中学受験社会/地理/下巻

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中学受験社会/地理/下巻では、これから中学受験をされる方への社会科地理分野を解説します。

産業の種類[編集]

農業や林業や漁業などを 第1次産業 と言います。 製造業や建設業を 第2次産業 といいます。商業やサービス業、運輸業などを 第3次産業 といいます。 現在は、第3次産業に関わる人が一番多く(71.0%)、次いで第2次産業(25.0%)、第1次産業 (4.0%) です。[()内の数字は2015年のもの]

6次産業

一部の企業では、農作物などの生産 (第1次産業) から、加工(第2次産業)、流通・販売 (第3次産業) まですべて行うことがあります。これを、1と2と3をたして「6次産業」ということがあります。

農林水産業[編集]

農業[編集]

林業[編集]

  • 日本の森林面積

日本の森林面積は、国土のおよそ3分の2です。

水産業[編集]

食料生産と食生活[編集]

日本の特徴[編集]

低い食料自給率[編集]

日本の食料自給率は、37%(2018年)である。これは、ほかの先進国と比べて、大変低いです。

食糧管理政策[編集]

  • 減反政策

米は、1942年(第二次世界大戦中)に成立した食料管理法で、政府が農家から米を買い上げて、米の値段(米価)を安定させ、農家のくらしをささえていました。ですが、戦後の食生活の変化により、だんだん生産があまるようになり、そのため買い上げている国の財政にも負担になりました。

1970年ごろから、米の生産調整が行われました。米の農地の面積を減らした政策を減たん政策といいます。当時は米の生産量のわりに、食生活の洋風化などでコメの生産量が減っていたため、コメの転作(麦など他の物を作る)や休作(作るのをやめる)が行われました。2018年度から廃止されました。
1995年には、古い食料管理法は廃止され、現在では、食糧しょくりょう法に変わっている。

工業[編集]

自動車工業[編集]

自動車は、部品工場で作った部品を、組み立て工場で組み立てている。 部品を生産する会社は、親会社とは、べつの会社である。親会社の一社では、部品を作っていない。

自動車の部品は、数万点はある。

自動車の組みたては、流れ作業で行なう。ベルト コンベア方式である。

自動車の組み立て工場での、組み立て手順を示す。

ここで紹介するもの以外にも、部品工場で、それぞれの部品を作っている。
  • プレス

鉄板をプレスし、形を作る。

  • 溶接(ようせつ)

溶接とは、金属を高温で溶かして、金属どうしを、つなぐこと。

溶接では、産業用ロボットを使っている。溶接は危険なので、ロボットに行わせている。

産業用ロボットのまわりには、安全のため、人が入らないように、カバーがあり、柵(さく)がある。


  • 塗装(とそう)

自動車の場合、産業用ロボットに、塗装を行わせる。上塗り(うわぬり)、下塗り(したぬり)、と複数回の塗装をする。

  • 組み立て

取り付ける部品によって、人が組み立てるか、ロボットが組み立てるかが、ことなる。ガラスやシートなどの思い部品の組み立てはロボットで行なう。

  • 検査
  • 出荷
自動車運搬船 レア・リーダー(RHEA LEADER)
(63,004総トン)

輸出する自動車は、専用船で運んで輸出する。



自動車産業は、日本の主要産業である。また、日本の自動車は、世界でもトップクラスの売上や評判である。

関連工場とは、部品をつくってる子会社の、部品工場のこと。いわゆる、下請け工場。下請け会社である関連会社の工場なので関連工場ということ。


1970年代には、日本とアメリカとの貿易摩擦の原因にもなった。 アメリカでの日本製品への不買運動のこと。日本製品がよく売れるということは、うらをかえせば、アメリカ製の商品が売れなくなるということでもある。 (もっとも、日本製品を買っているのもアメリカ人たちなのだが・・・)

アメリカ製の製品が売れなくなれば、そのアメリカの製品を作る企業は経営悪化し、仕事の人は、失業してしまう。 なので、アメリカで、日本製品の不買運動が、もりあがったのである。

不買運動をされたのは、べつに自動車だけでなく、家電製品なども、そうである。


現在では、自動車会社は、アメリカに、現地の工場を持って、現地のアメリカ人を雇って生産している。 ただし、アメリカの日本車が、すべてアメリカでの生産とは限らず、日本国内で生産された自動車が輸出されている場合もある。

アメリカだけでなく、ヨーロッパや東南アジアなどでも、現地生産を進めている。


  • 自動車の各国の生産量

中国(中華人民共和国のほうの中国)・日本・アメリカが高い。時期によって順位はちがうが、2010年では中国が1位で日本が2位である。

各国の自動車の輸出量では、フランス・日本・ドイツが高い。


  • 自動車の輸送(ゆそう)の方法
キャリアカー

マイカーなどの新車を運ぶときは、自動車を運ぶ専用のトラック車のようなキャリア カーで運ぶ。日本国内で運ぶときは、高速道路を通ったりして運んでいる場合もある。

海外に運ぶときなどは、タンカー船などで運ぶ。

ただし、近年では、海外の工場で現地生産する量も増えており、タンカーで運ぶ自動車の量は減っている、と言われている。


自動車を購入するときの価格には、こういった輸送にかかるお金も、ふくまれているのです。

※ 自動車にかかわらず、一般に、店で買える物の価格には、輸送などの費用も、ふくまれている。
なお、自動車を買うには、大人が自動車の販売店に行って(いわゆる「自動車販売店」)、客が 自動車の価格のお金を払って注文すれば、自動車を買え、数週間~数か月後くらいには自宅などに注文した自動車が届きます。
※ 自動車の「販売店」という概念も、東京書籍などの教科書で扱っている。


