中学受験ガイド/学園ごとの特色のちがい

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

中高共通の話題については下記リンク

高校で外部進学を募集しているか否か[編集]

高校募集停止をした完全中高一貫校[編集]

私立中学によっては、2010年以降、併設の高校では受験生の募集を廃止して、すべて中学からの内部進学組に切り替えた私立の学園も、少なからず、あります。

偏差値の高低にかかわらず、高校での外部からの募集停止をした高校が少なからずあります。これを「完全中高一貫校」と言います。

このような完全中高一貫校の場合、募集人員の数は、一般の中学と同程度です。(たとえば1学年あたり8学級など)

なお、公立の中高一貫校でも、高校では外部受験生の募集を停止している学校も、少なからず、あります。


高校受験で外部募集をしている場合の中学の定員の傾向[編集]

学校にも寄るのですが、併設されている高校を持っている中学校では(ほとんどの私立中学が高校を併設しています)、高校で受験生を応募している場合、併設の中学では学生数の定員が少なめです。

たとえば、高校がもし1学年あたり8学級なら、中学は1学年あたり4学級、のように中学の定員が高校の半分だったりします。

もし、進学先の中学でたくさんの同級生と触れ合いたい場合、こういった事も考慮事項になります。

4学級なら、まだマシです。2学級の私立中学もよくあります。

昭和に高校が設立されたあとに、平成になってから付属中学を設立した学園の場合に、よくこういう事例があります

学校の所在地がベッドタウンなどだと、建築基準法などの建築規制などで敷地の境界ちかくに立つ新校舎(今の中学校舎)は2~3階までしか建物を建築できない場合があり(たとえば学校周辺に住宅地がすでにあって、2~3階までしか建てられないとか)、そのため1学年あたり2学級が限界、という場合もあるのです。

それに、高さ以前に、そもそもの床面積が中学校舎は狭いという事例もよくあります。付属中学を過去の校庭の一部をつぶして校舎を建てなければいけないので、あまりに校庭をつぶすと体育の授業に支障が出るので、なので2学級が限度、というわけです。

コース制のある私立中学[編集]

グローバルコースやサイエンスコースなど[編集]

2020年代の今時の私立中学には、学科のような「コース」制または「クラス」制を導入している私立中学もあります。よくあるのは、理系重視の特別授業があったり普段の理系授業もレベルの高い「サイエンス」コースと、英語重視で国際交流人材を目指した教育をうたっている「グローバル」コースです[1]


なお、けっして生徒全員がどちらかのコースに所属するのではなく、大多数の生徒は「一般」コース[2]または「文理」コースといった文理共通のコースに所属するようです。(※ 情報不足で未確認です。詳しく知りたければ、各自で調査してください)

また、一般コース以外は、上記グローバルまたはサイエンスの片方のコースしかない私立中学もあるので、勘違いしないように[3]


昭和の昔は無かったシステムであり、2010年以降に最近に増えたシステムのようなので、当wikiでは説明しきれません。よって、下記の情報は、間違っている可能性、もしくは当てはまらない可能性があります。なので、正確な情報については各中学のパンフレットを見るなり、説明会で聞くなりしてください。


選択授業とは違うので、入試などで関連教科の成績が良くないと、そのコースに入れないようです。(たとえばサイエンスコースなら、入試や定期テストなどの理科や算数・数学の成績が特に良くないと、そのコースに入れない。)


また、学科ではないので、3年間同じコースとは限りません。


「コース」ではなく「クラス」と呼んでいる中学もあるように、学級は一般クラス(または一般コース)とは分かれます。

難関大コースなど[編集]

上記とは別に、学力の高いコースとして、1部のクラスで「難関大コース」とか「アドバンスドコース」だとか「特進コース」みたいな名前の、将来的な大学受験対策を意識した、優等生向けの勉強量の多いコースを設置する中学もあります。

決して一つの中学校に「難関大コース」と「アドバンスド」コースがあるわけではなく、たいていは一つの中学に優等生むけコースは一つなのが現状です。

女子校にはこういう種類の成績分けのコースは少なく、共学や男子校で比較的に見られるコースです[4]


原理的には 「グローバル×特進」みたいな組み合わせ型のコース分けの設置の可能性も考えられますが、しかし2024年の現状、そういう話を聞きません。組み合わせ型コース(← wikiで勝手に命名)は、教員の授業準備の負担がさらに増えるので(もしくは学費が増える)、たぶんそこまで細かくコース分けする中学はあってもごく少数だと思います。

都会の中高一貫校の設備の共有[編集]

基本[編集]

