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Clojure

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

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ウィキペディアClojureの記事があります。

この本は、プログラミング言語のClojureについての教科書です。ClojureはLisp方言の1つで、Javaプラットフォーム上で動作することができ、Javaのクラスやライブラリを直接使用することができます。また、動的な型付けを持つ関数型プログラミング言語であり、可変性の管理やコレクションの処理、マクロの定義などに優れています。Clojureの特徴の一つは、不変データ構造の使用であり、同時実行処理を容易にし、コードの信頼性や安全性を向上させることができます。Clojureはまた、シンプルで効率的なマクロシステムを備えており、コードの再利用性を高めることができます。Webアプリケーションや大規模システムの構築など、多くの領域でClojureが活用されており、プログラマがより生産的になることができるため、魅力的な選択肢の一つとなっています。

Clojureの紹介[編集]

Clojureの歴史と哲学[編集]

Clojureは、Rich Hickeyによって設計され、2007年に最初にリリースされました。 Clojureは、Lisp方言のプログラミング言語の1つで、Javaプラットフォームで動作するように設計されています。 Clojureの設計哲学は、簡単で正確なプログラミング、関数型プログラミング、並列プログラミングを可能にすることです。

Rich Hickeyは、Javaでの開発の複雑さに直面し、単純さと正確さが優れたソフトウェアの設計と実装に必要であると考えました。また、Javaのスレッドモデルに対する批判もありました。Rich Hickeyは、ClojureがJavaの機能を利用しながら、よりシンプルで正確な言語を提供することができると考えました。

Clojureは、Lisp方言の1つで、Lispの多くの特徴を引き継いでいます。Lispは、世界で最も古いプログラミング言語の1つであり、シンプルな構文と強力なマクロシステムを備えています。Clojureは、Lispの優れた機能に加えて、Javaの強力なエコシステムと統合されています。

Clojureのもう一つの設計哲学は、関数型プログラミングです。関数型プログラミングは、可変の状態を避け、関数の純粋性を維持することによって、プログラミングの複雑さを減らすことを目的としています。Clojureは、不変データ構造を提供し、多くの組み込みの高階関数を備えています。これらの機能により、Clojureは、関数型プログラミングの特性を簡単に利用できます。

Clojureの最後の設計哲学は、並列プログラミングです。Clojureは、Javaプラットフォームの並列処理機能を利用し、シンプルで安全な並列処理を提供します。Clojureは、多くの並列処理関数を備えており、並列化されたコードを書くことが容易になっています。

Clojureは、このような設計哲学に基づいて設計され、Javaのエコシステムとの統合が非常に強力です。

Clojureの特徴とメリット[編集]

Clojureの特徴とメリット:

  1. 関数型プログラミング:Clojureは、関数型プログラミングを強くサポートし、変数の変更や状態の共有を最小限に抑え、副作用のない関数で構成されるプログラムを書くことを奨励します。
  2. Javaプラットフォームとのシームレスな統合:Clojureは、JVM上で動作するため、Javaのクラスやライブラリを利用することができます。これにより、Javaの大規模なエコシステムを活用できるため、開発効率が向上します。Clojureは、Javaとの相互運用性が高く、JavaからClojureの関数を呼び出すこともできます。
  3. コンカレントプログラミングのサポート:Clojureは、コンカレントプログラミングをサポートしています。これは、複数のスレッドやプロセスを使用して、処理を並行して実行することができることを意味します。Clojureの並列処理は、状態を変更しない純粋な関数型プログラミングのスタイルに合わせて設計されているため、競合状態やデッドロックなどの問題を回避できます。
  4. マクロ:Clojureは、マクロを使用して、自分自身の言語機能を拡張することができます。マクロは、Lispの特徴であり、Clojureでは、より高度なコントロールフローや言語機能を簡単に実現するために使用されます。
  5. データ駆動設計:Clojureは、データ駆動設計をサポートしており、データとデータの変換によってアプリケーションを構築することができます。Clojureのデータ構造は、Javaのオブジェクトと相互運用可能であり、Javaライブラリの使用も可能です。
  6. シンプルでエレガントな構文:Clojureの構文は、シンプルでエレガントであり、Lispの方言であるため、S式(式を括弧で囲む)を使用しているため、読み書きが容易で、保守性が高くなります。
  7. 高速でスケーラブル:Clojureは、JVM上で実行されるため、高速であり、スケーラビリティが高くなっています。Clojureは、軽量なスレッドモデルをサポートし、コンパイルされるため、高速な実行速度を実現することができます。
  8. REPL(Read-Eval-Print-Loop):Clojureは、強力なREPLを提供しており、開発中に即座にコードを試行し、テストすることができます

