特約を売買契約につける事も、実際の売買では多い。このような特約のついた売買の場合、その特約にしたがって、その時に所有権が移転する。
対抗要件
[編集]登記は、買い主・売り主以外の第三者に対して主張(対抗)するには、登記をしなければならない。(民177) 登記についての、このような性質のことを対抗要件(たいこう ようけん)という。 登記は第三者に対抗するための証明であるので 、買い主または売り主に対しては、登記は証明力を持たない。
右の図のように、売り主Aが、ひとつの土地を、BとCに二重に売買してしまった(二重売買)としよう。
右の図で分かるように、土地の二重売買では、登記を済ませた側(つまりC)の人物に所有権が移り、土地を優先的に買える権利がある。
たとえ、Bのほうが代金を先にAに支払っていても、Bが登記をしていなければ、BはCに対しては対抗できない。
いっぽう、Bは二重売買をした売り主Aに対して、損害の賠償を請求できる。
- ※ なお、高校レベルでは売買の当事者について「買い主」「売り主」のように送り仮名をつけて検定教科書でも記載されているが、しかし法律書などの表記では、不動産売買に限らず「買主」(かいぬし)または「売主」(うりぬし)のように、送り仮名をつけないで表記するのが一般的である。
- おそらくだが、動詞句「買い」「売り」と、名詞の修飾との区別をしやすくするためだろう。(英語でいうところの動名詞のような用法だろう。)
※未記述
[編集]- ・ 仮登記 -
- ・ 保存登記 -
- ・ 移転登記 -
- ・ 登記のオンライン化について
(※ 以上の用語等は、実教出版の教科書に説明あり。)