  • 使い終わった自動車の最終処分

いらなくなった自動車は、中古車市場にも売れる。

だが、古すぎる自動車や、壊れすぎた自動車は、ゴミとして処分するしかない。

もちろん、けっして一般のごみ捨て場では、すてられない。


日本各地に、自動車など大型機械の専用の解体工場があり、専用の解体用クレーンなどの重機がある。その解体工場にキャリアカーなどで運んでいき、解体する。


  • 自動車の技術と開発手法

近年の自動車には、ハイブリッド車など、最新のエンジンを積んだ自動車が増えて生きている。

なお、ハイブリッド車とは、動力としてガソリンと電気で走る車である。


また、研究開発では、酸素と水素で走る仕組みである燃料電池車の開発も進められている。


また、事故などのさいの安全の対策も、むかしからのシートベルトに加え、さらにエアバッグや、赤外線センサーなどの各種のセンターによる警告(けいこく)など、さまざまな技術がすでに導入され、すでに自動車の部品の一部として実用化されている。


自動車会社では、このような部品の安全性をたしかめるため、開発のための工場では開発時に、じっさいに、自動車の衝突の実験をしている。

衝突実験といって、人間のかわりに実験用のマネキンを乗せて自動走行させた自動車を、じっさいに障害物などに衝突させて、エアバッグなどが作動するか確認したり、また衝突時にどこが壊れやすいかなどを調べたりなどの調査を行う。


  • その他
カーシェア

最近では、「カーシェア」といって、複数の家庭の人が、一台の車を共有する仕組みも、登場している。

※ いまは昔とちがい、自動車の利用する機会も減ってきたので、普段はあまり車を使わない人も増えている。なので、一人一台で買ったのにほとんど運転しあによりも、複数の家庭の人どうしでお金を出し合って一台を共有したほう安上がりな場合もある。


工場での金属の処分

自動車にかぎらず機械工場では、加工のさいに、金属のクズや、金属の切れ端などの余りものの金属が発生する。

それらの金属のごみは、専門の業者に回収してもらう。

金属ごみでも、品質のよい状態のごみだと、場合によっては、有料で業者に買い取ってもらえる(自動車会社などの側のほうが、金をもらえる)場合もある。



中小工場[編集]

中小工場とは、従業員数が300人 未満の工場のこと。つまり299人 以下の工場のこと。従業員数が29人以下の工場を小工場と言い、30人以上〜299人以下の工場を中工場という。 300人以上の工場を大工場と言う。

中小工場は、大企業の下請けが多い。中小工場の多くは、大工場でつくっている製品の、部品などを作っている。 部品工場のことを、最終製品を作っている工場からの視点で、関連工場(かんれんこうじょう)ともいう。

部品工場である関連工場が、かならずしも中小工場とはかぎらないので、まちがえないこと。


中小工場ではたらく人は、工場労働者の70%近い。

全工場の99%が中小工場。

製鉄業[編集]

高炉プロセスの概略図。
Trocken -und Vorwärmzone:乾燥および予熱
Reductionzone :還元の領域 。 Kohlungzone :浸炭の領域
Schmelzzone :融解の領域 。 
Roheisen :銑鉄
schlacke :スラグ

Erz :鉱石 。  koks :コークス 。 zuschläge :追加物

Gichtgas :高炉ガス
スペイン、セスタオ (Sestao) の高炉

鉄の原料は鉄鉱石(てっこうせき)です。

  • 高炉(こうろ)

鉄をつくるには、鉄鉱石から、製鉄所にある高炉(こうろ)で鉄を溶かします。高炉の高さは100m以上もあります。高炉で溶かした鉄が、銑鉄(せんてつ)です。

鉄鉱石は、酸化していて、さびています。鉄鉱石を溶かす時に、さびをとるため、炭素をふくんでいる石炭をむしやきにしたコークスを加えています。

銑鉄は、高炉の中で下に液状になって、たまり、炉の下のほうから取り出されます。

この炭素が鉄に多くまざると、鉄はかたくなり、もろくなる。銑鉄には炭素が多くあるので、銑鉄は、かたくてもろいです。銑鉄に、ふくまれる炭素の濃度は、だいたい4%から5%まで、です。この炭素の濃度だと、銑鉄が、やや低い温度で溶けやすくなるので、結果的に、銑鉄の濃度が、こうなります。

不純物は、酸素の他にも、ふくまれているので、コークスの他に、石灰石を加えています。


  • 転炉(てんろ)

鋼(はがね)とは、銑鉄を転炉(てんろ)という炉に送り、転炉で酸素を吹き込むことで、炭素を燃焼させて減らし、ちょうどいいぐあいにまで炭素を減らすことで、丈夫な鋼(はがね)に、なります。ねばりが ありながら、しかも かたくなるように、炭素の量を調節した鉄です。鋼にふくまれる炭素の量が、どのくらいかと言うと、0.02% から 2.1%までの炭素濃度です。


転炉のあと、さらに圧延機におくられ、板のかたちの鋼板(こうばん)や、棒のかたちの棒材(ぼうざい)などへと、加工されます。


鉄や鋼をあわせて、鉄鋼(てっこう)と、よびます。 鉄鋼を生産している産業を鉄鋼業(てっこうぎょう)と言います。

なお、ステンレス鋼とは、鋼(はがね)にニッケルやクロムを加えた合金です。


アルミニウムをつくったり、銅をつくったりなど、鉄鋼以外の金属を生産するのは、金属工業と言います。アルミや銅の生産は、鉄鋼業とは言いません。

日本では、金属生産のなかでも、アルミや銅よりも、鉄鋼生産が、もっともさかんです。


昔は、鉄は「産業の米」と言われていた。しかし、今では半導体が「産業の米」と呼ばれている。

「鉄は国家なり」という格言も、ある。

プレスなどの加工をなにもしていない、製鉄所で作ったままの鉄鋼を、粗鋼(そこう)という。この粗鋼の生産量が、国の製鉄業の規模をはかるのに、よく用いられる。

粗鋼の生産量では、中国(中華人民共和国)が2010年では第1位で、世界の45%ちかくを生産し、約6億トンを生産している。ついで、日本が1億トンで2位、アメリカが8千万トンで3位、それからロシア4位、インド5位、韓国6位・・・というように続く。 このように、中国の粗鋼生産量が、ずばぬけて高い。