都会の私立の中高一貫校の中学生が使う設備は、そもそも高校と共有されているのが普通です。そのため、あまり中学生の人数を増やせません。完全中高一貫校であってもなくても、です。どちらの一貫校であっても、普通の中学校よりも、生徒の定員数は減ります。完全中高一貫校にして中学生の人数が不完全一貫校よりも多めの場合(たとえば同規模の不完全一貫校が4学級で、同規模の完全中高一貫校が6学級だとする場合)、そのぶん高校の定員が完全中高一貫校では減っているわけです(昔は高校が8学級だったのが6学級に減ったりした)。


たとえば中高一貫の中学生が使う理科室は、同じ中高一貫の高校生が使う理科室と同じ部屋です。家庭科室や美術室や音楽室や体育館や柔道場も水泳プールなども同様です。


中学側の校舎に簡易的なコンピュータ室などがある場合もありますが、簡易的なものです。(コンピュータは全学年が頻繁に使うので、中学側でも別途、用意されていることも多い。)

いっぽう、音楽室は防音などの設備が必要だし、ピアノなどの楽器も共有するので、簡易的な音楽室と言うのは難しく、したがって、おそらく高校側と音楽室が共有になる可能性が高いでしょう。


田舎などで公立の中高一貫校を21世紀になって新築された学校などは別かもしれませんが、少なくとも都会の私立の中高一貫校などは普通、設備が中学と高校とで共有されており、同じ敷地内に私立中学と私立高校があります。

歴史的には多くの場合、戦後になって作られたような首都圏の私立の中高一貫校は、もともとは私立高校だけだったのが、あとから付属の中学が追加されたという形であるので、そのぶん敷地はせまいのです。

なお、戦前からあるような古い私学だと、wikipediaなどで調べると1948年に中高が一緒に設立されている例も多いですが、しかしこれは戦後の学制改革にともなう再申請に過ぎず、戦前の制度では高校または中学のどちらかが先行して設立されているのが実態です。


また、この事から、都会の私立中高一貫校では理科室やら家庭科室などを特別に他校よりも多く使った授業は、少し実施が難しくなります。

だから普通、都会の中高一貫校にたとえば理数科とかの学科で実験の授業の多い特色の学科なんて、ありません。

仮に一貫校になる前の過去の高校だけだった昭和の時代にそういう実験の多い授業をしていた歴史があったとしても、そのあと一貫校になった現代では実験の多い特別授業みたいなのは廃止されたままでしょう。

せいぜい、中高一貫校では、中学だけにある技術家庭科の技術分野のための技術実習室が追加されているくらいです。


食堂なども当然、共有されているので、中高一貫校での食事は高校に準じたものになります。つまり、現代の都会の私立の中高一貫校では普通、給食はありません。なので、お弁当を中学時代から持っていく事になるでしょう。


校舎だけでなく、校庭も共有です。これはつまり、運動部も、中学と高校とで設備を共有することになります。ただし、1学年あたりの生徒が中高一貫校は少ないため、あまり問題は無いかもしれません。また、都会の私立は、そもそも中高一貫校かどうかにかかわらず、校庭の敷地自体が元からせまいという事を覚悟する必要があります。

都会の私立だからって、決して何でも理想的な環境というわけではありません。広い敷地が必要なら本来なら地方に移転する必要があるし、なのに都心にある以上は設備に何らかの制約があります。

なお、生徒会室も中高で共有です。なぜなら学校行事は校内の中学高校とで協調して行う必要がありますので。


こういう情報はパンフレットを見ても書いてませんし、学校説明会でもそこまで説明してくれませんので、文化祭などである程度は志望校を見学してください。もし、普通の公立中学のような校舎を予想して中高一貫校に進学してしまうと、入学後に予想とのギャップ(差)を感じることになってしまいます。


たとえ昇降口(しょうこうぐち)はもし中学と高校とで別々だとしても、中高一貫校の校舎内部では中学棟と高校棟がつながっているのが一般的です。

給食室が無い件、つまりお弁当持参[編集]

お弁当の件は、親視点で見れば、私立中に進学させると、月曜から土曜の毎日、弁当を用意することになります。

子どもがお弁当を持っていって通学のために家を出るということは、つまり、毎日、母親はもっと早く起きるわけです。

具体的には、母親が専業主婦になるという意味です。ジェンダー差別どうこうといった机上の議論には意味がありません。多くの私学生徒の保護者は現にそうしています。両親ともフルタイムで共働きで勤務するというのは、現実的には私立進学の家庭では無理です。

一部の都会の外資企業やIT企業などが、「女性にも働きやすい職場」みたいな事を言って、さぞフルタイムで働いていて活躍しているかのように女性社員を宣伝しますが、ああいうのは広告塔ですので、真に受けないようにしましょう。ずいぶんと日本国民をなめた宣伝をしています。

