高等学校政治経済/経済/物価の動き

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

物価指数[編集]

物価のうち、企業間で取引きされる卸売の段階での物価を企業物価という。一方、一般の最終消費者が商品を購入するときの物価を消費者物価という。

企業物価指数は、企業間で良く取引される商品についてウェイトをつける計算方法により算出する。

消費者物価指数も同様に、消費が大きい商品に関してウェイトをつける。

数値としては、基準年を 100とする。

物価の変動とその機作[編集]

インフレ[編集]

物価の持続的な上昇はインフレーション(inflation)、である。

インフレの原因は一般的に、ある商品を買いたい人の多さに対して(つまり、需要に対して)、商品不足である(つまり供給不足)。

この議論はまず3つのパラメータがある。物価と需要と供給。

そしてこの3つに関して、それぞれ二つの視点がある。

まず物価に関して、需要と供給の2視点がある。まず需要面。物価が高いと欲しがる人は少なくなり、低いと需要が増える。供給面では、物価が高いと売りたい人は多くなるし、低いと供給は減る。

次に需要。これは売り手と買い手、供給側と需要側の 2視点がある。需要が大きいと売り手は値を高くして吹っ掛けてくるが、需要がないとみると値を下げるだろう。買い手は需要が大きいときは何としても手に入れたいから高い値で買う、しかし需要がないとみると足元を見て、値切ってくるだろう。

次に供給。これも供給側と需要側の 2視点がある上結果は上と同様 2視点で同じ。売り手は商品が多量にあると捌きたいから値を安くつけるだろう。商品が少ない場合は売り惜しみして値を上げる。買い手は供給が多いとやはり何かと値切ってくるし、少ないとどうしても手に入れたいから、多少高い値でも購入するだろう。

ですから簡単に大雑把に示すと、インフレが起きやすいのは、

需要 > 供給

と、なりますよね。

  • 需給関係と生産コスト

需要の増加によって、需要が供給より大きくなって発生するインフレーションをディマンド・プル・インフレ(demandーpull inflation)という。

いっぽう、供給側の生産コストの上昇によって起きるインフレーションをコストプッシュ・インフレ(costーpush inflation)という。

  • 通貨価値

インフレになると物価が高くなる。インフレの原因が何であれ、これは通貨の価値が下がったという事だろう。ある財の価格が上がる、額面が多くなる、常識的には財の方が一定の価値を持つのだから、通貨の価値が低くなったのだ。

  • 貯金と借金

インフレで貨幣の価値が下がるわけだから、貯金の価値も下がる。

借金をしていても返済額は額面として以前の契約のままで、貨幣価値は下がっているわけだから、返済価値は減っていると見做せるだろう。

つまり、インフレによって借金は、借り手に有利で貸し手に不利に動いたとみていいだろう。

またインフレが起きると、一般的に名目の利子率が上がる。

ここで借金の借り手には不利になるが、特別な物価変動に応じた契約がない場合はインフレ以前に借金をした人物は、利子率がその時点より低くかつ利子の分の貨幣の価値は低くなっていると見れる。

デフレ[編集]

いっぽう、持続的な物価の下落はデフレーション(deflation)。デフレの原因は、一般的に、供給が余ってることである。

つまり供給量が多いのに需要は少ない。店としては売れないから値を下げる。

値を下げると需要は増えるだろう。しかし前項目の一般論から、供給は減る方向に向かうと考えられる。

需要 < 供給

需要不足、供給過多がデフレの状況だろう。

物価と景気[編集]

インフレと景気[編集]

商品不足は供給の不足、インフレを引き起こしやすい。しかし、高値で確実に売れるという面から、好景気を引き起こすという指摘もある。だから、供給が少なめで、インフレ、しかし好景気という時期もあるだろう。

一方インフレ∧不景気という局面もあるだろう。前編集者が例示するのは、国家財政の不安や危機による、通貨信用の暴落、戦争や大災害による工業の破壊による商品不足、では消費者が消費を控えインフレで不景気にもなる、という。

なお、不況とインフレ(物価高)が同時に進行する現象をスタグフレーション(stagflation)という。(停滞(スタグネーション)とインフレーションをあわせた用語)

1973年の石油危機は、「狂乱物価」(きょうらん ぶっか)と呼ばれる物価上昇(インフレ)をもたらし、スタグフレーションをもたらした。(※第一学習社の検定教科書『高等学校 政治・経済』が、石油危機をスタグフレーションと記述している。)