REPLの使い方[編集]

ClojureのREPL(Read-Eval-Print Loop)は、プログラミング言語Clojureのインタラクティブな開発環境です。REPLを使用することで、Clojureの式を直接入力し、実行結果をリアルタイムで確認することができます。この節では、ClojureのREPLの使い方について説明します。

REPLの起動[編集]

ClojureのREPLを起動するには、まずClojureの環境をインストールする必要があります。Clojureの環境は、LeiningenやBootなどのビルドツールを使用してインストールできます。Clojureの環境がインストールされたら、ターミナルウィンドウを開き、以下のコマンドを入力してREPLを起動します。

$ lein repl

REPLが起動すると、以下のようなプロンプトが表示されます。

user=>

これはClojureのREPLプロンプトで、ここでClojureの式を入力して実行することができます。

式の入力と実行[編集]

ClojureのREPLで式を入力するには、プロンプトの後ろに式を入力し、Enterキーを押します。次に、Clojureは式を評価し、その結果をプロンプトの前に出力します。例えば、以下のような式を試してみましょう。

user=> (+ 1 2)
3

この式は、2つの整数1と2を加算するためにClojureの+関数を使用しています。Clojureはこの式を評価し、3を出力します。

REPLで式を試してみると、Clojureの構文や関数を直感的に理解することができます。また、コードのデバッグや実行結果の確認にも役立ちます。

履歴の操作[編集]

ClojureのREPLは、直前に入力した式の履歴を保持しています。これにより、過去の式を再利用することができます。履歴を表示するには、以下のように入力します。

user=> (doc)

この式は、REPLの履歴を表示するためにClojureのdoc関数を使用しています。Clojureはこの式を評価し、直前に入力した式のリストを出力します。履歴から過去の式を再利用するには、Ctrl-Pキーを押して前の式を選択し、Enterキーを押します。

REPLの終了[編集]

ClojureのREPLを終了するには、以下のように入力します。

user=> (exit)

Clojureの基本構文[編集]

変数とデータ型[編集]

Clojureでは、変数の宣言にdefという特別な関数を使用します。変数には、任意の値を割り当てることができます。

コード例
(def x 10)
上記の例では、xという変数に10という値を割り当てています。

Clojureには、いくつかのデータ型があります。以下は、Clojureで使用できるいくつかの主要なデータ型の一部です。

  • 数値:Clojureでは、整数と浮動小数点数の両方をサポートしています。
コード例
(def x 10)   ; 整数
(def y 3.14) ; 浮動小数点数
(def z 22/7) ; 有理数(分数)
  • 文字列:Clojureでは、二重引用符で囲まれた文字列を使用します。
コード例
(def name "John")
  • 真偽値:Clojureでは、真と偽を表すために、truefalseの2つのキーワードを使用します。
コード例
(def is_sunny true)
  • シンボル:Clojureでは、名前を表すためにシンボルを使用します。シンボルは、キーワードや変数のようなものですが、コードを記述するときにより明確な意味を持っています。
コード例
(def x 10)   ; 変数
(def my-keyword :hello) ; キーワード
(def my-symbol 'hello) ; シンボル

Clojureでは、基本的なデータ型だけでなく、コレクションも使用できます。以下は、Clojureで使用できるいくつかの主要なコレクションの一部です。

  • リスト:Clojureでは、リストを表すために、丸括弧で囲まれた要素のシーケンスを使用します。
コード例
(def my-list '(1 2 3))
  • ベクター:Clojureでは、ベクターを表すために、角括弧で囲まれた要素のシーケンスを使用します。
コード例
(def my-vector [1 2 3])
  • マップ:Clojureでは、マップを表すために、波括弧で囲まれたキーと値のペアのシーケンスを使用します。
コード例
(def my-map {:name "John" :age 30})

