ファイナンシャル・プランニング技能士試験/不動産

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不動産の見方[編集]

不動産の類型[編集]

不動産鑑定評価基準における更地とは、定着物や権利が付着していない宅地のことをいう。

不動産に関する調査[編集]

不動産の権利に関する調査[編集]

地上権(物権)は、借地権の1つでもあり、地主の承諾なしで譲渡などができる。土地の賃借権(債権)は、借地権の1つでもあり、地主の承諾なしでは譲渡等ができない。借地権が付いている土地の所有権のことを底地権という。

不動産登記簿の調査[編集]

登記事項証明書は、従来の謄本・抄本に代わる証明書である。だれでも登記事項等の閲覧・請求ができる。

不動産登記の効力[編集]

権利に関する登記には現在、本登記と仮登記がある。仮登記は書類等に不備があった場合に行われる。仮登記には順位保全の効果がある。所有権の登記をすると対抗力が持てる。登記には公信力がない。

不動産登記簿の構成[編集]

表題部は土地や建物の表示に関する事項が記載されている。権利部に記録する登記は甲区と乙区に分けられている。甲区には所有権に関する事項が記されていて、乙区には抵当権など所有権以外の権利に関する事項が記されている。

公図[編集]

地図が完成するまでは公図が利用される。

14条地図[編集]

地図は不動産登記法第14条に規定されている。

不動産の各種の価格に関する調査[編集]

公示価格[編集]

国土交通省が土地取引価格の指標のために毎年調査している、その年の1月1日における地価。3月末に公示している。

基準地価格[編集]

路線価[編集]

相続税・贈与税を算定する際の土地の評価の基準となる。例えば路線価図に"330D"と書いてあるとすると、1平方メートル当たり路線価が330千円で、借地権の割合が60%である。

固定資産税評価額[編集]

公示価格の70%が評価の目安である。固定資産税評価額は3年おきの基準年度に評価替えが行われる。

都市計画図[編集]

都市計画図では、市街化区域と市街化調整区域、容積率や建ぺい率、用途地域、都市施設などを調べることができる。

不動産の取引[編集]

不動産の取引と宅地建物取引業[編集]

宅地建物取引業者が売主になる場合、原則として代金の2割を超える手付金を受領してはならない。売主と買主が不動産業者と締結する媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介がある。

不動産の売買契約上の留意点[編集]

売買代金の額と内訳[編集]

手付金の授受と効果[編集]

契約時の一部代金を手付金という。買主が解約手付を交付しても、買主がが契約の履行に着手していなければ、売主は手付倍返しをすることで契約を解除できる。解約手付が交付されても、相手方が契約の履行に着手していると契約を解除できない。

売買対象面積(公簿取引、実測取引)[編集]

マンションの専有部分の床面積は、売買契約書の壁芯面積よりも登記簿の内法面積の方が小さい。 

危険負担[編集]

民法では、売買契約を結んだ建物が災害などで滅失し引渡しできない場合、売主は売買代金の全額を買主に請求できる(買主が代金を支払わなくてはならない)とされている。

瑕疵担保[編集]

建物に不備があるとき、売主は過失の有無に関係なく、買主に対して責任を負わなければならないと、民法に規定されている。引渡し後でも、買主が瑕疵を知ったときから一定の期間内であれば損害賠償請求ができる。 新築住宅の場合、売主は引渡し後10年間の瑕疵担保責任を負わなければならない。

不動産の賃貸契約(借地法、借家法、借地借家法[編集]

借地関係(普通借地契約、定期借地契約)[編集]

新法施行前に締結された借地契約では、すべてに旧法が適用されている。賃貸人が更新を拒絶する場合、正当事由が必要となる。定期借地契約は更新がない。定期借地権の種類は3つある。一般定期借地権は住宅や店舗などに用いられる。事業用借地権の存続期間は10年以上50年未満である。

借家関係(普通借家契約、定期借家契約)[編集]

借地借家法は事業用の建物賃貸借契約についても定めている。契約期間は原則1年以上で上限はなく、契約期間を定めていなければ家主は6ヵ月前の通告で解約できる。建物の賃借権(借家権)は、建物の引渡しが第三者への対抗要件になる。一定期間、建物の賃料の増額請求をしない特約は有効である。