この1973年の石油危機のとき、トイレットペーパーが品薄になるという噂が流れ、スーパーなどの日用品売場にトイレットペーパーを買い求める消費者が殺到した。

インフレになると、金銭をもっていても価値が下がっていくので、貯金をするよりも、物を買って、物資として資産をたくわえようという意識が働く結果、消費が活発になり景気が良くなる場合もある。

デフレと景気[編集]

需要不足なら物価が下がりデフレ傾向になる。

値が低くなり、事実上商品が売れなくなると、販売会社やメーカーの経営が不振になるかもしれない。倒産する場合もあるだろう。経済的には結局販売不振で不況傾向だろうか。

そう考えるとデフレと不況はつながっているとも見れる。

特定の会社が倒産しても、ライバル会社には利益か。技術が進展し、同じ品質でも安価で製品を提供できる場合も多い。

さて、インフレと不況が同時進行することを「スタグフレーション」と呼んだ。

デフレと不況が同時進行するとどうなるか?

まず需要が少なく値を下げざるを得ないが、不況だというなら結局大した売れていない。そもそも需要が少ないというなら、その製品を作る意味さえ大したないかもしれない。

どちらにしろその企業は収入が少なく、労働者に支払う賃金にも困ることになるだろう。結局相対的に人々の所得は低下するか。所得が低下して消費も減り、さらに不況になる? しかしデフレであるから物価は低く、所得が下がってもそこそこ生活できるかもしれない。

らせん

このように、なんらかの原因で、不況とデフレが同時進行することをデフレ・スパイラルという。(「スパイラル」とは、「らせん」という意味。「スパイラル」という単語自体は、らせん状の循環を示していて、特別に「悪い循環」という意味は含んでいない。デフレ・スパイラルというとデフレ→不況→デフレ→不況の繰り返し・強化を意味し、不況は常識的には悪い事と見るだろう。)

つまりデフレスパイラルによって景気の低迷が続く、悪しき循環であるというのが最近の経済界の主張である。検定教科書でも多くそう記述されている。

平成は長期デフレか?

「デフレ・スパイラル」の検定教科書や巷の経済談義での説明が、本当に的を射ているかどうかは、疑問符もある。2002年の「総合デフレ対策」のための政府見解をそのままオウム返しに繰り返しているだけかもしれない。

2000年以降、「デフレを放置しつづけると不況が深刻化する。」と言われてきて、それがデフレ・スパイラルであり、平成の長期不況であると言明されていたが、令和の2020年代から振り返ってみると、平成の日本経済は、デフレ(物価下落)というよりはディスインフレ(物価が上昇してない)である、というのが統計的な事実だった。

内閣府の統計で西暦2000年を基準とした内閣府の消費者物価指数の統計を見ると、1992年以降から2010年まで100%±2%の程度を推移しつづけているのが実態だ。

このような分析は、大学生向けの経済学教科書でも(たとえば有斐閣(ゆうひかく)アルマの経済学シリーズ)なされていて、統計を確認すると、平成の日本経済がそれほどデフレとは言えない、絶対そうでないとは言いすぎだろうが、そのような見解もある。

内閣府のサイトの統計が妥当なら、昭和の好況だといわれた1980年代(物価は80~95%)よりも、むしろ平成の100%台のほうが物価は高い。

第二次世界大戦の終わった復興期の日本でのインフレと比べれば平成には物価上昇率が低下またはゼロ付近になったが、しかしその経済状況は正確には「物価下落」(デフレ)ではなく「ディスインフレ」(非インフレ)ではないだろうか。

平成不況の原因が物価だというなら、ディス・インフレによる不況、というべきなのだろうか。

また、ITメディアの経済記事でも似たような分析がある。以下引用。

「このようにして物価と経済が連動して縮小し続けることを「デフレスパイラル」と呼びます。
図4を見る限りでは、日本以外の先進国は軒並み物価が上昇し続けているので、「インフレ」であることが分かります。一方で、日本の物価は横ばいです。「継続して物価が下落し続けている」というわけでもないので、デフレスパイラルとまではいえません。むしろ、ここ数年ほどは若干上昇傾向なので、「極めて穏やかなインフレ」ともいえます。」

そして2013年以降自民党安倍政権でインフレ誘導の経済政策がとられ始めた。

「デフレ・スパイラル」とは、デフレ→不況→デフレ→不況→…の悪循環と進展を示唆する言葉だが、本当に経済がこの道をたどるかどうかは、それほど自明ではない。平成の1990~2010年のこの時期、欧米の諸外国では物価指数がプラス気味でインフレ傾向だったので「欧米先進国と比べて物価指数が低ければ不況になるのでは」という仮説を言及することは出来るかもしれない。

