EBNF

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EBNF(Extended Backus-Naur Form)は、文脈自由文法を記述するための形式的なメタ言語です。EBNFを使って文法を記述することで、プログラミング言語の構文や書式を明確に定義できます。 EBNFの文法は、非常に自然言語に近く、読みやすく記述できます。EBNFの記法では、プログラムの構文を抽象構文木として表現し、構文規則によってその構文木を記述します。 EBNFの文法は、次のような基本要素で構成されます。

非終端記号
ルールの左辺に置かれる文字列で、終端記号を含めた言語の生成規則を定義します。例えば、プログラミング言語において「式」は非終端記号になります。
終端記号(ターミナル)
プログラム中で実際に出現する文字列で、非終端記号を構成する文字列を表します。例えば、プログラミング言語において「+」や「-」は終端記号になります。
選択(|)
同じルールで複数の選択肢がある場合に使用されます。例えば、算術式のルールで「+」または「-」の演算子を選択する場合に使われます。
繰り返し(*)
同じルールで同じ記号を複数回繰り返す場合に使用されます。例えば、配列のルールで「[」と「]」の括弧を複数回繰り返す場合に使われます。
オプション([ ])
同じルールで、ある記号があってもなくてもよい場合に使用されます。例えば、関数のルールで引数をオプションとする場合に使われます。
グループ化(( ))
同じルール内で、複数の記号をグループ化して一つの単位として扱う場合に使用されます。例えば、条件式のルールで「(」と「)」の括弧で式をグループ化する場合に使われます。

EBNF自身の文法をEBNFを使って説明すると、EBNF文法は次のように定義されます。

EBNFの定義
syntax = syntax_rule { "|" syntax_rule } ;
syntax_rule = identifier "=" definitions_list ";" ;
definitions_list = single_definition { "|" single_definition } ;
single_definition = term { term } ;
term = [ repetition ] ( group | option | literal | nonterminal ) ;
repetition = "{" | "}" | "[" | "]" ;
group = "(" definitions_list ")" ;
option = "[" definitions_list "]" ;
literal = "'" character "'" | '"' character '"' ;
nonterminal = identifier ;
identifier = letter { letter | digit | "_" } ;
letter = "A" | "B" | ... | "Z" | "a" | "b" | ... | "z" ;
digit = "0" | "1" | ... | "9" ;
character = letter | digit | symbol ;
symbol = "$" | "&" | "#" | "@" | "%" | "+" | "-" | "/" | "*" | "!" | "?" | "<" | ">" | "=" | ":" | "~" | "^" | "." | "|" ;
EBNFの文法は、= で左辺と右辺を分け、右辺は | で区切って複数の定義を持つことができます。
左辺は1つの非終端記号を示し、右辺はその非終端記号が表現できる定義を示します。
非終端記号は <> で囲われたテキストで表され、終端記号は引用符で囲まれたテキストで表されます。
終端記号は、文字、数字、記号などのシンボルを表し、それらは式で使用される操作子としても使用されます。

EBNFは、プログラミング言語の文法を明確に表現するために使用されます。プログラミング言語の開発者は、EBNFを使用してプログラミング言語の文法を明確に定義することができます。 これにより、プログラミング言語の構文が正確かつ一貫性があることを確認できます。また、EBNFは、プログラムの解析とコンパイルにおいて、解析木の構築や文法エラーの検出にも役立ちます。

EBNFと正規表現の類似点・相違点
EBNFと正規表現は、どちらも形式文法の記述法の一種ですが、異なる点がいくつかあります。

まず、EBNFはより表現力が高く、より複雑な文法を表現することができます。これは、EBNFが再帰的な構造や選択肢を表現するための特別な構文を持っているためです。 正規表現は、シンプルで直感的な表現力を持っていますが、再帰的な構造や選択肢を表現することができません。

次に、EBNFは文脈自由文法に基づいており、文法を定義するために非終端記号(非ターミナル)を使用します。 一方、正規表現は正規言語に基づいており、文法を定義するために文字、文字クラス、および演算子を使用します。

また、EBNFは通常、プログラミング言語の文法を定義するために使用されます。 一方、正規表現は主に文字列のパターンマッチングに使用されます。

最後に、EBNFは形式文法の一種であり、文法の生成規則を定義します。一方、正規表現は、文字列のパターンを記述するための表現方法です。