ラテン語 ギリシア語由来の名詞

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ギリシア語からラテン語に入った名詞には、ラテン語文中でもギリシア語式の変化形を残存しているものがある。 特に固有名詞にこの傾向が強く、また呼格が主格と異なるものが少なくない。 複数ではおおむねラテン語式の変化に従う。

第一変化名詞[編集]

-ās, -ae[編集]

ギリシア語式のパターンの一つ目は、主格単数が -ās 、属格単数が -ae となるものである。男性名詞となる。ここでは、人名「Aenēās, Aenēae」(アエネーアース)を例にとって、格変化を示そう。

数 (numerus)単数 (singulāris)複数 (plūrālis)
主格 (nōminātīvus)-ās (Aenēās)-ae (Aenēae)
属格 (genitīvus)-ae (Aenēae)-ārum (Aeēārum)
与格 (datīvus)-ae (Aenēae)-īs (Aenēīs)
対格 (accūsātīvus)-am, -ān (Aenēam, Aenēān)-ās (Aenēās)
奪格 (ablātīvus) (Aenēā)-īs (Aenēīs)

呼格は、-ā、つまり奪格と同形となる。この場合はAenēā。

例(男性名詞のみ)[編集]

Aenēās, Aenēaeアエネーアース(希: Αἰνείας(アイネイアース);人名)
Leōnidās, Leōnidaeレオーニダース(希: Λεωνίδας ;スパルタの有名な王)

-ēs, -ae[編集]

ギリシア語式のパターンの二つ目は、主格単数が -ēs 、属格単数が -ae となるものである。男性名詞となる。ここでは、「火打石」を表す「pyritēs, pyritae」を例にとって、格変化を示そう。

数 (numerus)単数 (singulāris)複数 (plūrālis)
主格 (nōminātīvus)-ēs (pyritēs)-ae (pyritae)
属格 (genitīvus)-ae (pyritae)-ārum (pyritārum)
与格 (datīvus)-ae (pyritae)-īs (pyritīs)
対格 (accūsātīvus)-ēn (pyritēn)-ās (pyritās)
奪格 (ablātīvus)-ē, -a (pyritē, pyrita)-īs (pyritīs)

呼格は、 -ē (pyritē) 又は -a (pyrita) (短音)となる。つまり、奪格と同じ形である。

例(男性名詞のみ)[編集]

pyritēs, pyritae火打石(希:πυρίτης

-ē, -ēs[編集]

ギリシア語式のパターンの三つ目は、主格単数が -ē 、属格単数が -ēs となるものである。前二者が男性名詞だったのに対して、女性名詞となる。もはや単数属格は -ae の形をしていないが、複数属格はなお -ārum という形をとるので、A型の格変化に含める。ここでは、「要旨」を表す「epitomē, epitomēs」を例にとって、格変化を示そう。

数 (numerus)単数 (singulāris)複数 (plūrālis)
主格 (nōminātīvus) (epitomē)-ae (epitomae)
属格 (genitīvus)-ēs (epitomēs)-ārum (epitomārum)
与格 (datīvus)-ae (epitomae)-īs (epitomīs)
対格 (accūsātīvus)-ēn (epitomēn)-ās (epitomas)
奪格 (ablātīvus) (epitomē)-īs (epitomīs)

呼格は、-ē (epitomē)となる。つまり、奪格と(この場合、主格とも)同形である。

例(女性名詞のみ)[編集]

epitomē, epitomēs(要旨、希:ἐπιτομή

第二変化名詞[編集]

第三変化名詞[編集]

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