製鉄所は、臨海部に多くある。場所が、埋め立て地であることも多い。ほとんどの製鉄所は太平洋ベルトにある。ただし、北海道の室蘭は例外。

臨海部にある理由は、原料の輸入や、製品の輸出に便利であることです。また、埋め立て地を作ることで、広い土地を確保できます。

日本の、主な製鉄所の場所は、以下の通り。

・室蘭(むろらん)市 (北海道) :北海製鉄(ほっかいせいてつ) 室蘭製鉄所
・鹿島(かしま)市 (茨城県) :住友金属工業(すみとも きんぞくこうぎょう) 鹿島製鉄所
・千葉市 (千葉県) :JFEスチール 東日本製鉄所 千葉地区
・君津(きみつ)市 :新日本製鐵(しんにほんせいてつ) 君津製鉄所
・川崎(かわさき)市 (神奈川県) :JFEスチール 東日本製鉄所 川崎地区
・東海市 (愛知県) :新日本製鐵(しんにほんせいてつ) 名古屋製鉄所
・和歌山市 (和歌山県) :住友金属工業
・神戸(こうべ)市 (兵庫県) :神戸製鋼所(こうべせいこうしょ)
・加古川(かこがわ)市 (兵庫県) :神戸製鋼所(こうべせいこうしょ)
・倉敷(くらしき)市の水島(みずしま)地区 (岡山県) :JFEスチール 西日本製鉄所 倉敷地区
・福山(ふくやま)市 (広島県) :JFEスチール 西日本製鉄所 福山地区
・呉(くれ)市 (広島県) :日新製鋼(にっしんせいこう) 呉(くれ)製鉄所
・北九州市 (福岡県) :住友金属工業および新日本製鐵
・大分(おおいた)市 (福岡県) :新日本製鐵


企業名は、記憶しなくても良いが、どれも日本の大企業なので、知っておいても損は無いです。

鉄鉱石は、オーストラリアから、ほとんどを輸入しています。

日本への鉄鉱石の輸入元の国は、オーストラリアからの輸入が約60%です。ブラジルから約28%です。インドから約5%です。

鉄鉱石の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい、1億5000万トンです。

石炭は、オーストラリアから約75%を輸入しています。カナダから約13%を輸入しています。 石炭の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい5000万トン〜6000万トンです。


石油化学[編集]

蒸留塔。
最上は石油ガス。
35℃〜180℃: ガソリンおよびナフサ。
170℃〜250℃: 灯油およびジェット燃料。
240℃〜350℃: 軽油。
350℃以上: アスファルト。
温度は、おぼえなくてもよいです。

石油を原料として、さまざまな製品をつくる産業である。 プラスチックや、ビニル袋などのビニル製品、合成ゴム、灯油や軽油やガソリン、などは、石油から作られている。


  • 原油

地中から取り出したままの石油を原油という。この原油が、石油工業の、おおもとの原料である。 原油そのものでは製品にはならず、この原油を工場で成分ごとに分けます。これを石油の精製(せいせい)といいます。

蒸留塔(じょうりゅうとう)で、成分ごとに分けられます。 石油の蒸気は、温度によって、ふくまれる成分の割合がかわってくるので、この現象を利用して、成分ごとに分けています。蒸留塔の中には、数十段ものトレイ( 棚(たな)のこと )が組み込まれています。図では、トレイが数段ですが、じっさいには、もっと多いです。このように、成分ごとに沸騰(ふっとう)する温度のちがいで物質をわけることを、 分留(ぶんりゅう) と言います。

精製によって、原油は成分ごとにわかれ、ガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、アスファルトなどに分かれ、分留されます。分留された成分のことを留分と言うことがあります。「ガソリン留分」、「ナフサ留分」、「軽油留分」などのように言います。ガソリン留分からガソリンがつくられ、軽油留分から軽油が作られます。

ナフサは、プラスチックなど、さまざまな製品の原料になります。ナフサを分解するナフサ分解炉(ぶんかいろ)で、エチレンやプロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエンなどのガスの成分が、とり出されていきます。

これらエチレンなどの成分から、プラスチックや合成繊維、合成ゴムなどの誘導品(ゆうどうひん)を作っていきます

プラスチックのポリエチレンは、エチレンを原料に作られます。ポリプロピレンは、プロピレンを原料に、作られます。


  • コンビナート
アメリカの製油所。日本の製油所の画像が見つからないので、この画像で代用します。

石油工場では、パイプによって、関連する工場どうしがつながっている。このようなパイプラインでつながった石油工場をコンビナートという。コンビナートとは、ロシア語で、「つながり」とかの意味である。英語のコンビネーションの意味に近いとおもえば、よいだろう。


石油化学コンビナートは、太平洋ベルトにあります。太平洋側の太平洋ベルトの臨海部にあります。臨海部にある理由は、原料を海外から輸入していることや、海岸の埋め立てで広い工場用地を確保しやすかったからです。

輸入先は中東のアラブ地域が、ほとんどです。サウジアラビア(約30%)やアラブ首長国連邦(約20%)やカタール(約12%)、イラン(約11%)、クウェート(約8%)などから原油を輸入しています。

  • 石油化学コンビナートの立地
鹿島市 (茨城県) :
千葉市 (千葉県) :
市原市 (いちはらし、千葉県) :三井(みつい)化学、住友(すみとも)化学、出光興産(いでみつこうさん)、丸善石油(まるぜんせきゆ)
川崎(かわさき)市 (神奈川県) :新日本石油化学、東燃化学、
四日市(よっかいち)市 (三重県)  :三菱化学(みつびしかがく)、東ソー(とうソー)
高石(たかいち)市 (大阪府) :三井化学
倉敷(くらしき)市の水島(みずしま)地区 (岡山県) :旭化成(あさひかせい)、三菱化学(みつびしかがく)
岩国 (いわくに、山口県) :三井化学
周南 (しゅうなん、山口県) :出光興産
新居浜(にいはま、愛媛県):住友化学
大分 (大分県) :昭和電工(しょうわでんこう)


