高等学校地理B/地誌 アングロアメリカ

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地形[編集]

北東部にはカナダ楯状地が広がる。 カナダ楯状地の南側あたりに、中央平原が広がる。

中央平原は、構造平野である。

カナダ楯状地のラブラドル高原からは鉄鉱石が産出される。

西部のロッキー山脈は新期造山帯のため、周辺では地震が発生する。また、ロッキー山脈は環太平洋造山帯の一部である。また、カリフォルニア州あたりにあるサンアンドレアス断層は、プレートのずれる境界にあたり、地震が多い。

また、ロッキー山脈は比較的に険しい山脈である。

東部のアパラチア山脈は古期造山帯であり、比較的なだらかである。一般的に古期造山帯では石炭が取れやすい。アパラチア山脈でも石炭が取れる。

アメリカ合衆国の工業[編集]

アメリカ合衆国での半導体産業[編集]

西海岸のIT産業地域「シリコンバレー」が有名であるため、てっきり「シリコンバレー」の近くに半導体産業の地域が多そうだと思いがちだが、実態は、ちがう。実際にはアメリカ合衆国各地に半導体産業の地域がある。ただし、北部はすでに鉄鋼業など重工業の開発が進んでいるため、中部や南部に半導体産業の工業地域が多い。もちろん、シリコンバレーの近くにも、半導体工場の多い地域がある。

サンベルトとスノーベルト[編集]

サンベルト地帯、赤色で強調。

1950年代ごろまでの古くからの工業地帯はアメリカ合衆国の北部に多く、この一帯をスノーベルトと言う。

いっぽう、新しい工業地帯は南部に立地した。アメリカ合衆国の北緯37度以南をサンベルトという。 サンベルトに、1970年代ごろから、エレクトロニクスなどの新しい工業地帯が立地した。それ以前の第二次大戦前の昔は、綿工業くらいしか、南部には、おもな工業が無かった。

カリフォルニア州、フロリダ州、テキサス州が、サンベルトである。

北東部[編集]

アメリカ北東部のボストン周辺に エレクトロニクスハイウェー と言われるエレクトロニクスの工業地帯がある。 また、この北東部のボストンのあたりは、歴史的にはヨーロッパから移住してきた白人たちの初期の入植地であり、ニューイングランドと言われる。

なお、ボストン周辺にマサチューセッツ工科大学やハーバード大学がある。

また、ボルティモアやフィラデルフィアでは、輸入鉄鉱を利用した鉄鉱業が発達しており、製鉄所が立地している。


※ 範囲外: 暗記は不要だが、ハーバード大は今では文系・医学系の強い大学だが、じつは1940年代ごろまでは工学系も強い大学でもあり、IBMと共同でコンピュータ業界で世界初の実用的な電子計算機( ハーバード・マーク1 )を開発していた。(教科『情報』の検定教科書に、巻末付録のコンピュータ史で数研出版『情報の科学』にハーバード・マーク1について載っている。)なおハーバード・マーク1は、紙テープ式の記録のコンピュータである。


南部[編集]

テキサス州のダラス周辺に、シリコンプレーン と言われるエレクトロニクスの工業地帯がある。

日本ではあまり知られていない企業だが、「テキサス・インスツルメンツ」という、エレクトロニクス部品の世界的な大企業が、テキサス州のダラスに位置している。


また、南部の海岸沿いにあるヒューストンでは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の宇宙センターがあり、また、航空機産業が発達している。

また、メキシコ湾岸に油田がある。

メキシコ湾岸沿いにあるヒューストンやニューオリンズで、石油化学産業が発達している。

五大湖沿岸[編集]

メサビの鉱山で、鉄鉱石が産出されていた。アパラチアで石炭が産出されていた。これらメサビとアパラチアを五大湖の水運で結び付けて、鉄鋼業などの重化学工業が発達した。

ピッツバーグやクリーブランドで鉄鋼業が発達した。

デトロイトで自動車工業が発達した。

シカゴは周辺に農業地域があるため、農業機械の産業や食品加工産業が発達している。

かつて、五大湖沿岸の鉄鋼業が、アメリカでも最大だったが、近年、メサビ鉄山の枯渇などにより、輸入鉄鉱をもちいる大西洋岸のボルティモアなどの臨海部の工業地域に押され、五大湖沿岸の鉄鋼業の役割は低下している。

太平洋岸[編集]

カリフォルニア州のサンフランシスコ郊外にシリコンバレーがあり、電子機器工業、ソフトウェア工業などが発達している。

また、シアトルロサンゼルスで航空機工業が発達している。航空機の世界的大企業のひとつであるボーイング社の本社は、シアトルにある。

カリフォルニアには油田がある。

アメリカ合衆国の歴史と文化など[編集]

