民法第570条
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
条文[編集]
(売主の瑕疵担保責任)
解説[編集]
- 民法第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
学説[編集]
- 法定責任説
- 売買契約の売主は目的物をそのまま引き渡せば足る(特定物債権について第483条参照。特定物のドグマ)のであるが、瑕疵について売主が一切責任を負わないとするのは不当であるから、瑕疵担保責任は契約の義務の例外規定として法が特に設けた責任であるとする。
- 契約責任説
- 売買契約の売主には瑕疵のない目的物を引き渡す義務があるから、瑕疵のある物の引渡しは債務不履行であり、したがって570条は債務不履行責任についての特則であると考える。
要件[編集]
「隠れた瑕疵」があること。
隠れた瑕疵[編集]
「隠れた」とは、買主が瑕疵の存在について善意・無過失であることを意味すると解されている。また、何をもって「瑕疵」とするかは、契約の目的によって異なる。
行使期間[編集]
本条が準用する566条3項によって、瑕疵担保責任が追及できる期間は、買主が瑕疵を知ったときから1年間に制限されている。
効果[編集]
瑕疵担保責任を追及する場合、買主は損害賠償請求ができる。また、瑕疵のために目的を達することができないときは、契約の解除をすることができる(566条1項の準用)。
契約責任説によれば、瑕疵担保責任は債務不履行責任の特則であると考えられるから、買主は損害賠償請求権・解除権のみならず、契約の効果としての完全な履行を請求する権利があるとされる。すなわち、瑕疵の修補を請求し、あるいは代物を請求する権利もあるとされる。
強制競売[編集]
- 適用されないのは、競落人は目的物の瑕疵を覚悟しているからである。
参照条文[編集]
- 第555条(売買)
- 第568条(強制競売における担保責任)
- 宅地建物取引業法第40条(瑕疵担保責任についての特約の制限)
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条(新築住宅の売主の瑕疵担保責任の特例)
判例[編集]
- 自動車残代金並びに附属品代請求(最高裁判例 昭和29年01月22日)商法第526条、民法第566条
- 商品代金請求 (最高裁判例 昭和33年06月14日)民法第95条,民法第696条
- 約束手形金請求(最高裁判例 昭和36年12月15日) 民法第415条,民法第541条
- 手付金返還請求 (最高裁判例 昭和41年04月14日)
- 売掛代金請求(最高裁判例 昭和47年01月25日)民法第415条,商法第526条
- 売買代金、同反訴請求(最高裁判例 昭和50年02月25日) 民法第91条,民法第506条1項,民法第566条
- 損害賠償 (最高裁判例 平成3年04月02日)民法第559条,民法第569条
- 損害賠償 (最高裁判例 平成4年10月20日)民法第566条
- 損害賠償請求事件 (最高裁判例 平成13年11月27日)民法第167条1項,民法第566条3項
- 損害賠償請求,民訴法第260条2項の申立て事件(最高裁判例 平成22年06月01日)
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