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中学校社会 公民/現代社会の特徴

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

グローバル化[編集]

おしすすむ正のグローバル化[編集]

近年では、ヒト・モノ・カネが国境を超えて世界レベルで移動し、世界全体の結びつきが強くなるグローバル化が進んでいます。例えば、同じ商品をつくるのにも、以前は一国だけでしたが、現在ではそれぞれの国がその国独自の強みを活かして、さまざまな国が関与するという例が増えています。パソコンなどでは中国が有力です。さらに、異文化の交流も進み、私たちの生活に新しい変化をもたらしています。生産の効率化、異文化交流の進展、生活習慣の劇的な変化、これが、グローバル化の正の面です。

せまるグローバル化の脅威とグローバル化の課題[編集]

しかし、その一方でグローバル化には負の面もあります。ヒト・モノ・カネが世界レベルで移動するようになったため、一つの国で済んでいた問題が、世界レベルの問題に発展しやすくなったのです。新型コロナウイルスの世界的な流行は、その象徴です。2000年代に起きたリーマン・ショックも、グローバル化によって拡散しました。さらに、ヒト・モノ・カネは、どれも犯罪の標的になります。それが世界レベルで移動するということは、犯罪の国際化も進むわけです。また、後進国に先進国の文化が導入され、現地の環境を破壊してしまうという問題も起きています。地球温暖化も進んでいます。

グローバル企業(利益社会)が国家によるコントロールを逃れ、自分たちの利益だけを追求して、弱い国に国民を苦しめる政策を強いたり、お金に物を言わせて無理やり大規模な工場を作ってその街の自然環境を破壊したりする問題も起こっています。国家によるコントロールを逃れたグローバル企業は国家の役割である水道や道路などの社会資本の民営化を目指し、実際に民営化を実現した国では料金の高騰によって富裕層以外は社会資本を使えないという平等権が侵害される事態も起こっています。

水道が民営化され、高くなった水道料金を払えなくなった住民が川の水を飲んで死亡したことはその代表例です。

このように、グローバル化には、病気の拡散犯罪の国際化文化や伝統の破壊環境破壊の進行個人と個人・国と国との格差の広がり非独立国の増加という負の側面があります。グローバル化を推進しようという考え方をグローバリズムといい、グローバリズムを推進する人たちのことをグローバリストといいます。

ナショナリズムの台頭とグローバル化への対応[編集]

こうした課題を解決するために、政治のグローバル化も進んでいます。国際的な問題に対処するため、国際連帯税を設けるべきだという意見もあります。しかし、主権国家同士をまとめる権力は存在しないことから、結局は一国の意向だけで使われてしまうのではないかという強い反対意見もあります。そこで、ナショナリズムの台頭が進んでいます。これはグローバル化の時代だからこそ、国家の役割を強くして、負のグローバル化から自国民を守ろうという考え方です。2017年にはアメリカで「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ大統領が当選しました。2020年にイギリスはEUを離脱しました。一方、ナショナリズムの台頭にも課題はあり、負のグローバル化への対応策はいまだに見つかっていません。

反グローバリズムの動きは世界中で広がっています。世界の多くの国では左翼や右翼と呼ばれる人たちは、左翼は平等主義、右翼は国家主義という視点から、グローバリズムによる差別や国家の役割の削減を批判し、国家の役割を強くしようとしています。反グローバリズムは左翼と右翼が共闘できる唯一の場面だと考えられています。しかし、日本では平等主義や国家主義を掲げてグローバリズムによる差別や国家の役割の削減を批判する人はほとんどおらず、国政政党には一つもありません。日本も、世界に合わせて反グローバリズムを掲げ、国家の役割を強くするべきだという意見もあります。

また、反グローバリズムによって左翼や右翼は以前よりも「我々の国だ」という国家意識が強くなってきているといわれています。

国際シンボルマーク。車イスマーク。ピクトグラム。日本語が読めない人でも、絵から意味が分かる。
非常口マーク。ピクトグラム。この非常口のマークは日本人が考案して、国際的にも普及している。

情報化[編集]

