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ガロア理論/最小分解体

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

定義

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定義 (最小分解体)

を体の拡大とする。 で分解するとは、 の一次の多項式と定数の積に表すことができることをいう。

上の の最小分解体であるとは、 では分解するが の任意の中間体 について では分解しないことをいう。

存在性

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命題1

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と 定数でない多項式 について、その最小分解体が存在する。

証明

代数閉包 を取る。 が分解するような の中間体全ての共通部分を とする。この が最小分解体である。なお、 と書いたとき、 となる。詳細は読者に委ねる。

上で言及したことを命題として述べておこう。

命題2

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が体 で分解するとし、 であるとする。このとき、 は最小分解体である。

一意性

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命題3

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とし、 上の最小分解体を とし、 上の最小分解体を とする。このとき、 上の最小分解体である。

証明

命題2より、

と表したとき、 であるから、 である。したがって、命題2 を再び使えば主張を得られる。

命題4

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(i) を体の同型写像とする。 で対応しているとし、 上の最小分解体を とする 。このとき、体の同型写像 の拡張になっているものが存在する。
(ii) 上の最小分解体は 上の同型を除き一意に定まる。

証明

(ii) は (i) より直ちに従う。

以下、 とする。命題3 より、 における既約多項式であるとしても良い。

の根の一つであるとする。このとき、仮定より の最小多項式は であり、 上の同型である(ガロア理論/代数拡大)。



という同型写像を とおく。これは、 の拡張になっているため、 とおくと、 で対応している。したがって、 の次数に関する帰納法によって、 の拡張になっているような同型写像 が存在する。