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中学校国語/現代文/感想文

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

読書感想文と学校行事の感想文は、同じ感想文と呼ばれますが、書き手に求められる能力が異なります。

読書感想文は、単なる感想ではなく、分析レポートに近い報告書の性質を持っています。

また、準備時間の有無によって書き方が変わります。このページでは、宿題などで数週間の時間が与えられている場合について説明します。

学校行事の感想文の場合、行事の数日後や翌週に、抜き打ちで用紙1枚程度の感想文を書かされることもあります。


このページ (中学校国語/現代文/感想文) では、中学校国語/現代文/感想文について説明します。なお、独自研究や中立性を欠いた文章を含んでいる場合があります。独自研究の中には多くの場で共有されている意見もあれば、少数の意見もありますのでご注意ください。


行事などの感想文

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まず、どの行事について書くのか、簡潔に説明しましょう。運動会なのか、クラス対抗の音楽コンクールなのか、修学旅行なのかなどを明確にした上で、とにかく感想を書きます。

書く内容を整理できない場合は、まず下書きを書き始めましょう。10~20行ほど下書きが書けたら、清書に移ると良いでしょう。

他人のプライバシーについて

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他人のプライバシー(個人的な秘密など)には十分注意し、決して書いてはいけません。同級生はもちろん、その他の人のプライバシーも保護する必要があります。

感想文の内容によっては、一緒に行事に参加した同級生の行動について書くこともありますが、プライバシーを侵害しないよう配慮が必要です。たとえ相手を褒める内容であっても、本人がプライバシーを気にする可能性があるため注意してください。

例えば、○○くんは僕にしか見せていなかったが、○○くんが△△で頑張っていたというような内容は、プライバシーに関わるため、避けるべきです。

同級生や同学年・同学校の生徒について書く場合は、すでに公表されている情報に限定しましょう。例えば、クラスや学校全体の前で公表された内容であれば、紹介できる場合もあります。

感想文の手順

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学校側の条件に従う

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まず、読む本を決めます。学校で課題図書が指定されている場合は、それを読みます。また、読書感想文に適した本の条件が学校側で決められている場合(例えば恋愛小説や推理小説が禁止されているなど)、その条件に従いましょう。

物語文であることが感想文を書く条件として指定される場合が多いです。

本を選ぶコツ

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読んだことのない本を選ぶ
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感想文を書く際は、初めて読む本を選ぶのが望ましいです。すでに何度も読んだ本は新鮮味がなく、感想を長く書くのが難しくなります。

読み終えられる本を選ぶ
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分厚すぎる本を選ぶと、読み終わらず感想文が書けなくなる可能性があります。また、難しすぎる本を選ぶと、感想が難しかったよく分からなかったとなりがちなので、適切な難易度の本を選びましょう。

いったん本を決めたら、変えない

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一度本を選んだら、途中で変えずに最後まで感想を書き進めます。あれこれ本を変えていると、感想文が完成しません。

読みながらメモを取る

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読んでいる最中に、印象に残った点をノートにメモすると良いでしょう。読後に思い出すのは大変なので、5~10%ごとにメモを取ると効果的です。

下書きを書く

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本を読み終えたら、まず下書きを書きましょう。どこがどう面白かったのかを明確にしながら書きます。ただ面白かっただけでは不十分なので、理由を説明しましょう。

清書のポイント

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本の情報を明記する
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清書では、冒頭で書籍のタイトル・著者名・出版社名を明記します。例えば、『吾輩は猫である』(夏目漱石/○○出版社)などのように記載すると良いでしょう。

あらすじは最小限にする
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本の内容を説明するあらすじは最小限にとどめ、感想を中心に書きましょう。宿題の目的は感想文であり、あらすじ紹介ではないためです。ただし、感想の根拠を示すために最低限のあらすじは必要です。

実社会の書評では、あらすじよりも感想や評価が重視されます。理想的には、あらすじの紹介を早めに終わらせ、感想を優先して書くべきです。


参考書は最小限に。しかし必要ならば利用せよ。

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書いていてネタ切れをして、選んだ図書を読み返してみても、どうしても書くネタが思いつかない場合、時間があれば、国語の参考書などを読んだりして、ネタを仕入れてもよいです。たとえば夏目漱石の『我輩は猫である』の感想文を書く場合、どうしてもネタが思いつかないなら、参考書などで夏目漱石についての解説を読んだり、その時代の文学史の解説を読んだりします。あらたな知識を仕入れて視点が変わりますので、書けるネタが増えるでしょう。ただし、参考書を読むにも時間が掛かりますので、どうしてもネタが思いつかない場合にだけ、参考書でネタを仕入れてください。