Clojureには、他にも多くのデータ型やコレクションがあります。これらのデータ型とコレクションを組み合わせることで、より複雑なデータ構造を作成することができます。

変数とデータ型のチートシート[編集]

;; 変数の宣言
(def my-var 42)  ; 不変変数
(def ^:dynamic my-dynamic-var 100)  ; 動的変数

;; 変数の再代入
(set! my-var 24)

;; データ型
;; 数値
(def my-int 42)
(def my-float 3.14)
(def my-ratio 22/7)

;; 文字列
(def my-str "Hello, World!")
(def my-str2 (str "Hello, " "Clojure!"))

;; シーケンス
(def my-list '(1 2 3))
(def my-vec [4 5 6])
(def my-map {:a 1 :b 2 :c 3})

;; 関数
(defn my-func [x y]
  (+ x y))

;; 真偽値
(def my-true true)
(def my-false false)
Common LispとClojureの「変数とデータ型」の違い
Common LispとClojureはどちらもLispの方言であり、一部の機能や文法が共通していますが、変数とデータ型についてはいくつかの違いがあります。
  1. 変数の宣言:Common Lispでは、変数の宣言には"defvar"や"defparameter"を使用します。これらの宣言は、変数の初期値を設定することができますが、後から値を変更することもできます。一方、Clojureでは、"def"を使用して変数を宣言します。Clojureの変数は、一度設定されると変更できません。
  2. データ型:Common Lispには、整数、浮動小数点数、文字列、リスト、配列などのデータ型があります。また、ユーザーが独自のデータ型を定義することもできます。一方、Clojureには、整数、浮動小数点数、文字列、リスト、マップ、セットなどのデータ型があります。Clojureでは、リストとマップは、Common Lispのリストとプロパティリストに相当します。
  3. シンボルの扱い:Common Lispでは、シンボルは、変数や関数名を表すために使用されます。一方、Clojureでは、シンボルは、変数やキーワード、名前空間などを表すために使用されます。Clojureでは、シンボルの前にコロン(:)を付けることで、キーワードを作成することができます。
  4. 変数名の書式:Common Lispでは、変数名には、アルファベット、数字、およびいくつかの特殊文字を使用できます。Clojureでは、変数名には、アルファベット、数字、およびダッシュを使用できますが、アンダースコアは使用できません。

これらの違いにより、Common LispとClojureでは、変数とデータ型を扱う方法が異なります。Clojureは、関数型プログラミングに適しており、不変の変数とコレクションを使用することが推奨されています。一方、Common Lispは、手続き型プログラミングに適しており、可変の変数や状態を使用することができます。


関数定義と呼び出し[編集]

関数[編集]

Clojureの関数は、defnを使って定義することができます。関数の引数は、ベクターで表されます。関数内では、defを使って新しい変数を定義することができます。

コード例
(defn add [a b]
  (+ a b))

(println (add 1 2))
実行結果
3
common-lispとClojureの「関数定義と呼び出し」の違い
Common LispとClojureは、両方ともLispファミリーの言語ですが、関数定義と呼び出しにおいていくつかの違いがあります。

Common Lispでは、関数はdefunマクロを使用して定義されます。例えば、以下はCommon Lispで"hello world"を出力する関数を定義する方法です。

コード例
(defun say-hello ()
  (format t "hello world"))

そして、関数を呼び出すには、以下のように関数名を記述します。

コード例
(say-hello)

一方、Clojureでは、関数はdefnマクロを使用して定義されます。例えば、以下はClojureで"hello world"を出力する関数を定義する方法です。

コード例
(defn say-hello []
  (println "hello world"))

そして、関数を呼び出すには、以下のように関数名を記述します。

コード例
(say-hello)

注意点としては、Common LispとClojureでは、関数引数の表現方法が異なる点があります。Common Lispでは、関数引数は()の中に列挙されますが、Clojureでは、関数引数は[]の中に列挙されます。例えば、以下はCommon Lispで2つの引数を受け取る関数を定義する方法です。