子が都会の私学に進学するという事の意味は、母親が専業主婦またはパート主婦などの非正規雇用といった、それに近くなるという意味です。

じっさい、既婚女性に限った統計ではないのですが、書籍『検証・学歴の効用』にある情報によると、少なくない女性が、正規雇用よりも非正規雇用を好んでいる実態がある事が、研究者の佐藤博樹・小泉静子の研究(2007)によって解明されているとの事です[5]


子どもを私立に進学させようと思ってる親は、そこまで考えましょう。

公立中学なら給食があるので、せいぜい土曜日・日曜日(部活で出る日)だけのお弁当を用意すれば済みますが、

しかし私立の場合、学校によっては、月曜から土曜日までの毎日、お弁当を用意することになります。


私立にも食堂の用意されている学校はありますが、混雑しているという現実を理解してください。混雑を嫌った生徒の家庭が弁当を持ってきてくれているので、なんとか、食堂でもサバける状態です。

お弁当を早く食べ終われば、そのぶん、自習室や図書室などでお勉強したり読書したりと、有意義な時間を過ごせるわけです。

学校によっては、校外の近隣に食堂の無い場所もあります。(校舎のために広い敷地が必要なので、やや僻地に校舎があるのが普通です。)

校内の食堂か、お弁当か、その2つが現実的な選択肢です。


私立の女子中高とかで、「自立した女性」うんぬんの教育理念をうたっている学校がありますが、しかしそういう学校に子どもを通わせて満足な成績で卒業させるためには、母親は専業主婦またはそれに近いパート主婦にならざるを得ないというのが現実です。

戦前や、戦後でも戦後の学制改革の1948年(なお終戦は1945年)から20年以内の1968年までなら、そういう事に気づかなくても仕方ないかもしれませんが、しかしもう2020年以降であり戦後70以上たってるので、そろそろ実情に気づきましょう。

まあ、つまりそういう私学女子校の言う「自立した女性」というのは建前や努力目標に過ぎず、実際は少し割り引いて考える必要があります。「わが校は、卑屈な女性を育てたりはしていないつもりです」くらいの意味合いでしょう。

よく、育児の評論とかで、「子育てで母親が大変なのは、子が赤ん坊や幼児のうちだけ」みたいな知ったかぶりを言う人がいますが、実際には、私立中学や公立でも高校に進学すると、母親の仕事は増えます。なお、公立でも中3とか高校3年とかは受験のことも親も一緒に調べないといけません。

子が幼稚園・保育園や、小学生(ただし公立)のうちだけ、母親の負担が軽くなるだけです。

お弁当用のほぼ調理済みのウィンナーとかハンバーグとかスーパーに売ってますし、あるいは出来合いの総菜を弁当箱に詰めるとか、そういうので十分に対処できますが、それでも毎日、弁用をつくる事になりかねません。


図書室[編集]

図書室も保健室も、中高一貫校では普通、共有されています。

中高一貫校の図書室では、中学1年生でも高校3年生のための大学1年レベルの本を借りられてしまうので、進学後は自分で読書レベルを調節しましょう。また同様、いつまで経っても高校になっても中学レベルの読書をしないよう、気をつけましょう。

学園がパンフレットなどの宣伝で「わが校は蔵書(ぞうしょ)4万冊!」と言っても、それは中高あわせて4万冊だったりするので、単純計算では 中学レベル2万冊 + 高校レベル2万冊 です。

都会の私立の中高一貫校の図書室はともかく狭い(せまい)ので、いちいち受験勉強用の参考書とか都会私立の図書室には置いてないです。なので、自分のカネで参考書を買いましょう。

大学受験の赤本(過去問集のこと)なんてのは都会の中高一貫のせまい私立中高の図書室には置いてなかったりして、仮に過去問集がおいてあるとしたら進路指導室とかです。

地方の私立の図書室がどうかは知りません。


なお読書について、進学校に入ると普段の学業で忙しく、あまり教科書・参考書以外の読書は出来ません。なので図書室は、せいぜい調べ学習などで、ときどき図書室を使うくらいです。

あるいは、部活動などで、所属している部活のスポーツや芸術の教本を読んだりして勉強したりするくらいでしょう。なので、中高で図書室が共有されていても、何の不都合もありません。

学校の図書室の利用法は、どちらかというと、蔵書を眺める(ながめる)ことにより、どういうレベルの本を中高の学生が読むべきかを把握できるのが利点です。


つまり、世間の書店には、下らない、どうしようもない書籍も置いてあります。図書館の司書や図書室長が、選書のさい、そういうしょうもない書籍を購入しないように自校の学校図書室を管理しているわけです。 公立中学の場合、司書がいない中学も多いので(教員が図書室の管理を兼任していたりする)、選書は他校や業界団体(学校図書館・図書室などの団体の推薦図書など)の後追いです。