企業名は おぼえる必要はありませんが、石油化学業界の大企業ですので、知っておいてください。

原油の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい、2億キロリットルです。

電気機械工業および電子工業[編集]

半導体産業[編集]

SOPパッケージに封入された標準ロジックICの例
建設中の半導体製造工場用のクリーンルーム。半導体の配線(はいせん)は、とても細かいので、すこしでもホコリがつくと、配線が断線(だんせん)して故障(こしょう)して使えなくなってしまう。なので、ホコリがつかないように、特別なクリーンルームで半導体を製造(せいぞう)する必要がある。

ICとは、集積回路とも言われ、数mmのチップに、電子素子を、とても多く、つめこんだ部品です。コンピュータ部品にICが使われます。パソコンだけでなく、計算する機能をもっている「デジタル家電」などの製品のほとんどに、ICは入っています。

IC産業や電子産業が、半導体産業と言われることもあります。ICの材料に、半導体という材料が使われることが多いからです。

ケイ素(けいそ)の単結晶
これをうすく切断して、シリコンウエハにする。

半導体とは、電気の流しやすさが、電気を流す金属などの導体(どうたい)と、電気を流さないゴムなどの絶縁体とのあいだの、半分くらいの流しやすさの材料なので、半導体(はんどうたい)といいます。 元素のケイ素であるシリコンなどが半導体です。


高機能のICの製造には、とても、お金がかかります。どれだけ多くの素子をICチップに多く組み込めるかで性能がきまるので、最先端の精密(せいみつ)技術を持った大企業でないと、製造も開発も、出来ません。

LSI(、大規模集積回路)とは、ICの中でも、1つのチップの中の電子部品の数が、とても多いICです。


かつて1980年代は、日本は世界の半導体生産の半分くらいを生産していました。しかし、その後のアメリカとの競争にやぶれ、また韓国にも競争でやぶれ、日本の影響力(えいきょうりょく)は、落ちています。

世界での半導体生産の企業シェアは、2012年度は、上位から順に、

インテル(アメリカ) :シェア 15.7%
サムスン電子(韓国) :シェア 110.1%
クアルコム(アメリカ) :シェア 14.3%
テキサス・インスツルメンツ(アメリカ) :シェア 14.0%
東芝(日本) :シェア 13.6%

と、なっております。

半導体ICと真空管[編集]

※この節は、きちんと理解するのは、とても難しいです。半導体の仕組みを完全に理解しようとすると、予備知識には大学生ていど(それも理系の大学)の知識が必要になります。小学生には、完全な理解はむりなので、読み物として、コンピュータの歴史を知ることを、この節では目的にしてください。

真空管(しんくうかん)
いろいろな真空管
二極真空管の模式図

小学校の理科で習うような電気部品では、デジタルの計算機は、つくれません。


コンピュータに計算させる部品には、今でこそ半導体ICを用いているが、1940年ごろのアメリカでは、真空管というを用いていた時代もあった。

真空管とは、ガラス管の中を真空にしたガラス管の中で、電源のマイナス極に結びついた電極と、電源のプラス極に結びついた電極を取り付け、マイナス極を熱することで電子を放電させることで電気をながすという、大きな電気部品です。

この仕組みを使うと、電気を一方向のみに流すことができます。電子の放電は、マイナス極を熱したときにしか、おきません。プラス極を熱しても、電子は放電しません。なお、この真空管の実験事実から、電子はマイナスの電荷である、ということが科学的に発見されました。

真空管の整流の仕組みは、離れた陽極と陰極に大きな電圧差をかけ、このとき陰極に高温を加えると電子が放出するという、陰極線(いんきょくせん)の発見でした。


この一方向にしか電気が流れないという真空管の性質をもちいると、ふつうのエナメル線や豆電球などの電気回路では出来ないような複雑な処理を、真空管などの電子回路に、処理させることが、できます。

この真空管に、マイナス極とプラス極の2個の電極を取り付けた真空管を、2極真空管と言います。 半導体を用いる現代では、真空管のかわりにダイオードという部品が、この真空管とおなじような一方向にのみ電子を流す機能を持っています。


この真空管に、さらに、もう一本、マイナス極の近くに電極を取り付けます。3本目の電極の電圧の大きさを変えると、陰極から放電される電子の量が変わります。3本目の電極の電圧をかえるのに流した電流の大きさ以上に、陰極からの電流の大きさを変えることができます。これによって、3極真空管には、少ない電流の変化を、大きな変化に変える 増幅が可能になります。(増幅といっても、べつに無から有の電流を作るわけでは無く、外部電源は必要になる。)

この3個の極を持つ真空管が、3極真空管です。

半導体を用いる今日では、この、3極真空管は、半導体の実用化後は、トランジスタという部品に、置き換えられていった。

プログラミングされるENIAC
2人のプログラマがENIACの制御パネルを操作しているところ

陰極線が発見されたばかりのころは、まだコンピュータへの応用には、気づかれていませんでした。それから時代が変わって1940年ごろに、第二次大戦のため、アメリカでは高性能の計算機が必要になり、新型の計算機の開発が進みます。この時代に、陰極線を用いた真空管で計算機が作れる、ということが、気づかれます。

アメリカ軍は、真空管を用いた電子式の計算機の開発に、巨額の資金(しきん)を、つぎ込みます。 そうして、完成した電子計算機が、エニアック ENIAC というコンピュータです。


真空管は、陰極を加熱するという理由から、耐久性に欠陥があった。たとえば電球のフィラメントが焼き切れるように、真空管が熱で電極が焼き切れたりなどして、故障するということが多かった。

また、真空管は小型化も難しかった。

NPN型トランジスタの模式図

しばらく時代がたち、半導体という物質に、いくつかの物質をまぜると、一方向にしか電子が流れないという現象が発見されます。半導体の中を、一方向にのみ、電子が流れます。

