高等学校地理B/地誌 西アジア

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地形と気候[編集]

西アジアとは、東はアフガニスタン、アラビア半島、北西はトルコまでの地域である。イラン、イラク、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イスラエル、トルコなどは西アジアである。

アラビア半島は、大陸移動説でいうアラブプレートに乗っており、大陸移動説でいう旧ゴンドワナランドに相当し、安定陸塊(あんていりくかい)である。

気候はほとんどの地域が乾燥気候(BS〜BW, 砂漠気候(BW)またはステップ気候(BS))である。例外的に、トルコの沿岸部やイスラエルは、地中海に面するため、地中海性気候であり、夏に小雨である。

ティグリス川ユーフラテス川は、上流の水源が湿潤地域なので、たとえ砂漠地域にあっても、年中、枯渇しない。このように、上流が湿潤地帯にあって、乾燥地帯などに流れ込む河川のことを外来河川(がいらい かせん)という。

つまり、「ティグリス川ユーフラテス川は、上流の水源が湿潤地域にある外来河川である。」のように教科書・参考書などでは言う。

西アジアの歩み
1910年 イギリスがイランでの石油採掘権を獲得。
1945年 アラブ連盟の結成。
1948年 イスラエルが建国宣言。

    第1次中東戦争、およびパレスチナ難民の発生。

1960年 石油輸出国機構(OPEC)が発足。
1973年 第4次中東戦争。

    石油危機。

1979年 イラン革命。

    第2次石油危機。

1980年 イラン・イラク戦争。(〜1988年)
1991年 湾岸戦争。

    ソ連解体。中央アジア諸国の独立。

2001年 アメリカ同時多発テロ。

    アメリカがアフガニスタン攻撃。

2003年 イラク戦争。

宗教と言語[編集]

西アジアの宗教は、イスラム教が信仰されている国が多い。

ただし、イスラエルではユダヤ教が信仰されている。イスラエルは、文化などがヨーロッパ州に近い。


西アジアの民族には、アラブ系の民族が多い。西アジアの言語の文字にはアラビア語や、その系統の文字を用いる。 ただし、イランではインド=ヨーロッパ語族系のペルシア語を話す。また、トルコではアルタイ語族系のトルコ語を話し、文字もローマ字を用いている。

イスラエルは言語にヘブライ語を用いる。

イランの宗教ではイスラム教が信仰されている。イランのイスラム教徒はシーア派である。

トルコではイスラム教が信仰されている。

イラクやトルコに、少数民族のクルド人がいる。

イラクは、古代文明であるメソポタミア文明の発祥地のあたりの地域でもある。

アラビア半島は、イスラム教の発祥の地でもある。

イスラム教徒が、おいのり(お祈り) をするとき、祈る先の方角は、サウジアラビアにあるメッカという都市にある カーバ神殿 に向けて、お祈りする。

イスラム教[編集]

高等学校地理B/系統地理/宗教 を参照せよ。

農業[編集]

西アジアでは遊牧オアシス農業が、古くから行われている。

ナツメヤシ

ティグリス川・ユーフラテス川などの河川沿いで、水をひいてきて、小麦ナツメヤシ、野菜、綿花、果実などを栽培するオアシス農業である。つまり、オアシス農業では、稲(米)は栽培していない。


また、イランでは灌漑(かんがい)用の水の蒸発を防ぐために、地下水路であるカナートがある。

カナート

カナートの縦穴は、土砂を排出するためにある。

このほか、センターピポットによる農業もある。


遊牧では、羊やラクダやヤギなどの乾燥に強い動物を飼育している。

パレスチナ問題[編集]

1948年にユダヤ人が一方的にパレスチナに入植し、イスラエルの建国を宣言した。

その動機は、ユダヤ人の考えでは、パレスチナはもともとユダヤ人が住んでいた祖先の地である、とユダヤ人が考えているから、である。

また、このような考え(パレスチナは、ユダヤにとっての祖先の地である)をシオニズム運動といい、19世紀後半ごろからシオニズム運動が活発になった。

そして、ユダヤ人が世界各地から多くイスラエルに移住してきた。

このユダヤ人のパレスチナ入植に対し、周辺のエジプトやシリアなどのアラブ人の諸国は反発し、数度の戦争になった(中東戦争)。

中東戦争は4度起きたが(第一次中東戦争 〜 第四次中東戦争)、いずれの戦争でも、イスラエルがアメリカ合衆国の支援を受けて勝利して、いっぽうアラブ諸国は敗れた。

この戦争の被害もあり、多くのパレスチナ人が難民となった(パレスチナ難民の発生)。

パレスチナ人は、パレスチナ国家の再建のため、パレスチナ解放機構PLO、ピーエルオー)を結成しており、イスラエルに対する抵抗運動を続けている。

1993年には

クルド人問題[編集]

