Windows API/入力
入力
[編集]キー入力
[編集]キー入力に反応させるには、単に、関数
LRESULT CALLBACK WndProc(HWND hWnd, UINT message, WPARAM wParam, LPARAM lParam)
の関数ブロック内に、下記のように case WM_KEYDOWN: を作成し、
case WM_KEYDOWN:
switch (wParam)
{
case 'Z':
MessageBox(NULL, TEXT("Zが押されました。"), TEXT("キーテスト"), MB_OK);
break;
case 'X':
MessageBox(NULL, TEXT("Xが押されました。"), TEXT("キーテスト"), MB_OK);
break;
}
のように、すればいい。上記のコードはZボタンとXボタンにだけ反応する。
入力後の共通処理がほしい場合
[編集]case が複数通りある場合、break文をすると、switchブロックの外に出てしまいます。
上記のコードでは、単にメッセージボックスが出るだけなのに、画面更新の関数は不要です。
ですが、一般的には、そういう関数とはかぎらず、また、なにかの入力をプアプリが受け付けたことをユーザーに知らせるために、画面更新の関数が必要です。
このため、たとえば case 'Z': と case 'X': の入力検出後の、画面更新のようにどのブロックのあとでも必要になる処理などを、まとめてコードに書きたいと思うでしょう。
しかし、break文によってswitchブロックの外側に出てしまいます。
べつに、switch文の抜けたあとの場所に書くこともできるので、画面更新などの共通処理をコードを記述できる場所もあります。
しかし、実際に書いてみると分かるのですが、WindowsAPIではカッコ { } 記号がコード中に多かったりするので、よく、共通処理を書くべき場所を間違えてしまいます。
なので、慣れない内は、もし検出後の共通処理があまり長くない処理なら、それぞれのcase ブロックに処理を記述してしまうほうが簡単だし、見た目でも処理内容が分かりやすくなるでしょう。
文字入力
[編集]まず、入力欄を作らなければいけない。そのためには、「エディット ボックス」というのを使うと便利である。
「エディット ボックス」を呼び出せる関数は2つあり、CreateWindow() 関数と、CreateWindowEX() 関数である。
CreateWindow() 関数の使い方
[編集]- 方法1
LRESULT CALLBACK WndProc(HWND hWnd, UINT message, WPARAM wParam, LPARAM lParam)
の関数ブロック内に、下記のように case WM_CREATE: を作成し、
CreateWindow() 関数を使う。
case WM_CREATE:
CreateWindow(TEXT("EDIT"), TEXT("ここに名前を入力"),
WS_CHILD | WS_VISIBLE | WS_BORDER | ES_LEFT,
10, 10, 200, 30, hWnd, (HMENU)1,((LPCREATESTRUCT)(lParam))->hInstance, NULL);
と書く。
((LPCREATESTRUCT)(lParam))->hInstance について
最近のVisual Studio では、これを単に hInst と置き換えて
case WM_CREATE:
CreateWindow(TEXT("EDIT"), TEXT("ここに名前を入力"),
WS_CHILD | WS_VISIBLE | WS_BORDER | ES_LEFT,
10, 10, 200, 30, hWnd, (HMENU)1, hInst, NULL);
と書いても、コンパイルできて、エディットボックスを実行できる。(Visual Studio 2017 で動作確認してある。)
この CreateWindow() 関数は、名前はあたかもウィンドウ作成の関数っぽくて、まぎらわしいが、ウィンドウだけでなく、ボタンなどのコントロールも作成できる。
そして、作成できるコントロールの中には、文字入力欄を簡単に作れるエディットボックスがあるので、それを使う。
第1引数の
TEXT("EDIT")
により、エディットボックスを使うことを宣言している。第2引数は、ボックス内に表示される文字を指定している。アプリ起動後にエディットボックス内に表示される この文字(上記の場合は「ここに名前を入力」)は、エディットボックスDeleteキーなどで消去できる。
アプリ起動後に、ボックス内をマウスクリックすれば、文字入力カーソルがボックス内に表示され、ボックス内の文字を編集できるようになる。
これによって、文字列の入力欄を作れるが、しかし、まだ入力欄を作っただけなので、入力してみてエンターを押しても、まだ何も起こらない。
よって、入力後の処理をコードに追記していく必要がある。
- 方法2
または、ウィザードで作ったテンプレートの100行目あたりに
BOOL InitInstance(HINSTANCE hInstance, int nCmdShow)
というのがあり、その下に、
if (!hWnd)
{
return FALSE;
}
というのがあるので、その下でCreateWindowEX() 関数を使う。
if (!hWnd)
{
return FALSE;
}
CreateWindow(TEXT("EDIT"), TEXT("ここに名前を入力"),
WS_CHILD | WS_VISIBLE | WS_BORDER | ES_LEFT,
0, 0, 150, 30, hWnd, (HMENU)1, hInst, NULL);
なお、この位置は、lParam の効果が及ばない位置なのでエラーになので、それを使わないように引数を書く必要がある。
CreateWindowEX() 関数の使い方
[編集]ウィザードで作ったテンプレートの100行目あたりに
BOOL InitInstance(HINSTANCE hInstance, int nCmdShow)
というのがあり、その下に、
if (!hWnd)
{
return FALSE;
}
というのがあるので、その下でCreateWindowEX() 関数を使う。
最終的に、次のようなコードになる。
if (!hWnd)
{
return FALSE;
}
CreateWindowEx(0, TEXT("EDIT"), TEXT("ここに名前を入力"),
WS_CHILD | WS_VISIBLE | WS_BORDER | ES_LEFT,
10, 10, 200, 30, hWnd, (HMENU)1, hInstance, NULL);
なお、この位置は、lParam の効果が及ばない位置なのでエラーになので、それを使わないように引数を書く必要がある。
確定ボタンの配置