1990年以前、経済学においてインフレ不況の理論はあったが、デフレ不況の理論は乏しかった。そして経済学者たちはデフレ不況の理論を1990年代に精力的に研究して構築した。戦前の日本での松方デフレなどの研究もこの時代に進んで、多くの学問的な業績が発展したようだ。

しかしこの時代、平成時代、日本経済が明確にデフレだったかどうかは、少し疑いもある。

2002年に日本政府は「(日本は)デフレ・スパイラルに陥っている」と言明したといわれ、不況打開のための「総合デフレ対策」を発表した[1]。その政府の分析と見解はどこまで正しいのか?

1997年から見れば、デフレ傾向ではある。1997年から2002年まで、物価指数は減少を続けているし、97年の拓銀の破綻や98年の長銀の破綻で日本経済は不況ムードになった。

リーマンショック後の2009年の民主党政権の誕生時、民主党政府は日本経済が「デフレ」状況にあると言明した。

当時、一部のマスコミは、対立政党の自民党は日本経済がデフレであることをかたくなに認めなかった、と報道したが、上述の2002年の「総合デフレ対策」を考えれば間違った言及だろう。

また、内閣府の統計を見ると、(リーマンショック後の時期である)2008年と2009年は物価指数が100%以上である(つまり、基準年よりもインフレ)。


デフレ・スパイラルと数学

「デフレ・スパイラル」という言葉自体が、不況か好況かの意味を持たず、単に現在のデフレが将来のデフレを引き出し強化する、デフレの積み重ねという意味にすぎない可能性もある。(※参考文献:『小室直樹の経済原論』、初版は1998年11月)。ただし、この本が出た当時は日本が不況だったので、小室はその原因をデフレに求めている。

そもそも不況好況を数理的、統計的に示す方法は確立されているのか。デフレ時は物価が低いのだから、どうしても生活者の間で不景気感を感じるだろう。

小室の書籍では「インフレ・スパイラル」という表現も使われている。経済現象では、しばしば、賃金と物価がともに上昇しつづける現象がよく起こる。小室はそれを、典型的な「インフレ・スパイラル」、の例だとしている。[2]

日本だけでなく米国でも、インフレ・スパイラル と言う用語がスタグフレーションなどの経済議論で使われる。https://twitter.com/paulkrugman/status/1513238054235955211 。2008のノーベル賞経済学者クルーグマンのツイート。引用元の経済学者ブラッドフォード・デロング(カリフォルニア大学バークレー校教授)の発言に an inflationary spiral の言葉が現れる。 日本ではインフレスパイラルという現象をあまり考慮せず、デフレスパイラルのみを語る論法が多くみられる。

物価が上がると、賃金は上がる方に向かうだろう。賃金が上がると物価は上がるか?その辺は微妙だが、しかし生産コストが高くなるとは見れる。小室の議論では「インフレスパイラル」とは、

・・・→物価上昇→賃金上昇→物価上昇→賃金上昇→・・・

の進行だと例示されている。

そして結局、「デフレスパイラル」とはこの現象の逆なのか?

例えば国民所得に関して、

国民所得 Y=消費 C+投資 I

という式がある。所得は消費か投資に回るという事だが、

小室氏の議論として、仮に投資I が一定値なら、消費が上がれば所得も上がるだろう。所得が上がれば消費も上がる。そこでそこから類推して、スパイラル「消費が上がると国民所得も上がり、それによってまた消費も上がる」、こういう状況モデルを考える。

20世紀のケインズ政策、ニューディールなどの公共投資は、この議論のように投資→所得増加→投資→所得増加→を見ていただろうか。いや、むしろ景気の浮揚や所得増強よりは、失業や、経済崩壊などの当面の危機の解決を見ていただろう。

サムエルソンのこういう議論もある。

所得Y と消費C 投資I の時間経過におけるから始まる数列、

  • :GDP
  • はt期の消費。は基礎消費。
  • はt期の投資。は独立投資。
  • :消費性向
  • :t期(時間)
  • : 加速度係数

つまりこの 3つの連立式で、三つの数列と四つの定数の関係を示している。詳しくはw:乗数・加速度モデルを参照してほしいが、この連立式から例えば、

という関係を導くこともできる。

小室氏の議論はもうちょっと単純で直感的な言及。所得と消費がお互いを強めてスパイラルとして増加していくイメージを示している。

では例えば物価について同じような議論はできないか?