イランやイラクやトルコなどに少数民族のクルド人がいる。クルド人は独立を求めており、たびたびイラクやトルコなどそれぞれの国で、独立要求や自治の要求をしている。

クルド人はクルド語を話し、イスラム教を信仰している。正確な人口は不明であるが、約3000万人だろうと一般に推測されている。

石油[編集]

世界の石油の約3分の2が、西アジアと北アフリカに埋蔵している。また、石油の産出量は、世界の約3分の1が、西アジアと北アフリカで算出している。

第二次大戦前には欧米諸国の国際石油資本メジャー)によって油田や石油産業を支配されていた。だが、第二次大戦後は、アジア・アフリカ諸国が自分達で石油産業を国有化していった(いわゆる「資源ナショナリズム」)。

石油産業・油田の国有化のため、西アジアの産油国は1960年にOPEC(オペック、石油輸出国機構)を結成した。さらに1964年にはOAPEC(オアペック、アラブ石油輸出国機構)が結成され、石油産業などを国有化していった。

第四次中東戦争のさい、イスラエルに味方する多くの先進国に反発し、石油価格の値上げや供給の削減を行い、1973年に先進国で第一次石油危機になった。

イラン革命(1979年)後に、第二次石油危機になった。

いわゆる「オイル・ショック」とは、これらの石油危機のこと。なお「オイル・ショック」は和製英語である。

現在のOPECの加盟国は、サウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦、など。

トルコとイスラエルは、OPECには加盟していない。

工業[編集]

バクー油田により、バクーで石油化学が発達している。

いっぽう、自動車などの製造業は、西アジア・アフリカでは、遅れている。

このため、サウジアラビアやイランなどのアラブ系の産油国の経済は、石油産業に頼るモノカルチャー的な経済であるという弱点があった。 将来的に石油資源が枯渇するという予測もあるので、産油国は石油産業のモノカルチャーから脱却しようとしている。


各国の地誌[編集]

サウジアラビア[編集]

原油の埋蔵量・産出量が、世界でも上位。ペルシャ湾岸を中心に油田が開発されている。

イスラム教の聖地であるメッカメディナはサウジアラビアにある。

イスラエル[編集]

国民の多くがユダヤ教を信仰しており、ユダヤ人の国である。シオニズム運動によって建国された。

首都のエルサレムは、ユダヤ教の聖地、キリスト教の聖地、イスラム教の聖地となっている。

公用語はヘブライ語とアラビア語。

いっぽうパレスチナ人は居住地を失い、難民となった。


イスラエルはOECD(経済協力開発機構)に加盟している。 ※ OECD と OPEC とを混同しないように。

イスラエルには、すでに核保有をしてるとの疑惑がある。(※ 核疑惑については、「地理」教科書の範囲外。)

イラン[編集]

1979年にイラン革命により、宗教指導者であるイスラム法学者ホメイニを国家元首とする、宗教的な国になった。

ペルシャ語が公用語になっている。

イラン人は、じぶんたちイラン人を周辺のアラブ諸国とは区別しており、「イラン人はアラブ人ではない」のように考えてる。

イランのイスラム教徒は、少数派のシーア派である。

イランは原油を算出する産油国でもある。しかし、あまり豊かな国ではない。

アメリカ合衆国と対立している。イスラエルとも、対立的である。

イランに核開発の疑惑がある。(※ 核疑惑については、「地理」教科書の範囲外。)

トルコ[編集]

トルコの位置は、ボスポラス海峡にまたがる位置のため、ヨーロッパとアジアにまたがる。

トルコの宗教ではイスラム教が信仰されてるが、世俗化・政教分離がすすんでおり、あまり戒律がきびしくはない。

トルコの経済はEUとの貿易が経済の中心である。また、トルコはEUへの加盟を申請している。

トルコは文字にローマ字を使用している。かつてアラビア文字を公用的に使用していたが、近代化政策のため、アラビア語の使用を廃止した。

トルコはNATOおよびOECD(経済協力開発機構)に加盟している。 ※ OECD と OPEC とを混同しないように。

トルコは西部は経済的に栄えているが東部は貧しくクルド人問題もあって治安が良くない。

その他の国[編集]

時事[編集]

テロ[編集]

2003年のイラク戦争後、イラクおよび周辺地域にテロリストが流入しており、この地域がテロの多発地帯になっている。