コード例
(defun add (x y)
  (+ x y))

そして、以下はClojureで2つの引数を受け取る関数を定義する方法です。

コード例
(defn add [x y]
  (+ x y))

つまり、Common LispとClojureの関数定義と呼び出しの主な違いは、マクロの名前や引数の表現方法にあります。しかし、基本的な概念や構文は両方ともLispの影響を受けており、類似しています。


制御構文[編集]

Clojureは関数型プログラミング言語であり、制御構文は他の言語とは異なります。 Clojureには、ifwhencondなどの条件分岐があり、loop/recurをつかったループがあります。

条件分岐[編集]

Clojureでは、ifcondという2つの条件分岐構文があります。

if[編集]

ifは、以下の形式で使用できます。

コード例
(if test then else)

testがtrueの場合はthenが評価され、そうでない場合はelseが評価されます。

たとえば、以下のコードでは、xが正の場合にはpositive、0の場合にはzero、負の場合にはnegativeという文字列を返します。

コード例
(defn check-sign [x]
  (if (> x 0)
    "positive"
    (if (= x 0)
      "zero"
      "negative")))

cond[編集]

condは、複数の条件をチェックし、最初に真となった条件に対応する式を評価する構文です。

コード例
(cond
  test1 expr1
  test2 expr2
  ...
  :else exprn)

test1がtrueの場合はexpr1が評価され、そうでなくてもtest2がtrueの場合はexpr2が評価され、以降、真となる最初の条件に対応する式が評価されます。条件が全て偽である場合は、:elseに対応する式exprnが評価されます。

たとえば、以下のコードは、xが正の場合にはpositive、0の場合にはzero、負の場合にはnegativeという文字列を返します。

コード例
(defn check-sign [x]
  (cond
    (> x 0) "positive"
    (= x 0) "zero"
    :else "negative"))

ループ[編集]

Clojureには、looprecurを使用して、繰り返し処理を行うことができます。

loop/recur[編集]

looprecurは、以下のように使用できます。

コード例
(loop [bindings]
  (if test
    (recur new-bindings)
    expr))

loopは、bindingsという名前のマップを受け取り、繰り返し処理を行います。testがtrueである場合、recurは新しいbindingsを受け取ってループを再開します。testがfalseである場合、exprが評価され、ループが終了します。

コード例
(defn sum-to-n [n]
  (loop [i 1
         sum 0]
    (if (> i n)
      sum
      (recur (inc i) (+ sum i)))))

(sum-to-n 10) ;=> 55

この例では、1 から n までの整数の合計を計算する関数 sum-to-n を定義しています。loop フォームを使って、変数 isum を初期化し、繰り返し処理を開始します。if フォームを使って、現在の値 i が n を超えたら、合計 sum を返します。そうでなければ、recur フォームを使って、i をインクリメントし、sumi を加えて、繰り返し処理を続けます。

looprecur を使うことで、関数の呼び出しスタックが増えないため、再帰を使う場合よりも効率的にコードを書くことができます。しかし、注意が必要な点もあります。recur フォームは、ループの先頭に戻るために使用されるため、ループの中でのみ使用できます。また、recur の引数は、ループ変数に対応するものでなければなりません。これにより、ループ変数が変更され、新しいループが開始されます。

common-lispとClojureの「制御構造」の違い
Common LispとClojureは、両方ともLispファミリーのプログラミング言語ですが、制御構造にはいくつかの違いがあります。

Common Lispは、基本的にCやJavaなどの伝統的なプログラミング言語と同様の制御構造を持っています。例えば、if、loop、for、whileなどの標準的な条件分岐やループ制御構造を提供しています。Common Lispにはまた、マクロシステムがあり、プログラマーは独自の制御構造を定義できます。

一方、Clojureは、Lispの伝統的な制御構造のいくつかを簡略化し、代わりに高階関数とシーケンス操作を強調しています。Clojureの条件分岐構造は、ifではなく、より柔軟なcondやcaseを使用することが推奨されています。ループ制御構造として、Clojureにはloopではなく、より簡単なrecurがあります。また、Clojureは関数型言語であるため、不変性や純粋性を重視するために、再帰を使用することが一般的であり、ループはあまり使用されません。