しかも、半導体により一方向に流すばあいは、真空管とはちがい、熱する必要がありませんでした。材料の中を電子がながれるので、放電をさせる必要もなくなります。 なので、熱で故障することが無くなります。おまけに加熱のためのヒータを取り付ける必要も無くなります。


半導体ダイオードや半導体トランジスタの実用化後は、加熱の必要がなくなり、真空管を用いていた多くの電子部品で、耐久性の高い半導体部品へと置き換わることになりました。


ICの配線の加工は、とても細かいので、手では不可能です。おもに、光を用いています。 たとえば写真の業界では、銀塩写真は、光を用いて、化学反応を制御しています。半導体の製造でも、光を用いて、シリコンウエハにぬられた感光剤(かんこうざい)の化学反応を制御して、ICを作っています。

なので、半導体製造装置(はんどうたいせいぞうそうち)には、レンズなどの光学部品が、ついています。 シリコンウエハに、写真のように回路図をうつして、ICの配線をつくっているのです。


「半導体産業」と言った場合、最近では、材料が本来の意味の導電率が半分という意味の「半導体」でなくても、製品がICなどと同じ機能をもっている高性能の計算処理能力などを持つ電子部品をつくる産業ならば、その製品をつくる産業も「半導体産業」と言う場合があります。

軽工業[編集]

軽工業には、食品工業や繊維工業など、色々とあるが、食品工業の割合が、もっとも大きい。

食品工業[編集]

たとえば小麦粉からパンをつくったり、果物からジュースをつくったりするように、農産物や畜産物、水産物を加工して 加工食品(かこう しょくひん) をつくる産業である。

食料品工業とも言う。

肉からハムを作ったり、魚からカマボコや ちくわ を作るのも食品工業です。

スーパーで売られてるようなカレーライスのルーを作ったり、インスタントラーメンなどをつくるのも食品工業です。

牛乳からバターやチーズなどの加工した乳製品をつくるのも食品工業です。 小麦からビールを作るのも、コーヒー豆からインスタントコーヒーを作るのも食品工業です。

大豆から味噌(みそ)を作ったり、醤油(しょうゆ)をつくるのも食品工業です。

調味料を作ったり、コメの精米や、小麦の製粉、漬物、缶詰食品などの保存食づくり、お菓子工場のお菓子づくりなど、食品工業は、たくさん、あります。


食品工場の工場は、多くの工場は、中小の工場です。工場の場所は、原料の産地のちかく、または東京などの大消費地の近く、または原料の輸入する貿易港の近くが多いです。

なので、全国に工場が、ちらばっています。

繊維工業[編集]

繊維せんいの種類には綿や、絹の生糸などの天然繊維や、ナイロン繊維やアクリル繊維などの化学繊維がある。

綿の材料は、綿花から採れる。コットンとは、綿のことです。

絹の原料は、虫であるカイコのまゆです。シルク silk とは絹のことです。

ウールとは、羊の羊毛のことです。

化学繊維の多くは、ふつうは、石油を原料にしています。


日本では、繊維工業は、第二次世界大戦の前までは、天然繊維の製品の輸出が、日本の主要な工業であった。しかし戦後は、人件費の安い中国(中華人民共和国のほう)や東南アジアなどの外国に工場が移ったことや、ナイロンなどの化学繊維の発明によって、繊維工業の割合は低下した。

人件費とは、従業員の一人あたりに支払う給料のことです。

経済力の高い先進国では、高い給料を払わないと労働者が集まりにくいので、先進国では人件費が高くなる傾向があります。

無停止杼換式豊田自動織機(G型)。産業技術記念館の展示。

戦前の繊維工業の参考として、たとえば、現在では自動車会社で有名なトヨタ自動車も、昔は、1926年(大正15年)に創業したばかりの豊田自動織機しょっきという織機をつくる会社でした。

製紙・パルプ工業[編集]

外国企業での、パルプの製造。1947年。
製紙・パルプ工場。外国企業。
抄紙機。
製紙会社の製紙の機械。外国企業。

ふつうの紙の原料は、木です。

木材をチップにして、さらにチップから パルプ を作ります。

製紙会社の工場で、釜でチップが煮込まれ、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)などを加えられて化学処理されて、チップからパルプになります。

パルプから紙が作られます。 パルプを漂白(ひょうはく)するため過酸化水素水などを使います。漂白して白くしたあと、抄紙機しょうしきという巨大なローラーのついた機械で、均等な厚さに伸ばしていきます。


出来た紙は巨大なので、そのままでは製品にならないので、機械で必要な大きさに裁断(さいだん)されて、取引先に出荷されます。

紙は、木材から作る他にも、古紙から作った再生パルプを使ってつくる再生紙があります。

よう業[編集]

陶磁器(とうじき)などの焼き物を作ったり、ガラスを作ったり、セメントを作ったりする工業を よう と言います。 どれも、石や粘土(ねんど)などを焼いて、作っています。

陶磁器は、ふつう、粘土 をやいて、作ります。

ガラス[編集]

ガラスの材料は、ケイしゃです。ケイ砂を高温で溶かし液状にしたものを、成形して固めたものがガラスです。

セメント[編集]

セメント工場。外国。
回転がま。ロータリー・キルン。

セメントの材料は石灰岩(せっかいがん)と粘土です。 石灰岩と粘土とを粉々にしてから焼き固めたあとに、冷却して、砕いた(くだいた)ものです。

そしてセメントは、コンクリートの原料です。

セメントに砂利じゃりと砂を入れ、水を適切な配合でまぜると、水とセメントとの化学反応が起きて、時間がたつとコンクリートとなって固まっていきます。

セメントの原料の石灰岩は、日本国内で自給できています。(2014年に記述。)

ファインセラミックス[編集]

