公認会計士試験/平成30年第I回短答式/管理会計論/問題13

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問題[編集]

 次の〔資料〕に基づき,次の文章の( ア )および( イ )に当てはまる数値の組合せとして最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8 点)

 甲社では, 2 種類の製品を生産している。各製品の収益性判断を正確に行うため,現在用いている操業度関連の基準による製造間接費配賦から活動基準原価計算による製造間接費配賦へ変更することを検討している。それゆえ,配賦方法を変更することにより,単位当たり売上総利益の金額にどの程度の変化が生じるかを調査することとした。

 その結果,操業度関連の基準を用いて製造間接費配賦を行った場合,活動基準原価計算を用いた場合に比して,製品Xの単位当たり売上総利益は( ア )円過小に計算され,製品Yの単位当たり売上総利益は( イ )円過大に計算されることが判明した。

資料

1.販売単価,年間計画生産・販売量,直接費に関するデータ

製品X 製品Y
販売単価 36,000 円 40,800 円
年間計画生産・販売量 16,000 個 8,000 個
製品単位当たり直接材料費 20,000 円 22,000 円
製品単位当たり直接作業時間 3 時間 3 時間
(注1 )販売数量と生産数量は一致させ,在庫水準は変動しない計画である。
(注2 )直接工の賃率は1,200 円/時間である。

2.製造間接費に関するデータ

 甲社において設けている活動コスト・プールと各活動コスト・プールに集計された製造間接費額は以下のとおりである。

活動コスト・プール 製造間接費額
機械作業コスト・プール 84,000,000 円
品質保証コスト・プール 57,600,000 円
材料運搬コスト・プール 42,000,000 円
工場管理活動コスト・プール  88,200,000 円

3.配賦基準に関するデータ

 操業度関連の配賦基準として直接作業時間を用いる。  活動基準原価計算による製造間接費配賦においては,以下のデータから各活動コスト・プールに適した活動ドライバーを選択して用いる。工場管理活動コスト・プールについては,適切な活動ドライバーがないため,直接作業時間を便宜的に用いる。

活動ドライバー 製品X 製品Y
機械運転時間 24,000 時間 36,000 時間
工程設計書作成時間  4,500 時間 5,000 時間
直接材料出庫回数 1,600 回 400 回
抜取検査回数 500 回 500 回
製品出荷回数 480 回 520 回
1. 1,650 3,300
2. 1,650 3,868
3. 1,650 4,980
4. 2,490 3,868
5. 2,490 4,980

正解[編集]

1

解説[編集]

製造間接費を考慮しない場合の製品単位あたり売上総利益[編集]

製品X 製品Y
製品単価 36,000 円 40,800 円
直接材料費 20,000 円 22,000 円
直接労務費 3,600円
(=1,200円/時間×3時間)
3,600円
売上総利益 12,400円 15,200円

操業度関連の基準による製造間接費配賦[編集]

製品X 製品Y 合計
合計直接作業時間 48,000時間
(=@3時間×16,000個)
24,000時間 72,000時間
製造間接費配賦額 181,200,000円
(=271,800,000円÷72,000時間×48,000時間)
90,600,000円 271,800,000円
(資料2の合計)
製品単位あたり製造間接費 @11,325円
(=181,200,000円÷16,000個)
@11,325円
製品単位あたり売上総利益 @1,075円
(=@12,400円-@11,325円)
@3,875円

活動基準原価計算による製造間接費配賦[編集]

コスト・プール 活動ドライバー 製品X(配賦額と按分比) 製品Y
機械作業 機械運転時間 33,600,000円

(24,000時間)

50,400,000円

(36,000時間)

84,000,000円

(60,000時間)

品質保証 抜取検査回数 28,800,000円

(500回)

28,800,000円

(500回)

57,600,000円

(1,000回)

材料運搬 直接材料出庫回数 33,600,000円

(1,600回)

8,400,000円

(400回)

42,000,000円

(2,000回)

工場管理活動 直接作業時間 58,800,000円

(48,000時間)

29,400,000円

(24,000時間)

88,200,000円

(72,000時間)

製造間接配賦額合計 154,800,000円 117,000,000円 271,800,000円
製品単位あたり製造間接費 @9,675円 @14,625円
製品単位あたり売上総利益 @2,725円
(=@12,400円-@9,675円)
@575円

※販売単価、直接材料費、および直接労務費はいずれの方法でも等しいため、製品単位あたり製造間接費の差額を求めることで、売上総利益の差額を求めることもできる。

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