定期建物賃貸借の契約には、契約の更新がないということを記載した書面を交付しなければならない(書面であれば公正証書でなくても有効である)。定期借家権は、契約期間が自由で1年未満でもよい。借家人には造作買取請求権が認められ、大家の同意を得て付けた畳などの造作を買い取ってもらうことができる。借家人は契約終了時に、借家を元の状態に回復させる原状回復義務を負うが、通常の使用による畳の磨耗などはこの範囲外なので張り替えなくて良い。

不動産に関する法令上の規制[編集]

土地基本法[編集]

都市計画法[編集]

都市計画区域[編集]

市街化区域は既に市街地となっている区域や、今後おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化すべき区域である。市街化調整区域はこれと逆の、市街化すべきでない区域のことである。市街化区域と市街化調整区域を分けることを線引きという。

開発許可制度[編集]

市街化区域において原則1,000m²未満の開発行為は都道府県知事の許可が不要である。開発区域内の土地は工事完了公告前でも譲渡できる。

建築基準法[編集]

建築確認は、都市計画区域や準都市計画区域などにおいてはすべて審査が必要である。

道路に関する制限[編集]

建築基準法では幅員が4メートル以上のものを道路としている。2項道路では、その中心線から2メートルの線が道路の境界であるとみなされる。建物の敷地は、建築基準法上の道路に2メートル以上接していなければならない接道義務がある。

用途に関する制限[編集]

建築する敷地が複数の用途地域にまたがる場合その建物は、敷地面積の大きいほうの用途地域の規定を受ける。住宅・図書館・老人ホームなどは工業専用地域に建設できない。

建ぺい率制限(緩和規定を含む)[編集]

敷地面積に対する建築面積の割合を建蔽率という。建ぺい率が 80 % の地域内で、防火地域内にある耐火建築物には建ぺい率の制限がない。

容積率制限(緩和規定を含む)[編集]

建築物の合計床面積の敷地面積に対する割合を容積率という。なので、敷地面積に基準容積率を掛けると建物の延べ面積の最高限度となる。前面道路が幅員12メートル未満であれば、その道路幅(敷地全体において接する道路が複数あれば幅の広い方のみ使う)に住居系、商業系・工業系で異なる乗数を掛け容積率を求める。それを指定容積率と比べ、小さい方が基準容積率になる。用途地域や容積率が異なる敷地をまたいで建物を建てるとき、建物の延べ面積は各地域の延べ面積を合計する。

国土利用計画法における売買等の許可制と届出制[編集]

農地法[編集]

売買[編集]

農地の売買には許可が必要である。市街化区域内の特例はない。

転用[編集]

市街化区域内での、農地の転用および転用目的での所有権の移転は農業委員会に届出をすれば許可は不要になる。

貸借等の認許可[編集]

他人に農地を小作させる場合、農業委員会の許可が必要となる。

土地区画整理法上の区画整理地区内の売買等の留意事項[編集]

土地区画整理事業の施行者には、所有者・借地権者や彼らの同意を得た者がなれる。施行者は地権者のために仮の宅地である仮換地を定めることができる。区画整理地区になった以前の宅地は使えなくなるが、売買することはできる。

区分所有法[編集]

専有部分と共用部分、敷地利用権[編集]

専有部分の所有権のことを区分所有権という。店舗等のみの建物でも適用できる。専有部分と共用部分は分離できない。専有部分と敷地利用権も原則として分離・処分できないが、規約により分離できる。

規約、集会、復旧・建替え、義務違反者に対する措置[編集]

管理組合の最高意思決定機関は集会で、管理者ではない。規約の変更や廃止は、区分所有者・議決権(専有部分の面積の割合)のそれぞれ4分の3以上で決議される。建替えの取り決めには、区分所有者と議決権の5分の4以上による決議がいる。所有者は義務違反者に対してその行為の停止を求めることができる。

不動産の取得・保有に係る税金[編集]

不動産の取得に係る税金[編集]

不動産取得税[編集]