文化祭などで中学進学前に私学などの図書室を見る機会があれば、こういう所にも注目すると良いでしょう。


だいたい、大学でも学部課程(大学1~4年)も修士課程も博士課程も図書館は基本的に一緒です。(ただし、研究室に別途、研究室内で共用の本が置いてある場合もある。もっとも、高校には研究室が無いので、関係ない話です。)

(ただし、高校のコンピュータ室に若干のパソコン練習マニュアル本が置いてあったりするが、些末(さまつ)な例外なので省略する。いちいち図書室に置くと管理的な事務が面倒だし、かといって生徒全員に与えるほどでもない書籍なので、コンピュータ室にそういう本が置いてあったりする場合もあるのです。なお、理科室など他の部屋には、そういう書籍は無いのが普通です。)


司書と私学の図書室

ほか、私学と公立の中学校で、図書委員の仕事内容が微妙に違います。なぜなら私学の図書室には、司書または専任の職員がいます。なので、私学では図書室の運営の細かい仕事は司書などの仕事です。

公立の小中学では、図書室の運営は、教員と、図書委員会の仕事です。昼休みや放課後などの図書室のカウンター業務などの管理を、図書委員が持ち回りで任されたりするわけです。

いっぽう、私立の小中の図書委員の仕事は、私学によっては生徒がカウンター業務を任される場合もあるかもしれませんが、どちらかと言うと書架整理や(これは公立でもやります)、図書室からの各クラスへの広報の下働きや、図書室主催のイベントの手伝い、図書室の掃除という美化、などです。

ただし、現代の私学では図書室の運営が電子化されていたりで貸出管理に専用ソフトウェアを使っていたりするので、生徒では管理が難しいので、もしかしたら私学では生徒によるカウンター業務は少なくなっているかもしれません。

いっぽう、公立の小中では生徒でも管理できるように、紙の図書カードを今でも使っている学校もあります。本の裏見開きにある図書カードに手書きで名前を書いて図書室カウンターに提出するアレです。


なお、公立でも高校になると、さすがに司書がいるはずです。このため、公立高校の教育には税金が多めに掛かっています。

公立の小中学校で司書がいる地域は、ごく一部です。また、もし名目上の司書が公立の中高にいても、必ずしも普段から出勤しているとは限りません。

教育学の専門書『よくわかる教育課程』によると、多くの公立小中高では司書がいないのが実態です。1997年の学校図書館法の改正で、法律上は司書の配置が義務化されましたが、しかし実態は学級担任などが司書を兼任しており[6]、とても実態は司書と呼べるものではありません。

なお、公立学校の司書は、都道府県の職員という地方公務員であり、他の図書館に転勤したりもします。公立高校司書は、教員とは異なります。


また、公立中学などは司書がいないため、図書室の開館時間が短めである、という特徴もあります。

昼休みや放課後以外は、カギが掛かっていて、その時間は利用不可能、といった場合もあります[7]

温水プールがあるとは限らない[編集]

私立だからといって、水泳授業や水泳部のつかうプールが、必ずしも屋根付きの温水プールとは限りません。

冷水プールの場合

たとえば、慶応義塾中等部は、屋外の屋根なしの普通の学校プール(「冷水プール」と言います)です。慶應義塾中等部 『夏だ!プールがある学校・ない学校【温水・冷水】 - 中学受験の下書き』

早稲田実業も冷水プールです。甲子園などによく出るので、なんとなく体育設備が豪華そうに錯覚しますが、勘違いしないように。


プール無しの場合

早稲田大学高等学院に至ってはプール無し。外部のプールを借りるのか、それともプール授業が無いのかどうかは知りません。

私立だからって必ずしもプールがあるとは思わないように。

また、早稲田グループのように、同じ系列の中高だからって、必ずしもプールがあるか無いかの方針が一致しているわけではありません。

他大の付属校でも、青山学院大学の付属校の場合、たとえば東京の青山学院中等部は温水プールあるのに、神奈川の青山学院横浜英和はプール無しです。埼玉の青山学院浦和ルーテルは温水プールありです。このように、プール設備の有無の方針は一貫していません。

早稲田実業のように、高校が甲子園の強豪校の私立だからといって、必ずしもプールがあるとは限りません。

ほか、受験校として日本トップ級の開成中高もプール無い。


進学校のメリット[編集]

受験する中学が進学校の場合、下記のようなメリット(利点)があるでしょう。

  • 一般の公立学校より荒れにくい
  • 6年間という長い時間で(普通は高校が併設されているので「6年間」)、のびのびと将来の進路を決められる
  • それぞれの学校にはっきりとした「建学の精神(教育理念)」がある
  • 一生ものの知識を身に付けられる
  • OB・OG(卒業生)との交流ができる

