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高等学校商業 経済活動と法/手形

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

約束手形

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約束手形の記載事項には、必要的記載事項と有益的記載事項がある。

必要的記載事項

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必要的記載事項とは、それが手形に書かれていないと原則として手形としての効力が認められなくなる事項である。(手76)

次の事項が、必要的記載事項である。(手75)

  • 約束手形文句

約束手形であることを示す文言のことを「約束手形文句」という。

統一手形用紙には「上記金額をあなたまたはあなたの指図人へこの約束手形と引替えにお支払いいたします」とある。この文言が、約束手形文句にあたる。

  • 手形金額

手形金額は、確定した金額でなければならない。(手75 II)

  • 支払い約束文句

手形金額を支払う旨を約束する文句のことを「支払い約束文句」という。統一手形用紙では「上記金額をあなたまたはあなたの指図人へこの約束手形と引替えにお支払いいたします」の文言が、支払い約束文句でもある。

  • 満期の表示

手形金額が支払われるべき期日。


  • 支払地

支払いが行われる地のこと。最小行政区画(市町村。東京23区の場合は区)まで書く。

支払い地の記載が無い場合、振出地か、振出人の肩書地の記載があれば、それが支払地とみなされる。(手76 (3)(4) )

(※ 範囲外: ) 判例では、支払地が最小行政区画でなくても、たとえば「東京都」だけの記載でも、手形が有効とされる場合がある。(東京地判・昭和32・2・11) しかし、危険であるので、最小行政区画まで記載することを、心がけるべきである。
  • 受取人

「受取人」とは、手形金額の支払いを受け取るべき者のことである。

  • 振出日

「振出日」とは、手形が振り出された日として記載されている日のことである。実際に振り出された日と一致しなくてもよく、過去の日付(後日付(あとひづけ) )または未来の日付(前日付(まえひづけ) )でもよい。

  • 振出地
  • 振出人の署名

振出人は、自分の名前を手書きで署名するか、記名捺印しなければならない。(手78)


まとめ

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必要的記載事項は以下の通り。

  • 約束手形文句
  • 手形金額
  • 支払い約束文句
  • 満期の表示
  • 支払い地
  • 受取人
  • 振出日
  • 振出地
  • 振出人の署名

その他の記載事項

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有益的記載事項

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有益的記載事項とは、記載をしなくてもかまわないが、記載すると、その内容に応じた法律的効力が発生する事項のことである。有益的記載事項のことを「任意的記載事項」ともいう。

支払い場所の記載は、有益的記載事項である。

統一手形用紙では、「支払場所」として銀行店舗名が記載されている。

有害的記載事項

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有害的記載事項を記載すると、その手形が無効になってしまう。

手形に分割払いの記載をすると、その手形は無効になってしまう。(手77 (1) II 、33(2) )

他にも、支払いに条件をつけたりすると、手形が無効になってしまう。


白地手形

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(白地手形は「しらじ てがた」と読む)

振出人が必要的記載事項一部または全部を記載していない手形を振り出すと、そのままでは手形は無効であるが、所持人などが必要的記載事項を補充したら、その手形は有効になる。

必要的記載事項が記載されないで振り出された手形のことを白地手形(しらじ てがた)という。(手77 (2))


このように法律上は白地手形は(結果的に)有効になるが、しかし、白地手形の振り出しは、どういった内容の補充がされるか振出人には決められないので、白地手形の振り出しには注意が必要である。

約束手形の裏書

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手形の権利を譲渡するには、原則として、手形の裏面に所定の事項を記載して署名する必要があり、この行為のことを裏書という。

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裏書の方式には、記名式裏書と、白地式裏書がある。

(※ 記名式裏書と白地式裏書の図を挿入してください)

被裏書人を指定するのが記名式裏書である。・

被裏書人を指定せずに裏書人が署名するのが白地式裏書である。


裏書によって、手形上のいっさいの権利が、裏書人から被裏書人に移転する。(手77 (1) I, 14 (1) ) これを裏書の権利移転的効力という。

手形取得者を保護するため、この権利移転効力は特に強化されている。


振出人Aと受取人Bに商品の代金として手形を振り出したが、Bが商品を引き渡さなかったので、AとBとの売買が無効になっても、Bから被裏書人Cに手形が譲渡され裏書がされれば、AはCからの手形代金の請求に拒絶できなくなる。このような現象を人的抗弁の切断という。(手17)

ただし、Cが、A・B間に人的抗弁が付着している事を知っている場合(いわゆる「悪意」の場合)は、AはCからの請求を拒絶できる。これを悪意の抗弁という。(手77)


なお、もしCが、A・B間に人的抗弁が付着の事情を知らないとして、さらにCからDに手形が譲渡され裏書された場合は、DはAに手形代金を請求できる。AはDからの手形代金の請求を、拒絶できない。これも、人的抗弁の切断である。

(※ 「人的抗弁の切断」があるのは、そうすることによって、手形の、証券としての流通価値が、より確実になるから。)

物的抗弁と人的抗弁

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前節の例のように、特定の人物のみに主張できる抗弁を人的抗弁という。人的抗弁は、手形の裏書のより、切断される。

いっぽう、すべての所持人に主張できる抗弁のことを物的抗弁という。手形の偽造・変造などは、すべての所持人に主張できる抗弁である。

手形の偽造・変造、無権代理、行為能力の制限、などが物的抗弁である。物的抗弁は、裏書によっても切断されない。


担保的効力

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裏書人は、裏書により、その後の被裏書人およびその後の手形所持人に対して、支払いを担保しなければならず、もし振出人が支払いをしない場合には、裏書人がかわりに支払う義務をもつ。(手77 (1)I, 15(1) )これを裏書の担保的効力という。

資格授与的効力

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手形が紛失・盗難にあった場合

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手形が紛失・盗難にあった場合、簡易裁判所に公示催告(こうじ さいこく)の申し立てをする必要がある。

公示催告は、手形を無効にするために、裁判所が手形の所持者などからの申し立てを一定の期間だけ聞く制度である。

そして、公示催告の後などに、裁判所がその手形を法的に無効化することを除権決定(じょけん けってい)という。(非訟事件手続法114〜118)

※ 範囲外: 公示催告は、官報や、裁判所の掲示板などで「次の手形の所持人は,〇〇月△△日までに,申述すると共に手形を提出すること。申述および提出がない場合には,その手形の無効を宣言することがある。」といった内容の公告が行う。

もし公示催告の期間内に、手形所持人からの届け出がないと、除権決定がくだされ、その手形が無効になる。