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RAW画像

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

RAW画像は、デジタルカメラやその他の撮影機器によって生成される、未加工の画像データを指します。この形式は、撮影時のセンサーが記録した全ての情報を含み、後処理や編集の自由度が高いという特徴があります。

RAW画像の概要

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RAW画像は「(なま)の画像」という意味を持ち、JPEGTIFFなどの一般的な画像形式と異なり、圧縮や加工が行われていないため、撮影時の情報をそのまま保存しています。この形式は、主にプロフェッショナルやハイアマチュアのカメラマンに利用されています。

主な特徴

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  • 高画質保存:センサーの記録をそのまま保存し、画像の劣化が発生しない。
  • 非圧縮または可逆圧縮:画像データを劣化させない。
  • 後処理の柔軟性:露出補正やホワイトバランス調整が容易。
  • カメラ依存性:RAW形式はカメラメーカーやモデルごとに異なる。

代表的な拡張子

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RAW画像には、カメラメーカーごとに独自の形式が存在します。以下はその一例です:

  • .CR2, .CR3:Canon
  • .NEF:Nikon
  • .ARW:Sony
  • .RAF:Fujifilm
  • .ORF:Olympus

RAW画像の技術的背景

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RAW画像は、RGBピクセルデータだけでなく、メタデータやカメラの設定情報も含んでいます。

データ構造

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RAW画像は、以下の要素で構成されます:

  • センサーデータ:カメラのイメージセンサーが記録した未加工のピクセルデータ。
  • メタデータ:撮影条件(ISO、シャッタースピード、ホワイトバランスなど)。
  • プレビュー画像:通常はJPEG形式で保存され、素早い閲覧用。

カラープロファイル

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RAWデータは一般にリニアなカラースペースで保存されます。そのため、現像時にsRGBやAdobeRGBなどのプロファイルを適用して、視覚的な調整が行われます。

RAW画像の利点と欠点

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利点

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  • 撮影後の調整が柔軟。
  • 高ダイナミックレンジを活用可能。
  • 圧縮によるアーティファクトが発生しない。

欠点

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  • ファイルサイズが大きい。
  • 特定のソフトウェアでしか扱えない場合がある。
  • 現像の手間がかかる。

RAW画像の用途

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RAW画像は、以下のような分野で特に重宝されています。

プロフェッショナル写真

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高解像度や精密な色調整が求められる商業写真や芸術写真において不可欠です。

天体写真

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微弱な光を捉えるため、RAW画像の高感度データが活用されます。

医療画像

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医療用カメラや顕微鏡で撮影された画像データの分析に使用されます。

RAW画像の現像

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RAW画像は専用のソフトウェアで現像を行う必要があります。現像処理では、以下の操作が可能です:

  • ホワイトバランスの調整。
  • 露出やシャドウ、ハイライトの補正。
  • ノイズ除去やシャープネスの調整。

代表的な現像ソフトウェア

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  • Adobe Lightroom
  • Capture One
  • DxO PhotoLab
  • Darktable (オープンソース)
  • RAWTherapee (オープンソース)

RAW画像の注意点

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  • RAWデータはカメラ固有の形式であるため、ソフトウェアの互換性に注意が必要です。
  • ファイルサイズが大きいため、保存容量の確保が重要です。
  • 撮影後の編集スキルが要求されるため、初心者には難しい場合があります。