[受験前]

  • 勉強量が受験しない人と比べて圧倒的に増える
  • 少なくとも友達と遊ぶ時間が減る。受験年度~受験直前は友達と遊べなくなる
  • 経済的負担が大きい
  • ますます勉強嫌いになる可能性がある

[受験後]

  • 授業がハイレベルであるゆえ、ついていけなくなると復帰しにくい
  • 実技科目の授業が少ない場合がある(※要出典。指導要領違反では?)
  • 難関大学受験が前提なので、本当に行きたい大学に行けない、就職できないなど、自分の歩みたい道を歩みにくくなる可能性がある
  • テストが多い場合もある
  • 中学3年生ごろ、公立中学校ではふつう、高校受験に熱が入るが、中高一貫校では、それがないので中だるみが起きてしまうことがある
  • 通学時間が長くなることがある
  • 学費が高い
  • クラスメイト(やその保護者)がある程度偏っている
  • 公立小学校の友達と疎遠(そえん)になる

中学卒業後の同窓会の入会資格について[編集]

基本[編集]

私立の中高一貫校の中学に進学した場合で、中学卒業の時点で他の私立高校の学園に転校した場合は、それでも出身中学の同窓会に入会できる私立中学もあれば、いっぽう同窓会に入会できない私立中学もあります(高校卒業者の同窓会しかない場合もあります)。

高校進学後に後から同窓会の存在に気付いても、もう二度と私立の中学には再入学のしようが無いので、あらかじめ同窓会の入会資格については中学受験時に保護者だけでも理解しておいたほうが良いと思います。

その私立中学が大学の付属校の場合でも、たとえその学園の大学を卒業しても、付属の中学高校の同窓会には入会できない中学もあります。

なので、基本的には、中学受験をする場合は、なるべく高校卒業まで6年間、その学園に在籍する予定を前提にしたほうが安全です。


大学の同窓会と高校の同窓会の違い[編集]

なお、大学の同窓会イベントと、高校の同窓会イベントは、まったくイベント内容が違います。

大学・高校にもよりますが、大学には「1年3組」みたいなクラスがありません。そのためか、同窓会も、大学では、学年ごとの集まりと言うのは基本、ありません。

このため、同じ学年の者同士が集まる会合というのが、大学の同窓会では基本ないか、あっても珍しいです。

マンガとかだと、大学の同窓会で旧友と出会ったりしますが、あんなのはウソ、大げさ、まぎらわしい、です。しょせん、マンガはマンガ。


一般に大学の同窓会イベントに出ても、そこで会う相手は学年も違う、知らない人ばかりです。

学科単位で同窓会を行うか、それともゼミ単位で同窓会を行うかは大学ごとに異なります。学科単位で同窓会を行うシステムの大学の場合、同窓会に出ても恩師に合えない場合があります。

卒業後から十数年後に大学の学科単位の同窓会に出ても、ここ数年その大学で元気の教員をしている教授しかいなくて、十数年前に自分が卒業したときの恩師は引退してたり他大に移籍してたりしてもう同窓会にいなかったりします。

なので、大学の同窓会に出る目的は、どちらかと言うと、人脈づくりです。もし卒業後に自分の昔の旧友に合いたいなら、高校の同窓会に出て高校の同窓生に合うしかありません。なので、大学時代の連絡先を知らない同級生とは、もう二度と人生では会えない可能性が高いのです。

そのため、ハッキリ言って大学側も、あまり熱心に卒業生を同窓会イベントに誘いません。

そもそも、校舎が複数個ある大学の場合、たとえば東京と埼玉と千葉に校舎のある大学なら、たとえば自分が埼玉や千葉の校舎を卒業しても同窓会の開催の場所が東京の校舎だったりして、校舎にすら懐かしい思い出も何もありません。

さらに下手したら、その東京の校舎すらも卒業後に移転してたりして、元の場所には別の会社のビルが建ってたりして、もはや何も思い出はありません。


よく、医療マンガとかで、天才的な外科医が大学(東大みたいな権威の架空の国立大学)の同窓会で医学部時代の旧友と出会って・・・みたいなシーンがありますが、東大や医学部の同窓会はどうか知りませんが、一般的な大学の同窓会では、同じ学年の旧友とは、あまり会えません。そもそも大学時代の研究室の教授のような恩師も、同窓会イベントに出ても、いなかったりする場合が多いです。

高校の同窓会だと、学年ごとに開かれるので、卒業後の十年後や二十年後の同窓会でも、自分の学年の存命の恩師が同窓会に出席したりもします。しかし大学は上述したようにクラスが無いし、大学には担任もいないので、そういう恩師の出席するイベントもないのが普通なのです。

