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HTML Living Standard/math

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

math 要素

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<math> 要素は、MathML(Mathematical Markup Language)をHTML文書に埋め込むために使用される要素です。MathMLは、数式や数学的構造をWebページ上で表現するためのXMLベースの標準です。<math> 要素は、数式を構造的かつ意味的に記述するための枠組みを提供し、Webブラウザでの数学表現を可能にします。

カテゴリ

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  • セマンティックコンテンツ
  • 数学的コンテンツ

使用される文脈

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<math> 要素は、文書内で数学的な式や数式を埋め込むために使用されます。主に、計算式や化学式、物理法則などをWeb上で表現する際に役立ちます。

コンテンツモデル

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<math> 要素は、MathMLの数学的構造を表現するための親要素として機能し、他のMathML要素を含みます。例えば、数式や記号、式の構成要素(演算子や変数、関数など)を記述するためのMathML要素が子要素として挿入されます。

属性

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  • xmlnsxmlns 属性を指定することで、MathMLの名前空間を宣言します。通常、<math> 要素にMathMLを埋め込む際には、名前空間の宣言が必要です。
  • display — 数式の表示方法を指定するための属性です。inline(行内表示)または block(ブロック表示)などを指定できます。これはMathMLをより柔軟に使うために役立ちます。

使用例

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単純な数式

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<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML">
  <msup>
    <mi>x</mi>
    <mn>2</mn>
  </msup>
</math>

この例では、<math> 要素内で二乗された x の数式を表現しています。<msup> 要素は上付き文字を定義し、<mi> 要素は変数名(ここでは x)を、<mn> 要素は数値(ここでは 2)を表しています。

分数の表現

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<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML">
  <mfrac>
    <mn>1</mn>
    <mn>2</mn>
  </mfrac>
</math>

この例では、<mfrac> 要素を使用して分数を表現しています。<mn> 要素は数値を表し、ここでは 12 の分数が示されています。

複雑な数式

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<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML">
  <mrow>
    <mi>a</mi>
    <mo>+</mo>
    <mi>b</mi>
    <mo>=</mo>
    <mi>c</mi>
  </mrow>
</math>

この例では、<mrow> 要素を使って数式の項を並べ、<mo> 要素を使って演算子(ここでは +=)を表現しています。このように、複数の数式要素を組み合わせることができます。

ルート記号

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<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML">
  <msqrt>
    <mn>16</mn>
  </msqrt>
</math>

この例では、<msqrt> 要素を使用して平方根の記号を表現しています。内部に <mn> 要素で数値 16 を挿入しています。

行内数式とブロック数式

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MathMLは、行内またはブロック形式で数式を表示することができます。<math> 要素は、CSSを使って表示方法を変更できます。

<p>
  この数式は行内で表示されます: 
  <math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML">
    <msup>
      <mi>x</mi>
      <mn>2</mn>
    </msup>
  </math>
</p>

<p>
  この数式はブロック形式で表示されます:
  <math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML" display="block">
    <msup>
      <mi>x</mi>
      <mn>2</mn>
    </msup>
  </math>
</p>

この例では、行内数式とブロック数式の違いを示しています。display="block" 属性を使って、数式をブロックレベルの要素として表示しています。

アクセシビリティの考慮事項

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MathMLは数学的な内容をWeb上で効果的に表現するための強力なツールですが、アクセシビリティに配慮することも重要です。視覚障害のあるユーザー向けに、数式が音声で読み上げられるようにするためには、適切なアクセシビリティツールや支援技術が必要です。多くのスクリーンリーダーはMathMLをサポートしており、数式を音声で読み上げることができますが、MathMLの正確な使用が求められます。

関連する要素

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  • <mrow> - 数式の項をグループ化するための要素。
  • <msup> - 上付き文字(累乗)を表示するための要素。
  • <mfrac> - 分数を表示するための要素。
  • <mi> - 数式内の識別子(変数名など)を表現する要素。
  • <mn> - 数式内の数値を表現する要素。
  • <mo> - 数式内の演算子を表現する要素。
  • <msqrt> - 平方根記号を表現する要素。

関連仕様

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