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高等学校美術I/光

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

光源

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通常、光は上にあるから、上側にあるものほど明るい。

いっぽう、暗いところで顔の下から上に向かって懐中電灯を照らしたりして、面白がる時がありますよね。あのように、暗い夜道などで、懐中電灯を顔の下から上に向かって照らしたような場合、顔の下側のほうが明るい。

光源が上にある場合の人物画を書く場合でも、「顔のアゴ下だから暗い」と考えるよりも、「アゴ下はヘコんでるので、そこに光がほとんど差し込まないので、アゴ下は暗くなりやすい」などととらえた方が、光源と対象の見え方の理解が深まると思います。


反射光

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※ 普通のデッサンの入門書の多くで、光源と反射光の説明がされます。
よく、テーブルの上に置かれた、白いボール(バレーボールみたいな奴でミゾなしの美術用ボール)または卵などで、入門書では説明されます。


では、ボールを黒鉛筆だけでデッサンした場合を考えます。

机の上にボールがあるとしましょう。光源は、校内なら、美術室の天井にある照明、または屋外なら自然光だとしても、どちらにしても、ボールよりも上方にあります。このため、ボールの下側は、基本的には暗めになります。


さて、先入観では、ボールの各部の明るさについて、光源の上層部から遠いほど暗いと思いがちです。

しかし、じつは、反射光があるので、意外とボールの下部は(やや)明るいです。

光源の位置によって変わるので一概には言えませんが、たとえば下側1~20%部分よりも、下側 20~40% 前後あたりのほうが暗い[1][2]、なんてこともありえます。(反射光などの影響による)


デッサンの専門書でも、よく反射光が解説されますん[3][4]

反射光は、あくまで影の中の光なので、決して明るく描き過ぎないように気をつけてください[5]


反射光は、けっして古典的な美術だけの概念でなく、3Dコンピュータ・グラフィックスなど現代のテクノロジー的なイラストでも通用する理屈なので、反射光についてはぜひ、覚えておきましょう。


なお、ボールと地面の接地する部分は、とても暗くなります。おそらく、接地部が一番くらいでしょう[6](光源や環境にも寄る)。


路地裏の小道など、なぜか、小道でない日陰側の建物の横道よりも暗いと感じたことはないでしょうか?


その他

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  • 光と影

たとえばリンゴの模型をもとにデッサンをする場合、光源の側に近い面は、明るくなってるし、逆に、その反対側の面は、影になってる。

人体では、次のような部位どうしが、光と影で逆関係に対応しやすい。

・ <頭の上部(髪の生える部分)> .対. <アゴの下>
・ <肩の上、うでの付け根> .対. <ワキの下>
・ <女性の乳房の上側(乳頭から上の面)> .対. <女性の乳房の下側(乳頭から下の面)>

こうなる理由は、重力方向的な上下関係の対応のほかに、球面に対してへっこんでいるという対応もしているからだろう。(乳房だけでは、乳房の上下とも球体的だが、しかし胴と組み合わせると、乳房が重力によって下方向に引っ張られるので、乳房の下側の面は、胴と乳房にハサまれてへっこんでいるし、逆に乳房の上側の面は、肩の前面から乳房にかけてのラインが平坦になりやすい。)


ワキの下の影をぬってる時、ついつい影を大きめに描いてしまいがちである。

1: 人体の輪郭を描いた上に、
2: その輪郭の描かれた絵の上に、つづけて影を描く、

このような手順で描くと、そうなりやすい。

そこで、

1: 人体の輪郭を描いた上に、(※ ここまでは前述の手順と同じ)
2: その輪郭の絵の上に、実物モデルを見て、光と影の対応場所を観察することで、 明るく照らされている人体部位 および 影になる部位 を、それぞれ探す。
3: そして影を描く際には、決して、明るくなっている部位には「影」が入り込まないように注意しながら、影を描く、

のように描くことをお勧めします。

その他、もし描画対象の人物が椅子にすわっているなら、いすの面に触れてる部分の付近は(たとえば尻および、尻から太ももの下側)、光が差し込みにくく、よって影になりやすい。

また、このように座っている場合、

・ ヒザの表側 .対. ヒザの裏側

は、明暗が対応しやすい。

服を着ている人物デッサンでは、胴体の隆起の他に、さらに衣服の隆起が加わる絵を描くことになるので、もっと複雑な絵になるので、とにかく実物を観察して、うまく工夫して描きましょう。

また、室内照明の場合、たいてい光源は決して一点ではなく、天井全体に蛍光灯などが分散的に配置されており、光源は天井全体に一面に広がっている。1つのある光源では光が差し込まずに影になる部分でも、他の別の光源による光が差し込み、影はつきづらい上複雑に、とらえにくくなります。

  1. ^ 浅井琢磨 監修『基礎を知り、表現を磨く 人物デッサンの教科書』、池田書店、2018年4月25日 発行、P27
  2. ^ 上田耕造 著『イチバン親切なデッサンの教科書』、新星出版社、2018年4月15日 初版発行、P31
  3. ^ 浅井琢磨 監修『基礎を知り、表現を磨く 人物デッサンの教科書』、池田書店、2018年4月25日 発行、P27
  4. ^ 上田耕造 著『イチバン親切なデッサンの教科書』、新星出版社、2018年4月15日 初版発行、P31
  5. ^ アトリエ・ハイデ編『デッサンの基本』、ナツメ社、2009年7月7日 初版 発行、P67
  6. ^ 上田耕造 著『イチバン親切なデッサンの教科書』、新星出版社、2018年4月15日 初版発行、P31