総じて言えることは、Common Lispはより伝統的なプログラミング言語として設計されており、制御構造においてもその伝統に忠実です。一方、Clojureはより関数型プログラミングに焦点を当てており、より簡潔で柔軟な制御構造を提供しています。


コレクション[編集]

Clojureは、多くのプログラミング言語と同様に、様々な種類のコレクションをサポートしています。この章では、Clojureで使用できる主要なコレクションであるリスト、ベクター、マップ、およびセットについて説明します。

Clojureにおける不変と可変
Clojureは、不変性(immutable)を強く推奨するプログラミング言語です。つまり、一度作成されたデータは変更できず、代わりに変更されたバージョンが新たに作成されます。これにより、複数のスレッドが同時にデータにアクセスしても競合状態が発生せず、安全に並行処理を実行することができます。

Clojureにおいて、不変性を持つデータ構造は、以下のようなものがあります。

  • リスト(List)
  • ベクター(Vector)
  • 集合(Set)
  • マップ(Map)

一方、可変性(mutable)を持つデータ構造もありますが、できるだけ使用を避けることが推奨されます。可変性を持つデータ構造は、以下のようなものがあります。

  • 配列(Array)
  • ハッシュマップ(Hash Map)
  • アトミック(Atom)
  • リファレンス(Ref)

可変性を持つデータ構造は、競合状態を引き起こす可能性があるため、適切なロックやトランザクションの使用が必要です。しかし、可変性を持つデータ構造は、一部のアルゴリズムや操作において便利である場合があります。ただし、できるだけ不変性を持つデータ構造を使用することを推奨します。


リスト[編集]

リストは、Clojureで最も基本的なコレクションの一つです。リストは、要素を保持する単方向の連結リストとして実装されています。リストは、(list ...)関数を使用して作成できます。

コード例
;; リストを作成する方法
(def my-list (list 1 2 3))
;; => (1 2 3)

リストは、要素を追加することができますが、そのためには常に新しいリストを作成する必要があります。そのため、リストは可変ではなく、不変です。

コード例
;; リストを作成する方法
;; リストに要素を追加する方法
(def new-list (conj my-list 4))
;; => (4 1 2 3)

ベクター[編集]

ベクターは、リストと同様に、要素のコレクションを保持することができます。ただし、ベクターは、要素のインデックスを使用してアクセスできるように、より高速に実装されています。ベクターは、[...]構文を使用して作成できます。

コード例
;; ベクターを作成する方法
(def my-vector [1 2 3])
;; => [1 2 3]

ベクターは、リストと同様に、要素を追加することができますが、そのためには常に新しいベクターを作成する必要があります。そのため、ベクターは可変ではなく、不変です。

コード例
;; ベクターに要素を追加する方法
(def new-vector (conj my-vector 4))
;; => [1 2 3 4]

マップ[編集]

マップは、キーと値のペアを保持することができます。マップは、{...}構文を使用して作成できます。

コード例
;; マップを作成する方法
(def my-map {:name "Alice", :age 30})
;; => {:name "Alice", :age 30}

マップに新しい要素を追加する場合、assoc関数を使用します。

コード例
;; マップに新しい要素を追加する方法
(def new-map (assoc my-map :address "Tokyo"))
;; => {:name "Alice", :age 30, :address "Tokyo"}


セット[編集]

Clojureのセットは、#{}構文を使用して作成します。要素は空白で区切ります。

上記のコードでは、my-setという名前のセットを作成しています。要素は1、2、3、4で構成されています。

コード例
(def my-set #{1 2 3 4})

もう一つの方法は、hash-set関数を使用してセットを作成することです。

コード例
(def my-set (hash-set 1 2 3 4))
my-setという名前のセットを作成しています。要素は1、2、3、4で構成されています。

セットの操作[編集]