アメリカ合衆国は50州からなる連邦国家。

  • アメリカの国データ
    • 首都 :ワシントンD.C.(ワシントン・ディーシー、英: Washington, D.C.)
    • 面積 :約963万 km2
    • 人口 :約3億1600万人(2014年)
    • 主な言語 :英語 

人種[編集]

もともとは先住民として北アメリカ大陸にはモンゴロイドのインディアン(あるいはネイティブ・アメリカンとも言う。)やイヌイットなどが住んでいた。

15世紀のおわりごろの1492年に、コロンブス(英: Columbus、イタリア語: Colombo)がヨーロッパ人としては始めてアメリカ大陸を発見した。

それから、17世紀にはイギリス人やフランス人やスペイン人などのヨーロッパ人がアメリカ北東部から移住を始めて、アメリカ大陸を侵略した。

ヨーロッパからの移民は、原住民から土地を奪った。住む場所を奪われた先住民たちは人口が減っていった。そのようなヨーロッパ人による侵略を、ヨーロッパ人は、「開拓」「入植」などと言った。

イギリスはおもに東海岸沿いを侵略して領有し、フランスはおもにミシシッピ川沿いを侵略して領有した。


アメリカ合衆国の白人の多くは、先祖がヨーロッパから移住した移民でありアメリカに住み着いたものである。イギリス系の白人がもっとも多い。アメリカ合衆国の政治を握る人種は、長い間、白人のアングロサクソン系のプロテスタントが政権をにぎってきた。これらの人種をWASP(「ワスプ」と読む)と言う。WASPとは、 White(ホワイト) ・ Anglo-Saxon(アングロサクソン) ・ Protestant(プロテスタント) の頭文字をとった略語である。

ここで言う「アングロサクソン」とは、先祖がイギリス系の民族や人種のこと。


アメリカ大陸では、17世紀から18世紀にかけて、労働力を確保するためにアフリカ大陸から黒人が奴隷として多く連れられてきた。 とくにアメリカ合衆国の南部では、綿花などのプランテーションのための労働力として、アフリカから黒人が多く連れられてきた。

このため、現在の黒人は、南部の綿花地帯(コットンベルト)に多く住んでいる。

1862年には、開拓民が5年間定住した開墾したら、無償で約65haの公有地を与えるホームステッド法(Homestead Act)が実施された。

また、第二次大戦後ごろから、ヒスパニック(Hispanic)が増えた。ヒスパニックとは、メキシコなど中米、南米からの移民のことである。

「ヒスパニック」という単語はもともと、スペイン系の何かをあらわす形容詞である。メキシコなど中南米の国にはスペイン語を公用語とする国が多いので、メキシコやキューバやプエルトリコなどからの移民をヒスパニックという。

メキシコに近い南西部の州に、ヒスパニックの住民が多い。具体的にいうと、カリフォルニア州やテキサス州などに、ヒスパニックが多い。

なお、メキシコやキューバなどと、ブラジルやアルゼンチンなどには、スペインやポルトガルなどのラテン系ヨーロッパ人が入植して侵略して開拓していったので、これらメキシコ、キューバなどカリブ海諸国と、南アメリカ大陸の諸国をあわせて、ラテンアメリカという。


アメリカ合衆国は多民族国家であり、「人種のサラダボウル」(じんしゅのサラダボウル)(salad bowl)と言われる。 アメリカの人口の中では、白人がもっとも多く、他には先住民や、黒人や、南アメリカからの「ヒスパニック」とよばれる移民や、アジア系の民族などがいる。

昔は「人種の るつぼ」(melting pot)と呼ばれていた。「るつぼ」(melting pot)とは、合金をつくるときなどに溶かした金属を入れるための容器のことである。合金がまじり合って、新しい別の性質を持った金属になるように、ことなる人種の文化が交じり合って新しいアメリカ文化になる、というふうな考えかたである。しかし、近年になり呼び方が変わり、それぞれの民族の独自性を尊重するという考えから、「人種のサラダボウル」(salad bowl)という表現に変わって、「人種のるつぼ」とは言われなくなった。

アメリカ合衆国の農業[編集]

アメリカ合衆国は、とうもろこし、大豆、綿花、小麦の、世界有数の生産国になっている。穀物は、輸出もしている。

大手の穀物商社である穀物メジャー(major grain companies)という、ごく一部の商社たちが、穀物の価格決定に大きな影響を与えている。穀物メジャーは、「エレベーター」と呼ばれる巨大貯蔵施設をもっている。

