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高等学校商業 経済活動と法/権利と義務

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

権利と義務

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権利と義務の意義

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民法第1条「私権は、公共の福祉に適合しなければならない。権利の行使及び義務の履行(りこう)は、信義に従い誠実に行わなければならない。権利の濫用は、これを許さない。」と定めている

権利の限界

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権利の濫用

宇奈月温泉事件

(※ 代表的な判例なので、覚えること。)

権利・義務の主体と、権利能力

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権利・義務の主体

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仮に、生き物でない石コロなどに、権利や義務を与えても、法律的になんの役立たない。つまり、石コロは、権利をもつ資格が無く、義務をおう資格も無い。

権利をもったり、義務を負ったりする資格をもつ者のことを、権利・義務の主体という。そして、権利・義務の主体になることのできる資格を権利能力という。

私たちのような実在の生きている人間の個人個人は、権利義務の主体になりうる。 私達のような実在の人間の他にも、会社や協同組合・学校などの組織も、権利・義務の主体になってもいい法律になっている。

一方、イヌやネコは権利能力をもてないし、権利・義務の主体にもなれない。(※参考文献: 実教出版『経済活動と法』、森島昭夫、平成25年検定版、15ページ傍注。 参考文献:有斐閣『民法 総則・物件 第5版』山野目章夫、2013年第5版2刷、28ページ。)

会社や協同組合などを、契約などの権利・義務の概念から見た場合、法人(ほうじん)という。

一方、生きている人間の個人個人のことを自然人(しぜんじん)という。

日本の民法で単に「人」と言った場合、自然人と法人との両方を含む場合もあるが、単に自然人のみを言う場合もあるので、どちらの意味で持ちているか注意が必要である。

外国人に対しても、権利能力は原則として平等に認められている。(民3 (2) )(←※民法第3条の2項めの事。このような場合、法学書では一般には 民3② のように書かれるが、Wikibooks当記事では、コンピューターによる文字化けのリスクのため、書き方を変えることにする。)(※ 外国人の権利能力についても検定教科書の範囲内。)

なお、法人には、選挙権や相続権は無い。(※ 石原豊昭『法律トラブルを解決するなら この一冊』、自由国民社、2013年 第3版、126ページ)選挙権を持てるのは自然人だけであり、さらに法律の定める有権者としての資格を満す必要がある。

自然人の権利能力

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自然人は、出生(しゅっしょう)したときに権利能力を取得する。(←民法3条より) つまり、自然人は、生まれたときから、権利能力を持っており、うまれたばかりの赤ちゃんでも権利能力を持っている。

このような決まりがあるため、赤ちゃんの父母が死んだ時、赤ちゃんは法の定めに従って財産を相続できる。 また、赤ちゃんでも、法律的には物を所有したり、財産を所有したり、土地を所有できる。

自然人の権利能力の取得時期を、「権利能力の始期(しき)」という。まとめると、自然人の権利能力の始期は、出生のときである。

そして、人(自然人)が死ぬと、その人の権利能力も無くなる。人の権利能力の終わりのとき(終期(しゅうき) )は、その人の死亡のときである。


  • 胎児の例外

胎児(たいじ)とは、まだ生まれる前の赤ちゃんで、母親のお腹の中にいる状態の赤ちゃんである。仮に父親が交通事故などで死んだ場合を考えると、もし原則どおりに権利能力の始期が出生からだとすると、胎児である赤ちゃんは、仮にのちに生きて生まれても、その赤ちゃんは父親の財産を相続できなくなってしまう。

そこで、例外的に胎児であっても、親の財産の相続に関しては、その胎児が後に(のちに)生きて生まれることを条件に、法律上では、胎児はすでに生きて生まれた人として扱う。(民886) 同様の理由で、損害賠償についても、胎児は、すでに生きて生まれた者として扱う。(民721)

まとめると、日本の民法など法律上では、胎児は、相続と損害賠償については、生きて生まれることを条件に、すでに生まれたものと見なしている。

  • (※ 範囲外: )

刑法と民法とで、人の始期の決まりかたが違う。

失踪宣告

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長年、消息が途絶えていたり、長年の行方不明などで、生死がハッキリしない場合、このような状態を失踪(しっそう)という。一定の期間を越えた失踪は、すでに死んだものとして扱う。

もし、そういう制度が無いと、仮に、その行方不明者がお金の貸し借りをしていた場合、家族などは本人がいないため、それを解決できなくなるという恐れがある。

海難事故や戦災による失踪の場合、1年で死亡として扱う。なお、海難事故や戦災などによる、特に危険な出来事による失踪のことを特別失踪という。つまり、民法では、特別失踪は、1年間の生死不明で死亡として扱う。

いっぽう、それ以外の失踪(「普通失踪」という)の場合、7年間の生死不明で死亡として扱う。(民31)

これらの期間(普通失踪なら7年、特別失踪なら1年)の経過によって、家族などが家庭裁判所などに行方不明者の失踪宣告をしてもらう申し立てが可能になり、そして、行方不明者が法律上の死亡として扱われる。 そして、失踪宣告により、すでに死亡したと扱われるので、相続が始まる。

長年の行方不明だったために死亡として処理された者が、のちに生きて帰って来た場合、失踪宣告が取り消される。(民32) しかし、すでに相続によって財産が移動してしまった場合、もし家族が失踪者の生存を知らずに相続を行った場合(このような場合を「善意」の場合、などという)なら、移動してしまったぶんの財産を戻すことはできない。(※ 範囲外)(※ 参考文献: 有斐閣『基本民法 I』大村敦志、第3版、平成23年、183ページ.)

自然人の行為能力と制限行為能力者制度

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