地球シミュレータ(2代目、2015年2月までの旧システム)
(※教科書の記述の動向 情報通信技術のことを英語で ICT(Information and Communication Technology)と言い、この「ICT」という用語を記述している教科書が多いので、この用語がテストに出るかもしれない。)
ノートパソコン(ヒューレット・パッカード)
折りたたみ式の携帯電話
GPS

現代には、インターネットやハイテクが定着した。エレクトロニクスはICLSI超LSIや携帯電話や光ファイバーなどと技術革新が進んでいる。日本の工業の移り変わりの歴史は、明治や大正あたりの製鉄などの重厚長大(じゅうこう ちょうだい)から、現代は半導体などの軽薄短小(けいはく たんしょう)型の産業に切り替わり、産業構造のハイテク化を起こした。これは経済のソフト化[1]サービス化[2]とも呼ばれている。

※ 高校教科書の側で、「ソフト化」「サービス化」が太字の用語。なので中学でまとめて覚えてしまおう。

インターネットの発達によって、今までは情報を不特定多数には発信する機会の無かった人でも、簡単に情報を発信できるようになった。

インターネットによって、遠くの友人とも、動画つきのネット電話で簡単に話すことも出来るようになった。また、インターネットを利用した通信販売などオンライン・ショッピングなどと言われる商取引も、盛ん。 ネットでの通信販売は、ネットで商品について調べながらでも、品物を吟味することが出来る。

しかし,情報通信の発達にともない、今までは無かったトラブルも増えてきている。

知らない人から、迷惑メールが送られてくることもある。また、ネット取引を装った詐欺なども、簡単に行えるようになった。

また、情報を簡単に入手できるということは、裏(うら)を返すと、もしも非公開の個人情報などが漏れても、情報が簡単に伝わってしまう、ということである。 基本的に、インターネットでは、自分や友人・知人などの個人情報は書き込まないほうが安全である。

インターネットでは、プライバシーに配慮しなければならない。

  • 著作権の注意

また、コンピュータの発達により、データの複製が簡単に出来ることになったことから、著作物の許可の無いコピーなど、知的財産権の侵害も目立つようになっている。 もしも、インターネット上で文章や画像、音楽などを公開するときは、著作権に注意する。インターネット上での公開にも著作権法などが適用されるので、他人の著作権を侵害しないようにする。

  • 不要な情報は後回しにする。

インターネットで情報の入手がラクになったことから、大量の情報が入手できるようになった。すると、多すぎて読み切れない量の情報がインターネット上ではあるため、いらない情報は無視をしたり後回しにして必要な情報から集めるという、情報の優先順位をつける能力も必要になってきた。

  • ネット犯罪

コンピューターそのものは機械であり、善悪の判断が出来ない。そのため、犯罪に使われる場合もある。また、インターネット上には、違法行為や犯罪を行っているウェブ・サイトも存在している。

もちろん、犯罪行為は、たとえコンピュータやインターネットを用いていようが、用いていまいが、どちらにせよ法律によって犯罪は処罰される。しかし、コンピューター産業は技術の進歩が早く、私達の注意が追いつかないため、ネット上での詐欺などが見ぬきにくく騙されてしまうこともありえる。

悪者に悪用されないように、インターネット上には、むやみに自分の名前や住所などの個人情報を書いてはいけない。 他人の個人情報も、同意がない限り、書いてはいけない。

発展的事項[編集]

  • インターネット上でのマナー

インターネット通信は、自分だけのものではないので、利用の際には、他人に迷惑をかけないように注意する。 書き込みをするときは、けっして違法な書き込みをしない。犯罪予告などの違法な書き込みをすると法的に処罰されることもある。

コンピュータ・ウイルス[編集]

これらのマナーなどの問題とは別に、技術的な注意点がある。 インターネット上には、ネットにつながった他人のパソコンの情報を盗み見したり、他社のパソコンを無許可で遠隔操作(えんかくそうさ)したりなどの行為を行う者もいる。そのような悪意を持った者が、悪事をしやすくするソフトウェアを開発する場合もある。他人のパソコンのシステム内に勝手に入り込んで(感染)、かってにシステム設定を書き換えて、ウイルス開発者が悪事をしやすいように書き換えてしまう迷惑なソフトウェアを コンピュータ・ウイルス という。このようなコンピュータ・ウイルスは、感染したパソコンの利用者の知らないうちに、かってに他人のパソコンのシステムの中枢に入り込んでしまう。