[編集]エディットボックスに文字を打ち込んだら、文字列を確定したことをOSに知らせる処理が必要です。(さらにその後、確定した文字列を変数に代入する処理が必要になります。)
まず、どうやって文字列を確定したことを宣言するか、考える必要があります。
実用的には、決定ボタンなどのコントロールをアプリウィンドウ上に配置するのが、簡単でしょう。
ボタンコントロールもまた、CreateWindow()関数で作成できます。
CreateWindow(
TEXT("BUTTON"), TEXT("決定"),
WS_CHILD | WS_VISIBLE | BS_PUSHBUTTON,
110, 70, 100, 50, hWnd, NULL, hInst, NULL);
なおBS_PUSHBUTTON,
の次の
110, 70, 100, 50,
について、これは
ボタンの左上のx座標110, y座標70, 幅 100, 高さ 50
という意味です。
後の処理のために、このボタンを呼び出すためのIDをつける必要があります。
後ろから3番目の引数(hWnd, NULL, hInst のNULL の部分)がIDです。IDは数字でなければ、なりません。
通常、 define マクロで定義するのが慣例です。
例えば、
CreateWindow(
TEXT("BUTTON"), TEXT("決定"),
WS_CHILD | WS_VISIBLE | BS_PUSHBUTTON,
110, 70, 100, 50, hWnd, (HMENU)BUTTON1_ID, hInst, NULL);
と書いたら、 さらにソースファイルの冒頭の、defineマクロのある箇所に、
#define BUTTON1_ID 10
のように定義して、BUTTON1_ID に任意の数字を与えます。
なお HMENU は型名であり、ハンドルの識別番号をあらわす型です。
文字列の取得
[編集]上述のように、ウィンドウ上に、ボタンコントロールで作成した決定ボタンを配置したとしましょう。
まず、ボタンコントロールが押されたときの処理は、
case WM_COMMAND:
の段落に書きます。この段落は、既にウィザードによって自動作成されています。
既に、
case WM_COMMAND:
{
int wmId = LOWORD(wParam);
// 選択されたメニューの解析:
switch (wmId)
{
case IDM_ABOUT:
DialogBox(hInst, MAKEINTRESOURCE(IDD_ABOUTBOX), hWnd, About);
break;
case IDM_EXIT:
DestroyWindow(hWnd);
break;
break;
default:
return DefWindowProc(hWnd, message, wParam, lParam);
}
}
break;
というようなコードが自動生成されているので、
case WM_COMMAND:
{
int wmId = LOWORD(wParam);
// 選択されたメニューの解析:
switch (wmId)
{
case IDM_ABOUT:
DialogBox(hInst, MAKEINTRESOURCE(IDD_ABOUTBOX), hWnd, About);
break;
case IDM_EXIT:
DestroyWindow(hWnd);
break;
case BUTTON1_ID: // このcaseが追加された
MessageBox(hWnd, TEXT("決定ボタンが押されました。"), TEXT("テスト"), MB_OK);
break;
default:
return DefWindowProc(hWnd, message, wParam, lParam);
}
}
break;
のように、case ボタンID を追加するだけです。
さて、われわれが行いたいのは、エディットボックスの文字列の取得ですから、上述の MessageBox() の代わりにエディットボックスの文字列を取得するコードを記述する必要があります。
まず、エディットボックスに名前をつける必要があります。どのエディットボックスから文字を読みこむか指定するためです。
とりあえず editbox1 という名前をつけたとしましょう。
エディットボックスに名前をつけるには、エディットボックスの作成時に、下記のように代入する必要があります。
case WM_CREATE:
editbox1 = CreateWindow(TEXT("EDIT"), TEXT("ここに名前を入力"), // この行の冒頭が変わった。
WS_CHILD | WS_VISIBLE | WS_BORDER | ES_LEFT,
10, 10, 200, 40, hWnd, (HMENU)1, hInst, NULL);
CreateWindow(
TEXT("BUTTON"), TEXT("決定"),
WS_CHILD | WS_VISIBLE | BS_PUSHBUTTON,
110, 70, 100, 50, hWnd, (HMENU)BUTTON_ID1, hInst, NULL);
エディットボックスにある文字列を取得するには、GetWindowText() 関数を使います。
GetWindowText() 関数の第1引数で、どのコントロールから取得するかを指定するので、そこに 先ほど名づけたエディットボックスの名前を入れます。また、取得した変数を代入するための変数として、事前に文字列型を定義しておきます。下記のコードでは、エディットボックスから取得した文字列を、 変数 kakunou に格納します。
case BUTTON1_ID:
GetWindowText(editbox1, kakunou, 100);
InvalidateRect(hWnd, NULL, FALSE);
UpdateWindow(hWnd);
これだけだとエラーになってしまいますので、次のようなコードをソース冒頭のグローバル領域に追加します。
static HWND editbox1;
TCHAR kakunou[256];
文字を取得しただけでは、まだ画面の描画内容の更新は行われません。
ボタンコントロールを押した場合にかぎらず、一般にwin32APIで画面の更新をするには、さらに下記の InvalidateRect 関数と UpdateWindow 関数が必要です。
InvalidateRect(hWnd, NULL, TRUE);
UpdateWindow(hWnd);
は決まり文句ですので、鵜呑みにしてください。
また、 case WM_PAINT: に、描画内容を書く必要があります。
たとえば case WM_PAINT: に、
TextOut(hdc, 200, 200, kakunou, lstrlen(kakunou));
のコードを追加したりします。
上述のこれらのコードを記述すれば、エディットボックスの入力結果を、ウィンドウに表示できます。