農産物の生産だけでなく、農産物の加工や流通、農業機械の生産や販売、農産物の販売、農薬、肥料など、農業に関するさまざまな産業をまとめて、アグリビジネス(agribusiness)という。

企業的な農業のため、大量生産をしており、また、機械化が進んでおり、農場も大農場である。

その他、遺伝子組み換え作物(GMO、genetically modified organism)なども、アメリカの農業では積極的に導入している。


  • 酪農

五大湖沿岸からニューイングランドにかけての農業では、酪農が盛んである。

五大湖周辺は、気候が冷涼であり、また土地が痩せているので、あまり農地には向かない。いっぽうで、五大湖周辺は大都市に近く、また冷涼な気候が、酪農に有利である。

  • 園芸農業

北東部の大西洋岸では、都市に向けた野菜などの園芸農業が盛んである。

五大湖の南にあるアイオワ州とイリノイ州ではトウモロコシの生産が盛んであるので、アイオワ州とイリノイ州はコーンベルト(corn belt)と言われる。また、アイオワとイリノイでは、大豆の生産も盛んである。さらに、肉牛の飼育や養豚を行う混合農業が盛んである。

家畜の飼料のトウモロコシなどが安価で豊富なので、出荷前の肉牛を太らせるのに、フィードロットといわれる施設が利用される。

  • 冬小麦

アメリカ中部にあるカンザス州では、冬小麦の栽培が行われる。この地域は、比較的に雨が少ない。世界で生産される小麦の多くは、冬小麦である。


  • 春小麦

緯度の高いノースダコタやサウスダコタでは、春小麦の栽培が行われる。春小麦は、春に種をまき、夏から秋に収穫するので、小麦が冬をこせない地域でも収穫できる。このため、寒冷なノースダコタなどの農業では、春小麦を生産している。


  • コットンベルト

南部のジョージア州からテキサス州にかけて、かつては綿花の栽培が盛んな地域であり、コットンベルトと言われる。近年では、産業構造などの変化により、大豆やとうもろこしなども生産していたり、牧畜などの混合農業もしていたりする。

また近年では、カリフォルニア州など西方に綿花栽培地帯が拡大している。

奴隷制があった時代、黒人奴隷を南部のプランテーションの農場で多く働かせていたので、これら南部の地域には黒人が多い。


  • 放牧

ロッキー山脈東側のグレートプレーンズでは、肉牛などの牧畜が見られる。この地域は、雨が少なく、かつては農業には向かなかったので、牧畜が発達した。しかし近年では、灌漑が発達し、センターピボットによる灌漑が行われている農場もある。

  • 地中海式農業

カリフォルニアの気候は地中海性気候である。カリフォルニアの農業では、オレンジ、ブドウ、野菜などをつくっている。農場の労働者に、メキシコ系(ヒスパニック)の労働者が多い。

カナダ[編集]

カナダは小麦の世界2位の輸出国。カナダの小麦は、春小麦である。一般に寒冷な国で小麦を栽培する場合には、冬の前に収穫できる春小麦を栽培する。

カナダは寒冷なため、国土のほとんどは、農地に向いてない。カナダの南部で、農業を行っている。

カナダは森林資源にも恵まれていて、カナダは木材やパルプの世界的な輸出国である。

アメリカとカナダとメキシコの3国は、北米自由貿易協定(NAFTA、ナフタ)を結んでいる。NAFTAは1994年に発効した。NAFTAによって、域内関税を撤廃している。 NAFTAの3国合計のGNPの規模は、EUに匹敵する。

カナダとアメリカのあいだには、フェンスや壁などはなく、自由に通行できる。 いっぽう、アメリカとメキシコのあいだは、フェンスや壁などがある。

五大湖の周辺で、工業がさかん。スノーベルトに含まれる。

カナダでは水資源が豊富なため、水力発電がさかん。また、水力発電の電力をいかして、カナダではアルミニウム産業が盛んである。

ロッキー山脈の東部あたりで石油が産出される。

先住民はインディアンとイヌイットである。ヨーロッパ人でカナダに最初に入植した民族はフランス人だが、のちにイギリス人が入植し、イギリス領になった。

このため、歴史的に、イギリス系とカナダ系との対立がある。

その後、カナダはイギリスから独立した。

現在、イギリス系住民がカナダ国民の大半を占める。しかしケベック州ではフランス系住民が多い。

首都のオタワは、イギリス系住民の多いトロントと、フランス系住民の多いモントリオールとの、中間にある。

近年、イヌイットが多数を占めるヌナブト準州が成立した。

治安は世界の中でも良い国である。

人種差別や不平等も少ない。