どっちみち、仕入れたネタをそのまま書いても、評価はもらえません。感想文は、べつに文学史のレポートではありません。あくまでもテーマは感想です。

そのまま文学史を書くのはダメですが、感想の発想の参考にするだけなら、構わないということです。

このように、読書感想文は、学校行事の感想文とは、やや違います。読書感想文の宿題には、その名に反して、物語文を読むための勉強結果についてのレポートの宿題みたいな所があります。

現代ではパソコンを使った下書きも便利

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このような、パソコンなどを利用する場合、下書きで、まずパソコンで下書きを書くのが良いでしょう。(ワープロソフトなどを使うと、自分が読みやすいでしょう。)

そして、字数が規定枚数を満たすように、パソコンで編集していきます。

たとえば、原稿用紙1枚が400字詰めの用紙の場合、原稿用紙で3枚以上という条件なら、1200字1200字以上という条件を満たすように、パソコン上で下書きをチェックします。

パソコンの無料ソフトで、文字数カウンターなどというような名前のソフトがあるので、そのようなものを使うとラクでしょう(実務では、そのようなものを使います)。

そして、下書きが字数などの規定条件を満たしたら、そこで文章の言い回しなどを整えたりしてみて、最後に手書きで原稿用紙に書き写します。

読書感想文

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読書感想文とは

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  • 読解レポートではないし、文学史レポートでもない。

感想文は、べつに読解のレポートでもなければ、文学史のレポートではありません。あくまでもテーマは感想です。なので、あまり参考書とか資料集とかを読んでも、評価されません。参考書を何ページも読む時間があるなら、感想文課題に選んだ作品を何度か読み返したほうが良いです。

感想文テンプレートという教材

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要点・概要

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2020年代の現代、小学生~中学生あたりを対象に、読書感想文のための文章スタイルを紹介したテンプレート教材があります。検定教科書ではないのですが。

ネットなどでも読書感想文 テンプレートなどで検索すれば、画像つきで情報が得られるでしょう。テンプレートとはひな形(ひな型)・定型書式といった感じの意味です。

すでにマスコミなどでも感想文テンプレートは紹介されています。

いくつかの会社が、そういう感想文テンプレートの教材を出しています。

会社によって、感想文のスタイルは違いますが、おおむね、以下のような構成で、以下のような順序です。

  1. その作品に興味をもった理由
  2. 作品のあらすじ
  3. いちばん心に残ったこと
  4. 自分の考え
  5. 締め・結論・今後

※ 自分の考えの最後が結論今後を兼ねる場合もあります。

その作品に興味をもった理由

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その作品に興味をもった理由を、手短に書く。これは、感想文に限らず、論文でも同じです。

この機会に、そういう型を身に着けてしまいましょう。

あと、単純な理由として、興味のない作品を何日も分析しつづけるのは、とても面倒です。

きちんと、自分でも興味をもてそうな作品を選びましょう。

けっして、有名なこの作品に興味をもつと、周囲から頭良さそうに思われるから、本当は興味ないけど、仕方なくこの作品の感想文を書こうなんてことは、しないでください。

作品のあらすじ

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感想文の読者は、作品の内容を知らないので、手短に書くわけですが、その際、最終的に誰がどうしたという能動形・肯定形で書くと、書きやすいかもしれません。

物語論でも、登場人物には基本的に、役割があるとされています。

だから後述のように、5W1H(いつ、どこで、だれが、なにを、どのように、どうした)の各要素の価値は、決して平等ではなく、だれが(Who)こそが重要なのです。

特に、マンガやアニメやイラストなど、キャラクターをどうデザインしたり作中でどう活用したりするかの理論体系を、俗にキャラクター論と言います。

最終的に誰がどうしたという形で要約を書くことで、自然とシナリオ論や、キャラクター論といった現代的な手法を、自然と練習できるのです。

5W1Hのだれが(Who)が特に重要であることを意識しながら、あらすじをまとめると良いでしょう。


参考文献・脚注など

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