非常に大雑把だが、こういう式を考えてみよう。

物価=材料費+賃金

例えばここで材料費が一定だとすると、賃金が上がると物価も上がる。逆に物価が上がると賃金も上がる。下がる場合も同様、お互いを強めあう。物価→賃金→物価→賃金→…のスパイラルをイメージできるだろう。小室はこのスパイラルについて言及し、「物価・賃金スパイラル」と呼んでいる[3]

さて、日本の1980年代、バブル経済期までは、物価の上昇と(インフレ)、国民所得の上昇がおおむね連動していた。つまり

・・・国民所得の上昇 → 物価の上昇 → 国民所得の上昇 → 物価の上昇 → ・・・

というスパイラル。

そこで、デフレ時には逆のスパイラルが起きるのでは?、つまり、1990年代、バブル崩壊後の経済情勢ですね、

・・・国民所得の下落 → 物価の下落 → 国民所得の下落 → 物価の下落 → ・・・

これをデフレスパイラルの一例と見ていいだろう。

小室は、参考文献として評論家・宮崎義一(みやざき よしかず)の『複合不況』、を挙げている。しかしここではデフレスパイラルという言葉は使われていない。

一方小室氏の言及には、経済学はフィードバックを伴うから実験できない、というものがある[4]

前編集者は、電気のフィードバック回路や、量子力学の不確定原理、「擾乱」(じょうらん)、などの議論をもとにこの言説を批判していたが、しかし電気回路や物理学の実験は、一般には我々の外部世界の観測であるのに対し、経済現象は我々が現実に直面している、我々自身を含んでいる現象である。

この現象のただなかにいて、無責任な比較実験というのは困難だろう。

常に現実の状況を見て、次のインプット、最善手を目指して、対応を考えるのが現実の経済現象になるのではないだろうか。

さて、そこでスパイラルの話に戻ろう。つまりデフレスパイラルがあるならインフレスパイラルもある。1989年の不動産バブル崩壊までの物価上昇をインフレスパイラルとして説明する言説も1990年代にはあった。

たとえば、

地価が上がる→値上がりを期待して不動産屋が買い占める→ますます地価が上がる→ますます不動産屋が土地を買い占める→……

とか、

物価が上がる→貨幣への期待が下がる→ますます物価が上がる →ますます貨幣への期待が下がる→……

、という事になるだろうか。

…→価格上昇→予想→価格上昇→予想→価格上昇→・・・

となるか[5]

デフレスパイラルとしては、

物価が下がる→投資家になんらかの行動を引き起す→投資家のその行動の結果、ますます物価が下がる→投資家のその行動がますます加速する→ますます物価が下がる→……

などと言及できるだろうか。

つまり好況不況は割と主観的で曖昧な判断なので、それ抜きに単に物価が上がり続ける、あるいは下がり続ける悪循環をスパイラルと呼びたい訳だ。

しかし実際デフレスパイラルの用語が流行した1990年代は、日本では深刻な不況と見られていたし、学校教科書も多く、デフレと不況が連鎖的に悪化していくのがデフレスパイラルだと見ていただろう。

つまり前編集者の意図としては、デフレの深化と不況の深化は別物としてとらえたいが、実際巷の現状では、デフレイコール不況、そして何らかの改善で経済を良くしたい、やはりインフレが必要、という流れになっているだろう。

経済を数理で扱い、現状を良くするための提言はあらゆるところでなされているが、実際にその根拠の数理理論、分析が現実に大きな意味を持つか、それはそれこそインプットしてみなければわからない、歴史の中で我々はフィードバックを繰り返していくしかないだろう。


デフレと貯金[編集]

デフレになると物品は安く購入できる、貯金のある人にとってその貯金がさらに価値を持ち、有利であるといえるだろう。一方インフレはその貯金の価値が下がる、貨幣をためている人には不利に働く。

我々は労働力を売って対価を得ていると考えることが出来るが、デフレになると貨幣の価値は高くなるので、名目の、額面上の賃金は低くされる、抑えられると見られるだろう。そうなるとすでに貯金がある人たちが貯めた貨幣と同じだけ貯めるのは、より長い期間が必要になるだろう。もっとも、デフレ時に名目の賃金を下げるのは、困難でやりづらいという話もある。