不動産を取得すると、都道府県から納税通知書が送られ不動産取得税を納める。登記とは無関係である。相続や遺贈・合併や分割のような場合は課税されない。課税標準は、固定資産税評価額である。平成24年3月31日まで、非住宅の建物以外は税率3%であり、宅地の課税標準の価額は2分の1となる。

登録免許税[編集]

所有権の移転などをするときの、登録免許税の課税標準は固定資産税評価額が用いられる。抵当権の設定登記の場合の課税標準は債権金額である。土地の売買による所有権移転登記の登録免許税率が2分の1に軽減される特例と、住宅用家屋に対する軽減措置は平成23年3月31日までである。

消費税[編集]

土地の譲渡や貸付に消費税はかからないが、1ヵ月未満の土地の貸付けは課税取引である。住宅の貸付けは非課税である。

印紙税[編集]

不動産売買契約書に収入印紙が添付されていなくても、契約そのものは有効である。「不動産の売買契約書」と「建設工事の請負契約書」にかかる印紙税額は、平成23年3月31日までに作成すれば軽減される。

事業所税[編集]

マイホームの取得と税金(住宅ローン控除等)[編集]

住宅借入金等特別控除は、住宅ローンを利用したときに適用される税額控除である。平成21年(2009年)12月31日までの、住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例を利用すると、非課税枠が3,500万円に拡大する。

不動産の保有に係る税金[編集]

住宅用地の課税標準の特例は両者で軽減の割合が異なるが、ともに住宅の床面積の10倍が限度である。

固定資産税[編集]

固定資産税は毎年1月1日現在の固定資産課税台帳に登録されている人に課税される。固定資産税評価額は市町村長が決定し、3年ごとに評価替えが行われる。平成22年(2010年)までに建てられた新築住宅で一定の要件に当てはまるものは、その床面積120平方メートルまでの税額が2分の1に軽減される特例がある。

都市計画税[編集]

都市計画税は0.3%の制限税率なので、条例でこれを超える税率を定められない。200平方メートルまでの小規模住宅用地では課税標準額が3分の1になる。

不動産の譲渡に係る税金[編集]

不動産と譲渡所得[編集]

譲渡所得の計算[編集]

譲渡所得の計算式は、「譲渡所得の金額 = 総収入金額 - (取得費 + 譲渡費用)」で求められる。その取得費の計算式は、「取得費 = 譲渡した資産の取得価額 + 設備費・改良費 - 減価償却費相当額(建物の場合)」である。取得費が譲渡収入金額の5%より少ない場合でも、概算取得費として5%を費用にすることができる。

長期譲渡所得と短期譲渡所得[編集]

5年超の長期譲渡に対する税率は20%(所得税15%、住民税5%)で、5年以内の短期譲渡に対する税率は39%(所得税30%、住民税9%)である。

課税の特例[編集]

居住用財産をめぐる特例[編集]

居住用財産を譲渡したとき、譲渡所得を上限に3,000万円を控除できる。居住用財産の所有期間を問わない。特別の関係にある人(親子・夫婦など)への譲渡には適用されない。 加えて、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていると長期譲渡所得として軽減税率が適用される。3,000万円の特別控除後の課税長期譲渡所得金額の6,000万円以下の部分は、所得税10%・住民税4%になる。

譲渡した年の1月1日時点の所有期間が10年超だと、特定の居住用財産の買換え特例が利用できる(平成21年12月31日まで)。自宅の売却価額が購入価額を上回った場合、その差額分が収入金額になりそこから一定の必要経費(取得費と譲渡費用)を差し引いた譲渡所得に課税され、残りの譲渡益には課税の繰り延べがなされる。この特例を受けた買換資産の取得価額は譲渡資産の取得価額を引き継ぎ、買換資産の取得時期は買換資産の取得日である。

平成21年12月31日まで、居住用財産の買換え等の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例が適用でき、損益通算で控除しきれない損失が生じた年の翌年以降3年間は繰越控除ができる。譲渡のみの場合でも、特定の居住用財産の譲渡損失は給与所得などと損益通算できる。

特定事業用資産の買換え特例[編集]

