公認会計士試験/平成30年第I回短答式/管理会計論/問題10
問題
[編集]財務情報分析に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.流動資産を流動負債で割った比率は流動比率となり,また,流動資産から流動負債を差し引くと正味運転資本が算定される。繰延資産がゼロの場合,正味運転資本は「(固定負債+自己資本)-固定資産」の算式からも算定できる。
イ.良好な収益性の状態を維持するには,売上高利益率を上げることが困難な場合,売上高利益率が低くとも総資本回転率を上げれば総資本利益率の上昇は達成でき,これを実現するためには薄利多売戦略を行うことが考えられる。
ウ.固定長期適合率と流動比率との関係において,固定長期適合率が1 より大きい場合は,流動比率が1 より大きいことに対応し,固定長期適合率が1 より小さい場合は,流動比率が1 より小さいことに対応する。
エ.企業の資本調達上,負債を利用する度合を財務レバレッジというが,資本調達に関して企業間比較を行う場合,財務レバレッジの高い企業の方が自己資本純利益率の変動についてのリスクは低くなる。
- 1.アイ
- 2.アウ
- 3.アエ
- 4.イウ
- 5.イエ
- 6.ウエ
正解
[編集]1
解説
[編集]ア.流動資産を流動負債で割った比率は流動比率となり,また,流動資産から流動負債を差し引くと正味運転資本が算定される。繰延資産がゼロの場合,正味運転資本は「(固定負債+自己資本)-固定資産」の算式からも算定できる。
ウ.固定長期適合率と流動比率との関係において,固定長期適合率が1 より大きい場合は,流動比率が1 より大きい小さいことに対応し,固定長期適合率が1 より小さい場合は,流動比率が1 より小さい大きいことに対応する。
流動資産 | 流動負債 |
固定負債 | |
固定資産 | |
自己資本 |
イ.良好な収益性の状態を維持するには,売上高利益率を上げることが困難な場合,売上高利益率が低くとも総資本回転率を上げれば総資本利益率の上昇は達成でき,これを実現するためには薄利多売戦略を行うことが考えられる。
総資本利益率 | = | 売上高利益率 | × | 総資本回転率 |
(利益/総資本) | (利益/売上高) | (売上高/総資本) |
エ.企業の資本調達上,負債を利用する度合を財務レバレッジというが,資本調達に関して企業間比較を行う場合,財務レバレッジの高い企業の方が自己資本純利益率の変動についてのリスクは低く高くなる。
自己資本純利益率 (ROE) | = | 総資産純利益率 (ROA) | × | 財務レバレッジ |
(純利益/自己資本) | (純利益/総資産) | (総資産/自己資本) |