アブハズ語/動詞
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動詞の文法を読む上で必要な前提知識を先に掲載します。
人称接頭辞
[編集]絶対格
[編集]自動詞で動作主、他動詞で目的格を取る。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | с(ы)- | ҳ(а)- |
二人称(男) | у- | шә(ы)- |
二人称(女) | б(ы)- | шә(ы)- |
三人称(人間) | д(ы)- | р(ы)- |
三人称(非人間) | (и)- | р(ы)- |
能格
[編集]他動詞で動作主を取る。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | с(ы)-, з- | ҳ(а)-, аҳ-, аа- |
二人称(男) | у- | шә(ы)-, жә- |
二人称(女) | б(ы)- | шә(ы)-, жә- |
三人称(人間) | д(ы)- | р(ы)-, д(ы)- |
三人称(非人間) | (и)- | р(ы)-, д(ы)- |
з-, аа-, жә- は直後の音が有声音でかつ能格がアクセントでないと変化する。アブハズ語/音韻/異音化 を参照。
斜格
[編集]殆どの場合動作の対象を示す。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | с(ы)- | ҳ(а)-, аҳ- |
二人称(男) | у- | шә(ы)- |
二人称(女) | б(ы)- | шә(ы)- |
三人称(男) | и- | р(ы)-, д(ы)- |
三人称(女) | л(ы)- | р(ы)-, д(ы)- |
三人称(非人間) | (а)- | р(ы)-, д(ы)- |
時制
[編集]10種類存在する。本項ではうち5種類を扱う。
肯定 | 否定 | |
---|---|---|
現在終止 | -уа-ит | -уа-м |
現在非終止 | -уа | м-(動詞語幹)-уа |
アオリスト終止 | -ит | м-(動詞語幹)-ит |
アオリスト非終止 | (音素なし) | м-(動詞語幹) |
完了終止 | -хье-ит | мы-(動詞語幹)-ц(-т) |
完了非終止 | -хьо-у | мы-(動詞語幹)-хьо-у |
未来Ⅰ終止 | -п | -ра |
未来Ⅰ非終止 | -рым | м-(動詞語幹)-ра |
未来Ⅱ終止 | -шт | -ша |
未来Ⅱ非終止 | -шам | м-(動詞語幹)-ша |
未来Ⅰは、「もし●●なら、▲▲だろうに。」というような条件文の未来推量及び、「〇〇しにいこう」のような勧誘でしか使用しません。
未来Ⅱはいわゆる普通の未来形です。条件文の時は確実に現実になるであろう未来の時に使われます。
動作動詞
[編集]アブハズ語には2種類の動詞が存在し、状態動詞に対して一般的な動詞を動作動詞と呼びます。
アブハズ語では自動詞と他動詞で活用が異なります。ここでは最もシンプルな形を2種類ずつ紹介します。
自動詞の活用
[編集][絶対格]-[語幹]-[時制]
[編集][絶対格]は[語幹]する。
- [絶対格]-ца-[時制] [絶対格]は行く。 (а-ца-ра 行く)
- Иара дцеит. 彼は行った。
- Иара(彼) д-ца-ит(アオリスト)
- Иара дцеит. 彼は行った。
[絶対格]-[斜格]-[語幹]-[時制]
[編集][絶対格]は[斜格]を[語幹]する。
- [絶対格]-[斜格]-с-[時制] [絶対格]は[斜格]を叩く。
- Иара лара дылсуеит. 彼は彼女を叩く。 (а-с-ра 叩く)
- Иара(彼) лара(彼女) ды(絶対格)-л(斜格)-с-уа-ит(現在形)
- Иара лара дылсуеит. 彼は彼女を叩く。 (а-с-ра 叩く)
他動詞の活用
[編集][絶対格]-[能格]-[語幹]-[時制]
[編集][能格]は[絶対格]を[語幹]する。
- [絶対格]-[能格]-ба-[時制] [能格]は[絶対格]を見る。 (а-ба-ра 見る)
- Сара Инал ды-з-бе-ит. イナル(人名)を私は見た。
- Сара(私) Инал(人名) ды(絶対格)-з(能格)-ба-ит(アオリスト) бは有声音のため、能格с-がз-になっている。
- Сара Инал ды-з-бе-ит. イナル(人名)を私は見た。
[絶対格]-[斜格]-[能格]-[語幹]-[時制]
[編集][能格]は[絶対格]を[斜格]へ[語幹]する。
- [絶対格]-[斜格]-[能格]-ҭа-[時制] [能格]は[絶対格]を[斜格]へあげる。(а-ҭа-ра あげる)
- Илысҭеит. それを彼女へ私はあげた。
- и(絶対格)-лы(斜格)-с(能格)-ҭа-ит(アオリスト)
- Илысҭеит. それを彼女へ私はあげた。
- [絶対格]-[斜格]-з-ҭа-[能格]-гала-[時制] [能格]は[絶対格]を[斜格]へもってくる。(а-з-ҭа-гала-ра もってくる)
- Исызҭаугалеит.あなたはそれを私へ持ってきた。
- и(絶対格)-сы(斜格)-з-ҭа-у(能格)-гала-ит(アオリスト)
- Иузҭасымгалашт. 私はそれをあなたへ持ってこないつもりです。
- и(絶対格)-у(斜格)-з-ҭа-сы(能格)-гала-шт(未来Ⅱ)
- Исызҭаугалеит.あなたはそれを私へ持ってきた。
※-з-ҭа-は動詞前辞、 preverbです。