民法第570条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法民法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文[編集]

(抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求)

第570条
買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権質権又は抵当権が存していた場合において、買主が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、買主は、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。

改正経緯[編集]

2017年改正により、旧・第567条第2項の趣旨を継承。従来当然解釈の範疇であった不動産質も明文化した。なお、第1項・第3項については、民法第565条が適用される。 (抵当権等がある場合における売主の担保責任)

  1. 売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。
  2. 買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。
  3. 前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。

旧民法第570条[編集]

改正前の条文は以下の通り。 (売主の瑕疵担保責任)

売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
  • 旧・民法第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)

いわゆる、「物の隠れたる瑕疵」については、旧・民法第566条の「権利の瑕疵」に関する責任を準用する旨定めた「瑕疵担保責任」の条項。2017年改正において、「瑕疵担保責任から契約不適合責任」へと全面改正され、基本的にその趣旨は以下の条項に引き継がれた。改正前後の経緯等については、契約不適合責任を参照。

但書により、強制競売に関しては、「権利の瑕疵」については担保するが、「物の瑕疵」については担保しないものとされていた。立法趣旨としては、物の瑕疵は通常それほど重大ではなく,買受人も物に多少の瑕疵があることを予期 して多少の廉価で買い受けるのが通常であるから、買主保護よりも競売結果の確実性を期すべきとしたものである。しかしながら、物の瑕疵と権利の瑕疵の区別は明瞭とはいえない場合があるため、瑕疵の種類によって買主の権利に差異を設けることは不合理であるなどの理由から、強制競売等に関し第568条に集約された際に継承されず削除された。

解説[編集]

参照条文[編集]

判例[編集]


前条:
民法第569条
(債権の売主の担保責任)
民法
第3編 債権

第2章 契約

第3節 売買
次条:
民法第571条
削除
民法第572条
(担保責任を負わない旨の特約)
このページ「民法第570条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。