コンピューターというのはプログラムという命令文を実行する機械に過ぎないため、もしプログラムに「このパソコンの情報を盗んで、外部にもらせ」とかいった、悪意にもとづいた命令文が書かれていたら、そのとおりに実行してしまう。

パソコンからコンピュータ・ウイルスを削除できるセキュリティ・ソフトと言われるソフトウェアも存在する。 ウイルスの削除には専門的な知識が必要なため、そのようなセキュリティ・ソフトを生産している企業がある。

コンピュータ・ウイルスは、ほぼ毎日、新しいウイルスが開発されている。これに対抗して、セキュリティ・ソフトも開発が進められている。


少子高齢化[編集]

日本は、長寿国ということもあり、高齢化(こうれいか)が進んでいる。また、未婚率や女性の出産年齢の上昇などもあり、社会の子供の数が少ないという少子化(しょうしか)も進んでいる。 日本の人口は、2005年が人口のピークで、それから人口の減少が始まっている。 国民の高齢化によって、社会保険の負担が増えていくことが予想されている。(2014年に記述。)

少子化と高齢化を合わせて、少子高齢化(しょうし こうれいか)と言う。日本では少子化による労働力の減少の心配や、高齢者の生活を支える負担能力の減少が、心配されている。

日本だけに限らず、多くの先進国で、少子高齢化の傾向がある。

食料自給率の低さやエネルギー自給率の低さなど、食料やエネルギーを輸入に頼っていることを考えても、人口を維持し続けるのは難しくなっていくかもしれない。

しかし、日本の現在の社会制度の多くは前提として、人口増や1億人程度以上の人口を維持している状態を前提にした制度が多く、また人口増を可能にした高度経済成長などの好景気を前提にした制度も多く、あまり人口減少や少子化を前提としていない制度が多い。

政治家や企業家や国民の中には、自国の人口が多いほうが自国の経済活動の規模が大きくなると考え、自国の人口が多いほど外国との経済競争に有利になるだろうという考えにより人口を維持しようと考える者も多い。

制度改革にも時間がかかり、そのあいだは、急激な人口の減少や急激な少子化があると、社会に混乱が起きる。

日本では少子化を防ごうとする政策が取られている。 たとえば日本では2003年に 少子化対策基本法(しょうしかたいさく きほんほう)が制定された。

日本だけに限らず、多くの先進国では、少子化が進んでいるので、少子化を防ごうとする政策が取られている。 いっぽう発展途上国では人口の増加が問題である。人口の増加につれて、食料危機の危険性が高まってくる。現状では計算上では、農産物は人類のすべてを養えるだけの量は生産されている。しかし、人口が増えれば、どうなるかは分からない。

人口が増えれば、石油などのエネルギーの消費も増えていく。

長寿命化によって、高齢者の割合も増えていく。高齢者への介護の負担も増えていく。子供を産んで増やしたところで、その子供もいずれは年を取り、高齢者になっていく。 子供を増やして若者を増やせば、一時的には、一人あたりの高齢者福祉への負担は減るが、問題の先延ばしに過ぎない。 結局は、どこかの時代で、若者は「これから、高齢者福祉の負担が大きくなる」と、覚悟を決めるしかないのである。


(人口問題があるからか、)当面は発展途上国では人口増加によって若者が多くても、将来的には発展途上国でも、いずれ少子高齢化が進行すると予想されている。(※ 近年の帝国書院の教科書でも、そう予想している。2018年に本文を記述。)

どのみち、世界の多くの国は、将来的に少子高齢化を体験することになるので、いっそ「日本などの先進国は、海外の発展地上国の未来の問題(高齢化社会など)を先取りしてる」とでも考えて、積極的に問題解決をしていくのがよいだろう。

企業の商品開発などで高齢者に対応した商品開発をするなど(※ 帝国書院の教科書がこういうのを提案している)、建設的思考で高齢化社会への対応を心がけていきたいものである。

  1. ^ 帝国書院『05新公共総合特色書.indd - 06公共_内容解説資料.pdf』
  2. ^ 帝国書院『05新公共総合特色書.indd - 06公共_内容解説資料.pdf』