買い換えた資産の取得価額が譲渡した資産の価額以上であれば、買換え部分の課税が80%繰り延べられる。譲渡の年とその前後1年間に買換資産を取得すると対象になる。買い換えた土地の面積が譲渡した土地の面積の5倍以上であっても、面積制限内の部分は対象になる。買換え資産の取得価額は譲渡資産の取得価額を引き継ぐ。平成23年(2011年)12月31まで適用される。

相続税の取得費加算[編集]

不動産の賃貸[編集]

不動産の賃貸に係る税金[編集]

不動産所得[編集]

不動産の貸付けは規模に関係なく不動産所得である。不動産所得は、「不動産所得の金額 = 総収入金額 - 必要経費」の計算式で求められる。敷金や保証金は返還しないものであれば総収入金額に含まれる。不動産取得税・固定資産税、借入金の利子の部分、貸家の修繕費は、不動産所得の必要経費に算入できる。所得税などは必要経費にならない。事業的規模でない不動産所得でも青色申告できる。

不動産貸付と消費税[編集]

土地の売買や貸付に消費税はかからない(不動産業者であっても)が、1ヵ月未満の土地の貸付けは課税取引である。住宅の貸付けは非課税である。

借地権の税務[編集]

土地を貸し付けた場合、その対価として権利金が支払われる。借地権の権利金が土地の価格の2分の1を超えるときは、不動産所得から譲渡所得になる。

不動産の有効活用[編集]

不動産投資と利回り[編集]

不動産投資の形態[編集]

不動産投資の採算性[編集]

不動産の鑑定評価の方法には、原価法、(取引事例)比較法、収益(還元)法の3つがある。

原価法[編集]
取引事例比較法[編集]
収益還元法[編集]

直接還元法は、年間の純利益を還元利回りで除することにより収益価格を予測する。ディスカウンテッド・キャッシュフロー法も収益還元法の一つである。

有効活用におけるフィージビリティ・スタディ[編集]

有効活用の手法[編集]

自己建設方式[編集]

土地所有者が自ら建設し事業を行う方式である。

事業受託方式[編集]

事業主体は土地所有者だが、デベロッパーが実際の業務を一括受託する。土地取得者は資金を負担するが、所有名義が残る。

土地信託方式[編集]

賃貸型土地信託において、土地の所有権は契約終了後に信託受益権を持つものへ戻される。信託配当の保証はない。

等価交換方式[編集]

土地所有者がデベロッパーに建築してもらい、土地と建物を出資割合で分け合う方法である。全部譲渡方式は、いったん全部の土地を譲渡する方法である。部分譲渡方式は、土地の一部を売却し売却益に相応する建物の一部分を取得する方法である。

定期借地権方式[編集]

各方式の比較(税務面等の効果)[編集]

個人が等価交換方式を利用するとき、中高層耐火建築物への買換え特例(特定民間再開発の買換え特例)を適用すれば、譲渡益の全額について課税が繰り延べられる。

不動産の証券化[編集]

不動産の証券化における発展の3形態[編集]

証券化関連の法律[編集]

資産の流動化に関する法律[編集]

投資信託および投資法人に関する法律[編集]

投資判断の基礎(DCF法[編集]

DCF法は、対象不動産が生み出すと予測される純収益の現在価値と、その不動産を売却したときの予想額の現在価値を合計して、不動産の価格を求める方法である。DCF法の1つである内部収益率法は、将来のキャッシュフローの現在価値の合計と、投資額が等しくなる割引率を求める方法である。

借入金併用型投資の計算[編集]

年間の手取り額は「手取額 = 不動産価格 * 収益率 - 借入金 * 金利」であり、これを自己資金で割ると自己資金の収益率を求めることができる。

不動産投資信託[編集]

不動産投資信託は、不動産に投資し賃料収入や譲渡益を分配する。会社型投資信託では、投資法人を設立し資金を集める。J-REITでは会社型が流通している。分配金は配当所得である。元本や分配金の保証はないのでリスクがある。

不動産の最新の動向[編集]

平成21年の地価公示において全国平均の地価は3年ぶりに下落し、三大都市圏でも下落に転じた。平成20年版の土地白書での土地の取引件数は全国的に減少している。企業による不動産の所有と利用の分離が行われており、土地の所有が有利とは限らなくなっている。