Clojureのセットは、通常の数学のセットと同じように操作できます。以下は、Clojureでセットを操作するためのいくつかの基本的な関数です。

  • conj: セットに要素を追加する。
コード例
(conj my-set 5)
;=> #{1 2 3 4 5}
conj関数を使用して、my-setセットに5を追加しています。
  • disj: セットから要素を削除する。
コード例
(disj my-set 4)
;=> #{1 2 3}
disj関数を使用して、my-setセットから4を削除しています。
  • intersection: セットの共通要素を取得する。
コード例
(intersection #{1 2 3 4} #{3 4 5 6})
;=> #{3 4}
上記のコードでは、intersection関数を使用して、2つのセットの共通要素を取得しています。
  • difference: セットの差分を取得する。
コード例
(difference #{1 2 3 4} #{3 4 5 6})
;=> #{1 2}
difference関数を使用して、2つのセットの差分を取得しています。
  • union: 2つのセットを結合する。
コード例
(union #{1 2 3 4} #{3 4 5 6})
;=> #{1 2 3 4 5 6}
union関数を使用して、2つのセットを結合しています。


コレクションのチートシート[編集]

;; リスト
;; 空のリストを作成
(def empty-list (list))

;; 要素を持つリストを作成
(def list-with-elements (list 1 2 3))

;; リストの要素を先頭から順に取得
(first list-with-elements)

;; リストの先頭を除いた残りの要素を取得
(rest list-with-elements)

;; リストの最後の要素を取得
(last list-with-elements)

;; ベクター
;; 空のベクターを作成
(def empty-vector (vector))

;; 要素を持つベクターを作成
(def vector-with-elements (vector 1 2 3))

;; ベクターの要素をインデックスを指定して取得
(nth vector-with-elements 0)

;; ベクターの要素を末尾に追加して新しいベクターを作成
(conj vector-with-elements 4)

;; マップ
;; 空のマップを作成
(def empty-map (hash-map))

;; キーと値を指定してマップを作成
(def map-with-entries (hash-map :a 1 :b 2 :c 3))

;; マップの値をキーを指定して取得
(get map-with-entries :a)

;; マップにキーと値を追加して新しいマップを作成
(assoc map-with-entries :d 4)

;; セット
;; 空のセットを作成
(def empty-set (hash-set))

;; 要素を持つセットを作成
(def set-with-elements (hash-set 1 2 3))

;; セットに要素を追加して新しいセットを作成
(conj set-with-elements 4)

;; セットの要素を取得
(get set-with-elements 2)
Common LispとClojureの「コレクション」の違い
Common LispとClojureは、両方ともLispの方言であり、共通のルーツを持っていますが、コレクションの扱い方にいくつかの違いがあります。

Common Lispは、配列、リスト、ハッシュテーブル、ビットベクトルなど、さまざまな種類のコレクションを提供しています。それぞれのコレクションは、特定の目的に合わせて最適化されています。たとえば、配列はランダムアクセスが速く、ハッシュテーブルは高速なキー検索が可能です。

一方、Clojureは、シーケンスとして知られる単一のコレクション型を提供しています。シーケンスには、リスト、ベクター、集合、マップなど、様々な種類があります。これらのシーケンスは、一般的な操作(フィルタリング、マッピング、リダクションなど)に適しています。

Clojureのシーケンスは、不変であることが多く、並列処理に適しています。また、Clojureには、シーケンスを扱うための関数が多数用意されており、より簡潔で効率的なコードを書くことができます。

一方、Common Lispは、より細かい粒度のコレクション型を提供することで、より高度な最適化が可能であり、特定の問題に対しては、より高速なアプローチが可能です。ただし、より詳細な型設計は、より複雑なコードを伴うことがあるため、Clojureのようなシンプルなアプローチが好ましい場合もあります。


関数型プログラミングの基本的な考え方[編集]

Clojureの関数型プログラミングでは、以下のような考え方があります。

  • 関数はデータの変換を行う
  • 変更可能な状態を持たない(純粋な)関数を使う
  • 関数を合成することで、複雑な処理を構築する

この考え方に基づいて、Clojureでは、数学的な関数のように、入力値に対して決定論的な値を返す純粋関数を中心にプログラミングを行います。

また、Clojureでは、関数をデータと同様に扱うことができるため、関数自体も変数に代入したり、関数を引数として渡したり、関数を戻り値として返したりすることができます。これにより、関数を合成したり、より高次の関数を作成したりすることができます。