セラミックスでできたベアリング部材 Si3N4
セラミックス製ナイフ

このような石などを焼いて作った材料、またはそれと似た化学成分の材料をまとめて、セラミックス とも言います。

セラミックスのなかで、とくに高性能な、とくべつな材料を ファインセラミックス と言います。ファインセラミックスの原材料は、きびしく管理されています。

セラミックスは、金属とちがい、さびないのが普通です。 セラミックスは電気を流さないので、電子材料で、絶縁(ぜつえん)が必要なところに使われることがあります。 電気回路で電気を一時的に保持する部品をコンデンサと言うのですが、セラミックコンデンサなどの応用があります。



人口[編集]

日本の人口の移り変わり[編集]

2019年4月現在、日本の人口は1億2615万人 (推計値) であるが、減少している。

  • 人口ピラミッドと人口の移り変わり

年齢層と性別ごとの人口をグラフにしたものを人口ピラミッドといいます。ここで、3つの年の人口ピラミッドを見てみましょう。

※左、すなわち青いほうが男、右、ピンクの方が女です。

これは、左から順に 1950年、1980年、2015年のものです。(クリックで拡大できます。)

まず、1950年のものを見てみましょう。ほぼ三角形の形で、子どもが多く、高齢者が少なくなっています。このような多産多死型の人口ピラミッドを、ピラミッド型とか、富士山型といいます。これは、発展途上国でよく見られます。

次に、1980年のものを見てみましょう。1950年のときと比べて、細くなっています。このような多産少死型の人口ピラミッドを、つりがね型といいます。

最後に、2015年のものを見てみましょう。1980年のときと比べて、さらに細くなっています。子どもが少なく、高齢者が多くなっています(少子高齢化)。このような少産少死型の人口ピラミッドを、つぼ型といいます。これは、先進国でよく見られます。

  • 出生率の低下

出生率しゅっしょうりつ」とは、一人の女性が、一生で何人の子供を産むかの平均です。2.07を切ると人口減少が始まるといわれています。2016年の出生率は、1.44でした。(先進国の中でも、かなり低いが、2018年、韓国の出生率は0.98であった)

  • ベビーブーム

一時的に出生率が高くなる時期をベビーブームといいます。

第一次ベビーブームは、太平洋戦争の直後に起こりました。先ほどの1950年の人口ピラミッドで、子どもの数が多くなっている1つの原因です。第一次ベビーブームのときに生まれた人を団塊だんかいの世代ということがあります。現在、70代前半の人です。

第二次ベビーブームは、1970年代に起こりました。第一次ベビーブームのときに生まれた人が、子どもを出産したことにより起こりました(第二次ベビーブームのときに生まれた人を「団塊ジュニア」ということがあります)。現在、40代中ごろの人です。

地域と人口[編集]

  • 過密かみつ

都市部では、人口増加により、交通渋滞じゅうたいなどを引き起こしています。

  • 過疎かそ
  • ドーナツ化現象

中心部の人口が減少し、周辺部の人口が増加する。

貿易[編集]

外国へ商品を売ることを輸出(ゆしゅつ)という。外国から、商品を買うことを輸入(ゆにゅう)という。

輸出額が輸入額より大きい場合を 貿易黒字ぼうえき くろじという。輸入額が輸出額より大きい場合を 貿易赤字ぼうえき あかじという。


加工貿易[編集]

日本には、資源が乏しく、外国から原料などを多く輸入している。 このように外国から原料を輸入し、日本国内で加工して工業製品にして、その工業製品を外国に輸出することで外貨をかせぐ貿易の方法を加工貿易という。

日本にとって、加工貿易は 必要な方法である。

貿易摩擦[編集]

アメリカとの日米貿易摩擦

1960年代ごろから、せんい製品・カラーテレビ・自動車・半導体電子部品などが多く輸出され、アメリカの製造業が不振になり、アメリカと日本との貿易摩擦が起こる。 アメリカは日本に輸出の規制を求めている。

現状[編集]

アメリカと中国が、大きな貿易相手。 日本から外国への輸出先は、多い順に中国、アメリカ、韓国などである。

外国から日本への輸入は、中国からの輸入、アメリカからの輸入、オーストラリアからの輸入が多い。


中国は人件費が安いので、その結果、輸出品の価格も安くなるので、各国の消費者が価格の安い中国製品を好んで買うので、多くの製品が中国から輸出される。 中国からの輸出品の生産は、中国の現地企業が生産している場合もあれば、外国の企業が人件費の安い中国に工場をたてて生産している場合もある。

中国にかぎらず、東南アジアも人件費が安いので、中国と同様に、安い製品の輸出をしている。

日本からも、人件費の安い外国に生産工場をうつす動きがあるが、その結果、国内の工場の仕事が減り、国内の生産力が下がるという「産業の空洞化」が起きている。

また、外国に工場を作ると、日本国内の工場でつちかわれた生産ノウハウも外国の労働者に教えることになるので、外国に技術ノウハウが流出するという 技術流出 も、問題になっている。また、中国は人口が多く、世界最大の人口を持つので、中国市場に多くの企業が参入し、中国への輸出額も多くなっている。


石油危機せきゆ きき

1973年におきた中東戦争が原因の、世界的な石油の値上がりを 石油危機 と言う。 中東戦争とは、西アジアの中東で起きた戦争である。 石油危機のことをオイルショックともいう。

イスラエルと、アラブ諸国との、戦争である。この1973年の戦争を 第四次 中東戦争だいよじ ちゅうとう せんそうという。

中東戦争の主な理由は、領土問題である。イスラエルは第二次世界大戦後にユダヤ人によりクーデターで出来たばかりの新しい国なので、周辺のアラブ人がおさめるアラブ諸国とは、領土でもめることが多いのである。

イスラエルはアメリカの同盟国なので、アメリカはイスラエルを支援します。アメリカを支援する国の多くは、イスラエルを支援することになります。

産油国であるアラブ諸国は、イスラエルを支援する国への対抗措置として、石油の輸出制限をおこないます。その結果、石油を輸入していた国では、大幅に石油製品の値段が上がり、石油製品の値上がりにともない物価も値上がりし、経済が混乱しました。これが オイルショック です。