よく、学歴の利益についての談義などで、私学の早稲田や慶應の大卒など高い偏差値の大学の学閥(がくばつ)について、付属校から進学してきた人と、大学で外部の高校から進学した人とでコネが違って学閥(がくばつ)がどうのこうのとか出版界ではよく評論されますが、早慶の大学の同窓会のシステムがどうなってるかは当wikiは知りませんが、まあ、一般的な大学の同窓会のシステムを考えれば、大学の卒業生にろくな連帯感とか無いのも当然です。

そもそも大学教員も、同窓生との交流とかよりも研究を優先したい人達なので、同窓会イベントには興味ない人たちです。

まあ、名門大学の卒業生で、付属高校の出身者どうしの結束が固まるのも当然です。付属校の学閥を非難する世間の人は、なぜこの程度のことに気づかないのか。


なので、高校の同窓会には必ず所属できるよう、高校は中退などせず、卒業したほうが得です。中退して高卒認定試験を取っても、同窓会には所属できないでしょう。もし仮に所属できても、卒業アルバムに自分の写真は無いし、とても居心地が悪くなると思います。

高校には「卒業アルバム」というグッズはありますが、一方で「入学アルバム」なんていうグッズは無いので、中退や転校した人についての記録は基本、卒業生たちのグッズには残りません。

なお、大学は卒業しても、卒業アルバムがあっても薄くて写真も少なかったり、大学によっては卒業アルバムが無いです[8][9]。大学には修学旅行もなければ林間学校も臨海学校もないので、仮に卒業アルバムを作っても、いい写真がありません。

理科系の大学だと、忙しくて、写真撮影のヒマがありません。高校と違って、大学の卒業アルバムでは自分で写真を撮りにいかないといけなかったりして、すごく面倒です。

なるほど、名門私大などで付属高校の卒業生どうしの結束が固まるのも当然なシステムです。


部活動の文化部の個性[編集]

部活同について、スポーツ系はプロも学生スポーツもルールは基本的に同じで、ほぼ1つのルールなので問題はありません。(なお、剣道では、小中学校では、「突き」が禁止されている。)

たとえば高校生の全国大会で上位の高校の試合出場選手が、プロにスカウト、もしくは大卒後にプロ前提で大学にスポーツ推薦で進学、なんて話もよく聞きます。


問題は文化部です。評価の方針が、プロと高校全国大会コンクールで違います。

例として、クラシック音楽系の部活で説明します。たとえば吹奏楽部や合唱部です(軽音楽は除く)。

それらの音楽系の分野では、高校生の全国コンクールの評価の方針と、クラシック系プロ音楽家の方針と、特定の音楽スタジオ専属のスタジオ・ミュージシャンの方針、ポップス系商業ミュージシャンに求められる方針など、それぞれ方向性が別々です。それぞれ、求める音楽性の違いがあります。

このため、文化部の志望者は、志望する私立が、自分の入りたい文化部で過去にどのような方針を目指しているか、受験前にホームページなどで確認しておく必要があります。

基本的には、

  • 部活動で全国コンクール上位を目指す方針か、
  • その他(学校ごとに異なる)か、

を区別すれば、とりあえずは充分かと思います。

中高一貫校に進学する場合、もし部の方針が自分の夢とズレていると、高校進学のさいに他の私立を受験して転校する手間が発生しかねないので、中学受験の時点で事前に部の方針を把握しておきましょう。


部活内で技量の異なるごとにチーム分けをするという対応をしている学校もありますが(大会コンクールに出場できそうなメンバーのチームと、それ以外のメンバーのチーム)、しかし教室の数に限りがあるので、それらの対応にも限度があります。顧問やコーチといった人員の限度もあります。ただでさえ技量の異なる複数チームで大変なのに、その上、さらに方針の異なるチームまで用意してくれる高校は少ないでしょう。


美術のように個人で絵をかける分野なら、あまり問題ないでしょう。しかし、吹奏楽や合唱などのクラシック音楽系の部活は団体活動なので、そういった団体の方針が大いに自分の部活動の内容にも影響します。

また、音楽ほどではないですが、演劇部なども、一人では基本的に演劇できないので(パントマイムとか除く)、団体の方針の問題もあります。

音楽や演劇は団体での活動なので、こういう学校の方針の個性も、志望校を決めるさいの重要な検討事項になります。けっして偏差値の高低だけに、とらわれないでください。


普通科高校への一貫とそれ以外[編集]

現代の高校教育および大学受験は、「脱・ゆとり教育」の理念なので、もはや偏差値の高い普通科高校は、多様な進路を想定していません。

例として、ミュージシャン志望者の小中学生を上げます。

平成初期の「ゆとり教育」の時代なら、中高の検定教科書のレベルが低かったので、当時は音楽とかばかり練習していて学業をサボっても高校卒業できたかもしれません。しかし、「脱ゆとり教育」の令和の現代だと、検定教科書も難しく高度になっており、高校の進級などは、高偏差値の高校では、「ミュージシャン志望!」みたいな人にとっては少し進級・卒業が厳しいものがあります。

