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公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題5

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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問題

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 株主の権利又は株式の内容に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.公開会社でない株式会社は,定款の定めをもって,株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えないものとすることができる。

イ.最高裁判所の判例の趣旨によれば,株式の共有者間において,当該株式についての権利を行使する者を定めるに当たっては,各共有者の持分の価格に従い,その過半数をもってこれを決することができる。

ウ.株式会社が,定款の変更により,その発行する全部の株式の内容として,当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができることを定める場合において,当該定款の変更に反対する株主は,株式買取請求権を行使することができる。

エ.株式会社が株主の権利の行使に関し,その子会社の計算において財産上の利益を供与した場合において,当該利益の供与を受けた者は,これを当該子会社に返還しなければならない。

1.アイ
2.アウ
3.アエ
4.イウ
5.イエ
6.ウエ

正解

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5

解説

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ア.公開会社でないか否かにかかわらず,株式会社は,定款の定めをもってしても,株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えないものとすることができる。できない。105条2項

イ.最高裁判所の判例の趣旨によれば,株式の共有者間において,当該株式についての権利を行使する者を定めるに当たっては,各共有者の持分の価格に従い,その過半数をもってこれを決することができる。106条本文,最判平9.1.28,なお民法252条参照

ウ.株式会社が,定款の変更により,その発行する全部の株式の内容として,当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができることを定める場合において,当該定款の変更に反対する株主は,株式買取請求権を行使することができる。できない。全部の株式を取得条項付株式とする定款変更には、総株主の同意が必要であるため (110条),反対株主の株式買取請求権の規定がない。

エ.株式会社が株主の権利の行使に関し,その子会社の計算において財産上の利益を供与した場合において,当該利益の供与を受けた者は,これを当該子会社に返還しなければならない。120条3項前段

参照法令等

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