1861年~2007年の原油価格。100年近く続いた安値が1970年代に破られたことがわかる。
黄色 実質(物価変動補正)
青色 名目(当時の金額)

交通[編集]

自動車[編集]

鉄道(新幹線)[編集]

環境と資源[編集]

工場などからでる排水や排煙などの処理が不十分だと、排水・排煙にふくまれる有害物質により、周辺の環境が汚染され、近隣の住民など多くの人の健康に被害が出る場合がある。このように、産業活動による多くの人への健康への悪影響を 公害こうがい という。

工場から有害な物質が出ている場合は、工場の中で働いている人にも健康への悪影響がある。

工場の中の人だけに健康被害がある場合は、ふつうは「公害」とは呼ばずに、「職業病」など異なったよび方をする。

家庭などから出る物質によっても、環境に悪影響が出る場合があるが、それらの場合は、ふつうは公害とは呼ばずに、単に、環境汚染(かんきょうおせん)として、あつかわれる。 環境汚染とは、環境が、よごれることである。公害によって空気が汚染された場合なども、環境汚染の、ひとつである。

この節では、職業病ではなく、主に、公害を中心に説明する。

公害とは、主に、以下の7つの公害が典型的である。

  • 大気汚染たいき おせん ・・・ 排煙などで、空気が、よごれること。
  • 水質汚濁すいしつ おだく ・・・ 川や海などの水がよごれること。
  • 土壌汚染どじょう おせん ・・・
  • 騒音そうおん ・・・
  • 振動しんどう ・・・
  • 地盤沈下じばん ちんか ・・・ 地下水を大量に取り出すと、地面が低くなる地盤沈下が起きることがある。
  • 悪臭あくしゅう ・・・

環境基本法では、この7つの種類の公害を「典型七公害てんけい ななこうがい」としている。

世界の各地でさまざまな公害が発生したが、この節では、日本で起きた公害のうち、戦後に起きた公害を取り上げる。

四大公害病[編集]

日本でも、かつて大きな公害が発生したことがある。以下の4つの公害およびその公害による病気が、特に被害が大きい公害として有名である。

  • 水俣病みなまたびょう
  • 四日市よっかいちぜんそく
  • イタイイタイ病
  • 新潟水俣病にいがたみなまたびょう

この4つの公害を四大公害よんだいこうがい病と言います。


水俣病[編集]

熊本水俣病
赤:水俣市、青:葦北郡、薄黄色:その他の熊本県

化学工場の排水にふくまれていた水銀および水銀化合物(有機水銀、メチル水銀)が原因でおきた病気です。水銀は猛毒もうどくなので、この水銀に汚染された水を飲んだり、水銀に汚染された海水で育った魚や貝を食べたりすると、病気になります。体が水銀におかされると、神経細胞が破壊され、手足がしびれたり、うごかなくなります。

1953年ごろに熊本県の水俣みなまたという地域や、水俣湾みなまたわんの周辺で、有名になった公害なので、水俣病と言います。

なお、有名になったのは1953年ごろからだが、それ以前の1940年代ごろから、水俣病とおぼしき症例が知られている。

人間以外にも、猫や鳥など、水銀に汚染された魚を食べたり水を飲んだりしたと思われる動物の不審死がいくつもあり、当初は、水俣病の原因もよく分かっていなかったので、しびれている猫が踊ってるようにも見えたことから、当初は「猫病ねこおどり病」とも言われた。

四日市ぜんそく[編集]

三重県の四日市よっかいち市は、1940年ごろから石油化学工業で、繁栄していました。現在も、多くの石油化学工場があつまった「石油化学コンビナート」といわれる工場の集まりがあります。

1950年ごろから、この周辺では、ぜんそくや気管支炎きかんしえんなど、のどをいためる病気の人が、ふえてきました。また、この近くの海でとれた魚は油くさい、と言われたりもしました。

ちなみに、四日市ぜんそくの原因の物質は 亜硫酸ありゅうさん ガスだということが、今では分かっています。

この頃はまだ詳しくは分かっていませんでしたが、石油化学コンビナートから出る、けむりや排水が、環境に悪い影響をあたえているらしい、ということが1960年ころから言われはじめ、社会問題になりました。

このうち、とくに 喘息 の被害が有名なので、この四日市でおきた公害を 四日市ぜんそく というのです。

イタイイタイ病[編集]

1955年ごろ富山県の神通川じんづうがわの周辺で起きた病気であり、体の ふしぶし が痛くなり、骨が折れやすくなる病気です。これはカドミウムが原因で、そのカドミウムは猛毒です。

川の上流にある鉱山から流れ出る廃水にカドミウムがふくまれており、その廃水を飲んだ人や、廃水に汚染された米などの農産物などを食べた人に、被害が出ました。感染者が皆「イタイイタイ」というため、この名がつけられたと言われています。

新潟水俣病[編集]

1964年ごろに新潟県の阿賀野川あがのがわの流域で起きた、水銀および水銀化合物による公害で、化学工場の排水の中の水銀化合物が原因です。

症状は、熊本県の水俣病と同じです。第二だいに水俣病とも言われます。

そのほかの公害[編集]

  • ヘドロ

四大公害裁判[編集]

これらの公害病の原因の物質を排出した会社や工場に対し、住民らが国に裁判を、訴えでます。1960年代の後半に裁判が起こされ、1970年代の前半の1971年〜1973年ごろに判決が出ます。どれも企業側の責任を認め、企業側は被害住民に 賠償金ばいしょうきん を支払うように命じる判決が出ます。

公害対策[編集]