たとえば、埼玉県の私学の進学校で栄東(さかえひがし)高校というのがあるのですが、この高校は授業が難しすぎ&早すぎとかで中退者(他の高校に転校することになる)をチラホラ出すので昔から有名です[10]

平成になったころに栄東の付属中学が出来たのですが、その付属中学出身者ですら、ついていけずにチラホラと中退する人が出てきているようです[11]

けっして栄東の理念は例外的なものではなく(栄東ほど極端ではないですが)、偏差値の高い高校の普通科は、程度の差はあれ、多くの高校が似たような発想です。

周辺高校の調査で分かる私立中高の実態

パンフレットなどで高偏差値で「国立 ○○人 現役合格」とかうたってる私立の中高一貫校の、その(私立ではなく)近隣の公立高校の出身中学について、その公立高校のパンフレットなどでその高校生の出身中学を見ると(よく生徒の出身中学がパンフレットに書いてある)、しばしば、私立中学出身の公立高校生がいます。要するに、私立中学に入ってみたけど、私立の教育方針に合わなかった人が、高校受験をして他校に移っているのです。これが現実です。

教育熱心な親向けの雑誌とかにある私立中高の紹介などを見ると、あたかも文武両道の理想的な学園としてその私立を宣伝したたりするかもしれませんが、しかしそんな中高なんて、現実には無いのです。高校の例ですが、たとえば埼玉の県トップ公立高校である県立浦和(うらわ)高校ですら、部活と勉強の両方をがんばる文武両道なら、大学受験で浪人が前提だという実情が知られていますす[12]

スポーツも勉強も芸術も何でも日本トップクラス集団にできる人なんて、いません。そういう何でもできる人は、マンガとか物語の中だけです。私立中学に入ってみて、スポーツの弱い中学でスポーツの得意な子が、高校には内部進学せずに高校受験で他校を受験して、より強いスポーツ強豪校に移る、なんて事もあるのが実際です。

まあ、中学受験生がそこまで調べる必要は無いでしょう。それよりも受験勉強に時間を使うべきだし。

ただし、だからといって受験産業の宣伝広告を、真に受けてはいけません。


高偏差値で「国立 ○○人 現役合格」とか言ってる私立中高のパンフレットにある「充実した部活」とか学園によっては「芸術祭」とかの校内伝統行事がどうこうという宣伝は、あれは単に「メンタルケアのための息抜きの時間もありますよ~」ぐらいの意味合いです。「受験勉強みたいなのが6年間続くので、それでウツ病とかならないように、部活とか芸術活動とかも用意していますよ~」くらいの意味合いです。けっして、部活で関東大会(関東地方の場合)とか全国大会とかを目指す人のための部活ではないのですし、本格的に芸術クリエイターを育成するわけでもないのです。実際、そういう高偏差値の私立中高の高等部の部活動は、周辺の弱小の公立高校にすら、さまざまな部活の地区予選で敗退するのが実態です。

部活と学業の文武両道をうたってて実際に両方で好成績をあげている私立中高は存在しますが、生徒にも「スポーツも勉強も平均以上にできる子」ならよくいますが、さすがに両方ともトップクラスではありません。資金力の絶大な早慶マーチとか学習院などの付属中高ですら、そういう両方トップクラスの生徒の存在の話を聞かないのは何故でしょうか。


なので、5教科を勉強するのに抵抗あってミュージシャン志望者な人は、中学受験や中学3年の(とりあえずの)進路相談の際、音楽科とか音楽コースなどのある高校とか探しましょう。美術とかも同様です。

ほか、私立高校のなかには、学校の提供する教育が、(※wiki注: 国公立大や早慶マーチ進学などを目標に)比較的に特定の傾向の進路に片寄っていると思われる私学もあります[13]。(※ だからといって公立高校だからといって多様な進路を想定しているわけではないので、勘違いしないように。)

私立高校は、多様な進路を想定して充実した教育を提供する義務はないのです。さすがに私学だからといって高卒後の専門学校進学や音大進学などを禁止する義務はありませんが、しかし、私立高校には高校必修ではない高校『音楽II』とかの授業の提供の義務はないのです。部活動で音楽系の部活をしようにも、私立高校のなかには部活の引退が早い(高校2年の半ばころで終わりの)高校すらあります。