だから一般的には貯金の多い人はデフレが望ましいし、インフレだと困る、という事になる。

※範囲外

経済学者ケインズは、20世紀前半のイギリス社会を労働者階級、企業者階級、金利生活者階級(投資家・地主階級)の3階級からなると考えていた。企業者階級が経営・管理する企業で労働者が生産に従事する、しかし金利生活者は社会の生産に大きく関与していない、それがケインズの見方だった。今現在のマクロ経済学ではこういう視点は取られていないようだが、ある出典では、このような金利生活者がインフレーションで「安楽死」することがケインズの望みだったと書かれている[6]


一般に、金利生活者や年金生活者、あるいは貨幣として多額の貯蓄を持った生活者は、インフレは望まない傾向があるとされる[7]。一方、企業者や経営者はデフレやそれに伴う不況を嫌う傾向があるとされる。


近年の日本[編集]

1973年の第一次石油危機にインフレ、また1979年の第二次石油危機のときもインフレになり、1980年代後半期もインフレだった。しかし、1990年頃のバブル崩壊後からは、ずっとデフレ傾向が続いている。

2016時点で、日本では、デフレが不況を深刻化、長期化させていると見ていて、政府は財政政策、金融政策として、物価上昇率2%ていどの、ゆるやかなインフレを目指している。(※ 清水書院の検定教科書『高等学校 新政治・経済』など、いくつかの教科書出版社の検定教科書に、そういう見解がある。)

さて、政策によって望ましいインフレ率を実現しようということを、インフレ・ターゲットという。

日本では、デフレからの脱却という意味でインフレ・ターゲットという言葉が使われるが、一方発展途上国では、急激なインフレによる経済不安のため、インフレ率を抑えようという意味でも、この単語が用いられる。

ハイパー・インフレとクリーピング・インフレ[編集]

第二次大戦前のドイツで起きた急激なインフレのように、短期間で物価が大幅に上昇するインフレをハイパー・インフレ(hyper inflation) という。

いっぽう、年率数パーセント程度の持続的なインフレを、クリーピング・インフレ(creeping inflation) という。クリーピングとは、「しのびよる」という意味。

※ 範囲外: 貨幣錯覚、インフレと景気浮揚[編集]

貨幣錯覚というのは、人々は実質の貨幣価値とは別に、名目の貨幣価額にも惑わされ、判断に影響を及ぼすという事ですね。

20世紀、第二次世界大戦周辺それ以降、欧米の多くの国で工業化がさらに進展し、物価も上昇し、景気も上昇、物価の上昇と景気の上昇維持が継続していた。

土木公共事業なども多くなされたが、それが雇用を作り、結果所得が上がり景気も上昇、需要が増え物価上昇にもつながっていたのだろう。

しかしこの流れにも問題点があり、インフレ傾向による物価の上昇継続のための、生活の圧迫。土木公共事業のための歳出(さいしゅつ)や、業者などへの補助金などにより、国の借金が増えてしまう。

土木公共事業は雇用を作り出しているし、社会インフラを整備する事でもある。そして工業化、技術の発展を伴うから、日本の場合には技術立国としての国力増加という優位な面もある。

この流れがうまく機能すれば、税収が増加して、公共投資した金額も回収できるかもしれないが、しかし税収が伸びなければ、いつまでも多額の公共事業を続けることは出来なくなる。景気刺激策もそれなりの支出が必要だ。

しかし日本の場合、多くの地方自治体も多額の借金を抱えているのが事実だろう。また日本の場合、発行されている国債もすでに多量だが、今後も国債の返還よりも借り入れの方が多くなっていくのだろうか? 借金を返すための財源はほとんどは税金以外ないはずだが。

  1. ^ [1]
  2. ^ 小室直樹、『小室直樹の経済原論』(復刊本)、東洋経済新報社、2015年6月11日発行(原著は1997年の刊行)、P330
  3. ^ 小室直樹、『小室直樹の経済原論』(復刊本)、東洋経済新報社、2015年6月11日発行(原著は1997年の刊行)、P369
  4. ^ 小室直樹、『小室直樹の経済原論』(復刊本)、東洋経済新報社、2015年6月11日発行(原著は1997年の刊行)、P362
  5. ^ 小室直樹、『小室直樹の経済原論』(復刊本)、東洋経済新報社、2015年6月11日発行(原著は1997年の刊行)、P384
  6. ^ 『第5章 ケインズの経済学』 P48 2022年4月6日に確認
  7. ^ コトバンク『世界大百科事典 第2版「金利生活者」の解説』 2022年4月6日に確認.