純粋関数の例[編集]

以下は、2つの整数の和を返す純粋関数の例です。

コード例
(defn add [a b]
  (+ a b))
この関数は、入力のabを足し合わせて、その結果を返します。この関数は純粋であるため、同じ入力に対して常に同じ結果を返します。

関数の合成の例[編集]

以下は、2つの純粋関数を合成して新しい関数を作成する例です。

コード例
(defn add-one [n]
  (+ n 1))

(defn square [n]
  (* n n))

(def add-one-and-square (comp square add-one))
add-one関数は、入力の整数に1を足した値を返します。
square関数は、入力の整数を2乗した値を返します。
add-one-and-square関数は、add-one関数とsquare関数を合成して作成された関数で、入力の整数に1を足し、その結果を2乗した値を返します。
コード例
(add-one-and-square 3) ; 16

カリー化の例[編集]

以下は、カリー化を使って関数を作成する例です。

コード例
(defn add-two [a b]
  (+ a b 2))

(def add-two-curried (partial add-two 5))

(add-two-curried 3) ; 10
add-two関数は、2つの整数に2を加えた値を返します。
add-two-curried関数は、partial関数を使って、add-two関数を部分適用します。
partial関数は、ある関数を部分的に適用した新しい関数を返すための便利な関数で、第1引数に適用する関数、第2引数以降に適用する引数を指定します。この場合、add-two関数には第1引数に5を渡し、残りの引数を部分適用したadd-two-curried関数を生成しています。
add-two-curried関数に引数3を渡して呼び出し、結果として10が返されます。add-two-curried関数は、add-two関数に最初の引数として5を適用しているため、実際には引数3を受け取って、(+ 5 3 2)という式を評価して10を返します。

Javaとの統合[編集]

ClojureはJavaプラットフォーム上で動作するLisp方言であり、Javaとのシームレスな統合が可能です。この節では、ClojureとJavaの統合について、次のようなトピックを取り上げます。

  • Javaのクラスの使用

ClojureはJavaのクラスを直接使用することができます。Javaのクラスは、Clojureの名前空間内でimportされる必要があります。Clojureの名前空間内でJavaのクラスを使用するには、Javaのクラス名を修飾された形式で記述します。例えば、以下のようなClojureのコードで、Javaのjava.util.Dateクラスを使用して現在の日時を取得することができます。

コード例
(import 'java.util.Date)
(def today (Date.))
  • Javaのメソッドの呼び出し

ClojureはJavaのメソッドを呼び出すことができます。Javaのメソッドは、Clojureの関数のように呼び出すことができます。ただし、Javaのメソッド名はClojureの関数名として使用できないため、Javaのメソッド名を修飾された形式で記述する必要があります。例えば、以下のようなClojureのコードで、JavaのMathクラスのabsメソッドを使用して、-1の絶対値を求めることができます。

コード例
(def x -1)
(Math/abs x)
  • Javaのインタフェースの実装

ClojureはJavaのインタフェースを実装することができます。Javaのインタフェースを実装するには、ClojureのオブジェクトにJavaのインタフェースを実装するよう指定する必要があります。例えば、以下のようなClojureのコードで、JavaのRunnableインタフェースを実装するオブジェクトを作成することができます。

コード例
(defn my-run []
  (println "Hello from Clojure"))
(def my-runnable (proxy [Runnable] [] (run [] (my-run))))
(.start (Thread. my-runnable))
  • Javaのクラスの拡張

JavaのクラスをClojureから利用する方法の一つは、gen-classマクロを使ってJavaのクラスを継承することです。gen-classマクロは、Javaのクラスを継承するClojureのクラスを生成し、それをClojureから利用できるようにします。以下は、gen-classマクロを使ってJavaのクラスを継承するClojureのクラスを生成する例です。

コード例
(ns myapp.core
  (:gen-class
    :extends java.util.ArrayList))

(defn -main []
  (let [list (myapp.core.)]
    (.add list "foo")
    (.add list "bar")
    (.add list "baz")
    (doseq [item list]
      (println item))))
myapp.coreクラスには、-mainメソッドが含まれており、それはClojureアプリケーションのエントリーポイントとなります。
-mainメソッドでは、myapp.coreクラスからオブジェクトを生成し、java.util.ArrayListのメソッドを呼び出しています。