なので、ミュージシャン志望者みたいな子とその保護者の家庭は、子が私立中高一貫校を受験する際は、きちんと高校の授業まで調べましょう。


さて、男子と女子で、けっこう、音楽科の私立学校の数が違います。女子高のほうが、そういう学科やコースのある私立高校が多いです。


「自立した女性になりたい!」とか言って、女子高の用意した普通科以外の学科に父親のカネで進学する子供、いったい何を考えているのでしょうかね? たぶん何も考えられていないのでしょう。

こういう女子高のコース・学科や女子大の学部・学科によくある、性役割にもとづいたと見られるコースのことを教育学の用語で「ジェンダー・トラック」と言います[14]

ここでいうトラックとは、陸上競技の走るためのトラックのことです。「トラッキング」と言う理論を、アメリカの社会学者ローゼンバームが提唱しました[15]

わざわざ自発的に受験で自分が選んだ学校において良妻賢母的な女性向けのジェンダー・トラックを走っておきながら、なのに大学卒業後には過激派フェミニストみたいに男性憎悪をこじらせるのは、意味不明です。少し精神を病んでいるのかもしれません。

  もし、親がこのwikiにキレるなら、馬鹿親です。図星を言われて、「(高校の定期試験の勉強に抵抗感のある)(大学受験勉強にも抵抗感のある)おたくの子供さんは、そもそも高偏差値の大学進学には向いてない」と言われてキレる親は、バカ親です。子供を甘やかしてダメにしています。

また、子どものほうも、「高校のテストなんて役立たないだろ!」とか「高校の数学なんてミュージシャンの役に立たないだろ!」とか言う子供は、そういう事いって論破したつもりなっている頭の弱い子供は、中高一貫校に進学しないほうが良いでしょう。

世間の人は、あなたの親以外は、誰もその子供に「中高一貫校に進学しろ」なんて頼んでいません。なのに「○○なんて役立たないだろ!」と言って論破したつもりになって自己陶酔している人は、昭和ならともかく、令和の中学受験の一般化した現代では、もう中高一貫校に仮に入学できても、教師からも同級生からも相手にされないで(同級生は仕方なく相手している)、もしかしたら退学や公立への転校などをすすめられるでしょう。


親がどんな教育理念がある馬鹿親か知りませんが、どうせ高校受験レベルの問題すらマトモに解けていない馬鹿親です。そんなバカ親のことを「頭いい」と思ってる子供もドラ息子、ドラ娘のバカ子供です。カネのチカラで塾で勉強しただけで中堅校の入試突破をできるのは中学受験の中堅校まで、です。

そもそも、親がそんなに自身の教育理念に自身があるなら、自分で塾でも操業して経営すればいいのです。あるいは、参考書を自分で著作しても良いでしょう。それができないくせに、自分で手を動かさないくせに、高校受験レベルの問題も解けないくせに、教育理念を偉そうにバカ親に語られても、学校や世間の塾などにとっては迷惑です。

ネットのある現在、どうしても子供がミュージシャンとかになりたくて学業をしたくないなら、家でそういう特殊な(けっして障害児の特殊学級と言う意味ではありません)中学・高校を調べてください。決して普通の中高一貫校に進学しないでください。迷惑というか、もはや相手にされないでしょう。

参考文献[編集]

  1. ^ NEWSポストセブン 『私立中学に広がるコース制 小6受験生に選択させる是非は』 2019.11.12 07:00 2024年02年14日に確認.
  2. ^ ※ たとえば芝浦工大柏中学がそのようだ。(本当にそうか当wikiでは責任は取れませんので自己責任で)
  3. ^ NEWSポストセブン 『私立中学に広がるコース制 小6受験生に選択させる是非は』 2019.11.12 07:00 2024年02年14日に確認.
  4. ^ 『私立中学に広がるコース制 小6受験生に選択させる是非は』 2019.11.12 07:00
  5. ^ 濱中淳子 著『検証・学歴の効用』、勁草出版、2013年6月25日 第1版 第1刷 発行、P.114
  6. ^ 田中耕治 著『よくわかる教育課程』、ミネルヴァ書房、2012年2月10日 初版 第5刷 発行、P83
  7. ^ 田中耕治 著『よくわかる教育課程』、ミネルヴァ書房、2012年2月10日 初版 第5刷 発行、P82
  8. ^ 『大学って卒アルあるのですか?』 2005/11/10 21:58
  9. ^ 『大学の卒業アルバムってないのですか?』2012/3/1 21:46
  10. ^ 『栄東 「滑り止めの星」が志願者数日本一になったわけ』2024年01月15日
  11. ^ 『栄東 「滑り止めの星」が志願者数日本一になったわけ』2024年01月15日
  12. ^ 佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P17
  13. ^ 『オススメできない私立高校 ここはやめろ!』 2023/09/19
  14. ^ 酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.131
  15. ^ 酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.130