四大公害などの発生を受け、公害対策の気運が高まります。

  1. 1967年に公害対策こうがいたいさく基本法が制定されました。
  2. 1970年に環境庁かんきょうちょうが、設置されます。2001年に、環境庁から環境省に格上げされました。
  3. 1970年に水質汚濁すいしつおだく防止法が制定されました。
  4. 1993年に、環境かんきょう基本法が制定されました。これにともない、古い公害対策基本法は廃止されました。環境基本法は、公害対策だけではなく、その他の多くの環境問題にも対策をした法律です。
  5. 2002年に土壌汚染対策法どじょうおせん たいさくほうが制定されました。

さまざまな環境問題[編集]

  • 地球温暖化
  • 森林の破壊や減少
  • 砂漠化
  • 大気汚染
  • オゾン層の破壊
  • 希少動物の絶滅などの生態系の破壊

地球温暖化[編集]

1940年–1980年の平均値に対する1995年から2004年の地表面の平均気温の変化
温室効果の概念図

地球温暖化 の主な原因は、石油などの化石燃料の大量使用によって、排気にふくまれる二酸化炭素により、空気中の二酸化炭素が増加したためと考えられている。

  • 温室効果
大気中の二酸化炭素には、熱を吸収する働きがあるので、地上の熱が宇宙に逃れず地球の周囲に閉じ込められることが、温暖化の原因と考えられている。また、大気中の二酸化炭素が熱を閉じ込める作用のことを 温室効果と言う。二酸化炭素など、熱を閉じ込める温室効果のある気体のことを温室効果ガスと言う。


国連では温暖化の防止のため、1992年に国連環境開発会議(地球サミット)がブラジルのリオデジャネイロで開かれ、地球サミットで条約として地球温暖化防止条約( 気候変動枠組み条約 )が採択された。

また1997年には、国連の会議(地球温暖化防止 京都会議)で,温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書(きょうとぎていしょ)が採択された。

しかし、中国などの発展途上国と見なされていた国には、削減が義務づけられていない。 また、アメリカは当時に会議から離脱した。

国別の排出量では2016年では、中国が1位であり、アメリカが2位、インドが3位である。

このような理由のため、京都議定書の実効性が疑問視されている。

(削減義務を負わない)発展途上国と見なされた国の反論は、「地球環境問題を引き起こした原因は、主に先進国の活動が原因であり、われわれ途上国に負担を負わせるのはおかしい。」というような反論をしている。

海抜の低いツバル、モルディブ、キリバスでは、海水面が上がれば国土の多くが水没してしまう恐れがある。 南極の大陸上の氷や氷河の氷が溶ければ、海面上昇。低地が水没する。なお、北極の氷が溶けても、もともと北極海に浮かんでいる氷が水に変わるだけなので、海面は上昇しない。

マラリア原虫を媒介するハマダラカ

温暖化によって、マラリアを媒介する蚊のハマダラカの生息域が広がる恐れが有る。

  • チーム・マイナス6%

1990年より6%減少を目標とした。

なお、二酸化炭素のことを化学式から CO2(シー・オーツー) とも言う。Cが炭素(英:carbon カーボン)のことで、Oが酸素(英:Oxygen オキシジェン)および酸化(Oxidation オキシデイション)のことである。

森林破壊と砂漠化[編集]

  • 森林破壊

主に発展途上国で、耕作や放牧や工業化を目的にした森林伐採などで、森林面積が減少している。温暖化の原因にもなっていると考えられている。また、動物の生息域が減るので、生態系の保護の観点からも、森林破壊が問題である。

なお、温暖化の化石燃料以外の他の原因として、森林伐採などによる森林の減少によって、植物の光合成による二酸化炭素の吸収量が減ったのも理由の一つでは、という説もある。

  • 砂漠化

もともと植物の少ない地域で、その地域が砂漠になる現象が世界の各地で起きている。原因は、過度の農業化や周辺の森林伐採などにより、土壌の保水性が失われたことなどである。

酸性雨[編集]

酸性雨の原因は、化石燃料の排気にふくまれる窒素酸化物などの物質が、雨の酸性化の原因と考えられている。酸性雨により、森林が枯れたり、湖や川の魚が死んだりする場合もある。

オゾン層の破壊[編集]

フロンガスという物質が原因で、オゾン層が破壊されることが1980年代に分かった。

国際社会と環境問題への取り組み[編集]

地球環境問題は一国だけの問題ではなく、複数の国々、さらに世界中全ての国に影響を与える問題である。このため、1970年代から国際会議でも取り上げられる重大なテーマとなった。

地球環境問題についての最初の国際会議は1972年にスウェーデンのストックホルムで開かれた国連人間環境会議(ストックホルム会議)である。このとき「かけがえのない地球」というキャッチフレーズが用いられた。

1992年にはブラジルのリオデジャネイロで国連地球サミットが開かれた。( ※ 正式名称は「環境と開発に関する国際連合会議」。ただし、「リオ会議」「国際連合環境開発会議」などとも呼ばれる。 ) 国連地球サミットにおいて、「持続可能な開発」という考え方が示された。

1997年には京都で開かれた京都会議( ※ 正式名称は「第3回 気候変動枠組(わくぐみ)条約 締約国(ていやくこく)会議」 )において京都議定書が締結され、世界の主要国が温室効果ガスの削減を求められるようになった。議定書の発効は2005年からである。

このようにして世界の国々が地球環境問題に対して一致して取り組むことが求められるようになったが、京都議定書からのアメリカの離脱、中国の経済発展にともなう温室効果ガス排出量の急増、発展途上国の経済発展と環境への影響の増大などに見られるように、各国の事情や利害の対立から一致した行動にはほど遠いという問題は解決されていない。

ヨーロッパでは陸続きの国が多いので、一つの国の環境問題が周囲の国に影響を与えることも大きく、環境問題が外交問題になりかねないこともあり、ヨーロッパでは1970年代ごろから環境問題の取り組みが積極的に行われてきた。

情報[編集]

いろいろなメディア[編集]

資料出典[編集]

  • 農林水産省
  • 総務省統計局
  • 全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)
  • 国土交通省

関連項目[編集]

上巻[編集]

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