Java/基礎/型
型
[編集]プログラミングにおける「型」(または「データ型」)は、データの種類や性質を表す概念です。プログラミング言語において、変数、関数の引数や戻り値、オブジェクトなどの要素には、それぞれ特定の型が割り当てられます。型は、そのデータがどのような値や操作を持ち、どのようにメモリ上で表現されるかを決定します。
プログラミングにおける型の役割は次のようなものがあります:
- データの性質を表現する: 型は、データがどのような性質を持つかを表現します。例えば、整数型は整数の値を表し、文字列型は文字列のシーケンスを表します。
- メモリの割り当てと管理: 型は、データがメモリ上でどのように表現されるかを定義します。これにより、適切なメモリの割り当てと管理が行われます。
- 演算と操作の定義: 型は、そのデータ型に対して許可される演算や操作を定義します。例えば、整数型では加算や減算などの算術演算が可能ですが、文字列型では文字列の結合や比較などが可能です。
- プログラムの正確性と安全性の確保: 型システムは、プログラム内でのデータの正確性と安全性を保証します。型によって、不適切な型の操作や予期しないデータの変換が防止されます。
プログラミングにおける型は、プログラムの構造や振る舞いを理解し、データを適切に扱うための基本的な概念です。適切な型の選択と使用は、プログラムの正確性、効率性、保守性を向上させるのに役立ちます。
Javaにおける型
[編集]Javaにおける型は、プリミティブ型、クラス型、配列型の3つに大別されます。また、値型と参照型の2つのカテゴリーに分けることもできます。
- プリミティブ型 (Primitive Types)
- プリミティブ型は、データそのものを格納します。Javaのプリミティブ型には、整数型(byte、short、int、long)、浮動小数点型(float、double)、論理型(boolean)、文字型(char)があります。これらの型は、プリミティブな値を直接的に格納し、メモリ上に確保されます。また、プリミティブ型は値型に分類されます。
- クラス型 (Class Types)
- クラス型は、オブジェクトへの参照を格納します。Javaでは、クラスやインタフェースを使用してユーザーが独自のデータ型を定義できます。これらの型は、ヒープ領域に実際のデータを格納し、変数はそのデータへの参照を保持します。クラス型は参照型に分類されます。
- 配列型 (Array Types)
- 配列型は、同じ型の複数の要素を格納します。Javaの配列はオブジェクトであり、配列型変数は配列への参照を保持します。配列は固定長ですが、可変長リストとして振る舞うコレクションクラスも提供されています。配列型も参照型に分類されます。
- 値型 (Value Types)
- プリミティブ型は値型に分類されます。値型は、その変数が実際のデータの値を直接的に保持します。
- 参照型 (Reference Types)
- クラス型と配列型は参照型に分類されます。参照型は、変数が実際のデータへの参照を保持し、そのデータはヒープ領域に格納されます。
プリミティブ型
[編集]プリミティブ型は、Javaの基本的なデータ型で、値そのものを格納する値型です。
Javaのプリミティブ型には、以下の8つがあります。
プリミティブ型 データ型 サイズ (ビット数) 値の範囲 ラッパークラス boolean 1 true または false Boolean byte 8 -128 から 127 Byte short 16 -32768 から 32767 Short int 32 -2147483648 から 2147483647 Integer long 64 -9223372036854775808 から 9223372036854775807 Long float 32 IEEE 754 単精度浮動小数点数 Float double 64 IEEE 754 倍精度浮動小数点数 Double char 16 UTF-16の16ビット分。charという名前だがサロゲートペアにより16ビットの範囲を超えたUnicodeについては、「その半分」を表現する Character
Javaでは自動的に型変換が行われる場合があります。例えば、int型とdouble型の演算を行うと、int型の値が自動的にdouble型に変換されます。
ただし、変換元の型よりも変換先の型が大きい場合、精度の低下や情報の欠落が発生する場合があるため、注意が必要です。
また、Javaのプリミティブ型には、各データ型のラッパークラスが用意されています。 ラッパークラスを使用することで、プリミティブ型をクラスとして扱えるようになります。 例えば、int型の場合はIntegerクラスが対応しています。
参照型
[編集]参照型には、クラス型、インタフェース型、配列型などがあります。 クラス型やインタフェース型は、それぞれ自分で定義して使用することができます。 配列型は、同じデータ型の値を複数格納するためのもので、以下のように宣言します。
- 注意点
Javaのプリミティブ型は、値そのものを格納するのに対し、参照型はオブジェクトへの参照を格納するため、メモリの使用方法が異なります。 また、プリミティブ型は値渡し、参照型は参照渡しとして扱われます。 このため、値渡しの場合は、値そのものがコピーされ、オリジナルの変数に影響を与えませんが、参照渡しの場合は、オブジェクトそのものへの参照が渡されるため、オリジナルのオブジェクトに影響を与える可能性があります。