Javaのクラスを継承するClojureのクラスを定義する場合、以下のような注意点があります。

  • Clojureのクラス名には、Javaのクラス名と同じ名前を使用することができます。
  • Clojureのクラス名は、ハイフンで始まることができます。
  • Clojureのクラス名には、単一のドット(.)を含むことができます。ただし、これはJavaのパッケージとは無関係であることに注意してください。
  • Javaのメソッド名とClojureの関数名は異なる構文を持ちます。Clojureの関数名は、ハイフンで区切られた単語で表され、Javaのメソッド名はキャメルケースで表されます。
  • -mainメソッドは、必ずしも必要ではありませんが、Clojureアプリケーションのエントリーポイントとして慣習的に使用されます。

マクロ[編集]

マクロの概要[編集]

マクロの定義と呼び出し[編集]

マクロ展開の仕組み[編集]

並列処理[編集]

Clojureは、Java仮想マシンの並列処理機能に依存しており、Javaの並列処理APIと同様に、複数のスレッドを使って処理を並列化することができます。Clojureには、並列処理のための独自の機能もあります。この節では、Clojureで並列処理を行う方法について説明します。

スレッドの生成[編集]

Clojureでは、Javaのスレッド生成APIを使用してスレッドを生成することができます。例えば、以下のように、Threadクラスを使用して新しいスレッドを生成することができます。

コード例
(defn worker []
  (println "Worker started")
  (Thread/sleep 5000)
  (println "Worker finished"))

(defn -main []
  (let [t (Thread. #(worker))]
    (.start t)
    (.join t)))

上記の例では、worker関数を別のスレッドで実行するために、Thread.()コンストラクタを使用して新しいスレッドを生成しています。そして、.startメソッドを呼び出して、スレッドを開始しています。.joinメソッドは、スレッドの終了を待つために使用されます。

パラレルマップ[編集]

Clojureには、pmap関数という便利な関数があります。この関数は、マップ関数とコレクションを受け取り、コレクション内の各要素に対してマップ関数を並列に適用します。結果は、新しいシーケンスとして返されます。以下は、pmap関数を使用する例です。

コード例
(defn slow-square [x]
  (Thread/sleep 1000)
  (* x x))

(defn -main []
  (let [result (pmap slow-square [1 2 3 4 5])]
    (println result)))

上記の例では、slow-square関数を並列に呼び出して、シーケンス[1 2 3 4 5]の各要素を2乗します。pmap関数は、各要素の処理を並列に行うため、計算時間を短縮することができます。

アトミックオペレーション[編集]

Clojureにおける並列処理は、アトミックオペレーションと呼ばれる機能を使用して実現されます。アトミックオペレーションは、複数のスレッドやプロセスが同時に同じ変数を変更しようとしても、競合状態を回避するための仕組みです。

Clojureでは、atomrefagentといった3つのアトミック操作を提供しています。それぞれの違いは、以下のとおりです。

  • atom:一度に1つのスレッドしか変更できない単一の値を表します。値の変更はswap!関数を使用して行います。
  • ref:複数の値をトランザクションの中で変更できます。値の変更はalter関数を使用して行います。トランザクションはdosyncマクロで定義されます。
  • agent:一度に複数のスレッドが値を変更できます。値の変更はsend関数を使用して行います。

これらの操作を使用することで、Clojureの並列処理では、常に正確な結果を得ることができます。ただし、アトミック操作を使用することで、処理速度が低下する場合があるため、必要に応じて最適な方法を選択する必要があります。

Webアプリケーション開発[編集]

RingとCompojureの紹介[編集]

ハンドラの定義とルーティング[編集]

テンプレートエンジンの利用[編集]

ClojureScript[編集]

ClojureScriptの紹介[編集]

ClojureScriptとJavaScriptの違い[編集]

ReagentとReactの紹介[編集]

その他のトピック[編集]

テスト[編集]

ロギング[編集]

データベースアクセス[編集]

デプロイメント[編集]

脚註[編集]


外部リンク[編集]