アブハズ語/音韻/異音化
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母音の異音化
[編集]アブハズ語は開母音と閉母音の2種類しかありませんが、母音の組み合わせによって異音化(Allophone)が起きるため、気を付ける必要があります。
標準アブハズ語の異音化
[編集]- А+И → ЕИ
- 【例】И-ба-ит ; Ибеит
- А+У → ОУ
- 【例】Бзиара убааит; ブジアーロ ウバーイト
- А+УА → О
- 【例】И-ба-уа-ит ; Ибоит.
- Аの前後が軟音化子音 (ьを含む音韻とҨ) → Е
- 【例】Аҩажь → Аҩежь
- ИかУの前後にЫがついている時 → Ыを消す
- 【例】Ауыс → Аус
- Аの前後が唇音化子音 → О
- 【例】Жәахә → Жәохә
- 末尾Ыで終わる単語+接尾辞→Ыを消す
- 【例】Аӡы-қәа → Аӡқәа
子音の異音化
[編集]日本語で言うところの濁音と清音を分けます。アブハズ語では対応する子音セットが存在しています。
その他の子音
[編集]- Л,М,Н → 異音化が起こらない
分類Ⅰ
[編集]有声音⇔無声音
- В⇔Ф
- З⇔С
- Ж⇔Ш
- Жь⇔Шь
- Жә⇔Шә
- Ҕ⇔Х
- Ҕь⇔Хь
- Ҕә⇔Хә
- ⇔Ҳ (対応する有声音がない)
- Ҩ⇔Ҳә
分類Ⅱ
[編集]有声音⇔無声音・有気音⇔無声音・放出音
- Б⇔Ҧ⇔П
- Д⇔Ҭ⇔Т
- Дә⇔Ҭә⇔Тә
- Ӡ⇔Ц⇔Ҵ
- Ӡә⇔Цә⇔Ҵә
- Џ⇔Ҽ⇔Ҿ
- Џь⇔Ч⇔Ҷ
- Г⇔Қ⇔К
- Гь⇔Қь⇔Кь
- Гә⇔Қә⇔Кә
- ⇔ ⇔Ҟ
- ⇔ ⇔Ҟь
- ⇔ ⇔Ҟә
- これら3つは対応する無声音と有気音がない
例
[編集]主に動詞の活用の時に異音化が起こります。 通常ならば、動詞に対して動作主接頭辞はこのように一人称単数はс-、二人称複数ならшә-をとります。
- 【例文】あなたはどこに住んでいますか? ― 私はスフミに住んでいます。
- Шәара шәабанхо? ― Сара Аҟәа сынхоит.
しかし、この動作主接頭辞の後に有声音が隣接した場合、音がз-, жә-,に変化します。
- 【例】 Бзиара жәбааит. こんにちは
- 【例】 Сара алашара збоит. 私は光を見る; I see the light
ちなみに対応する子音がないҲの音素がある一人称複数ҳа-はаа-に変化します。
- 【例】 Бзиала шәаабеит ようこそ
参考文献
[編集]- А.Шь.Шьынқәба他 "Аҧсуа бызшәа" アブハジア大学, 2008, p23-27