公認会計士試験/平成30年第I回短答式/管理会計論/問題2

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問題[編集]

 当工場では機械部品を製造している。次の〔資料〕に基づき,当月の間接労務費および賃率差異に関する計算結果として正しい金額の組合せを示す番号を一つ選びなさい。なお,計算に当たっては,我が国の「原価計算基準」に従うものとする。(7点)

資料

1.直接工のデータ

 当工場では,機械加工と組立作業のそれぞれについて,作業の難易度に合わせて,A種作業(高難易度)とB種作業(低難易度)に区分して作業時間を記録している。また,機械設備の保全作業は偶発的な原因によって生じたものではなく,経常的に実施されている。

機械加工時間(A種) 2,700 時間
機械加工時間(B種) 1,300 時間
機械設備保全時間(間接作業) 400 時間
組立作業時間(A種) 1,500 時間
組立作業時間(B種) 1,000 時間
工場清掃時間(間接作業) 100 時間
段取時間 300 時間
手待時間 180 時間
職場離脱時間(賃金支給対象外) 520 時間
当月勤務時間 8,000 時間
年間予定賃率 1,000円/時間
当月賃金支払額 7,500,000円

直接工への実際賃金の支払は前月21日から当月20日までを給与計算期間としている。なお前月21日から前月末日までの賃金は2,400,000円であった。

当月21日から当月末日までの賃金未払額 2,600,000円

2.間接工のデータ

当月賃金支払額 4,500,000 円
前月21 日から前月末日までの賃金未払額 1,000,000 円
当月21 日から当月末日までの賃金未払額 1,100,000 円

3.その他の当月データ(すべて当工場に関連して発生)

買入部品費 500,000 円
外注加工賃 630,000 円
工場機械設備減価償却費 900,000 円
工場事務員給料 3,200,000 円
工場事務用機器減価償却費 250,000 円
従業員賞与引当金繰入額 490,000 円
退職給付費用 580,000 円
福利施設負担費 120,000 円
法定福利費 350,000 円
厚生費 130,000 円
賃率差異 間接労務費
1. 220,000 円(不利差異) 9,550,000 円
2. 220,000 円(不利差異) 9,900,000 円
3. 20,000 円(有利差異) 10,020,000 円
4. 20,000 円(不利差異) 10,020,000 円
5. 220,000 円(不利差異) 10,100,000 円

正解[編集]

2

解説[編集]

賃率差異[編集]

下表より220,000円(不利差異)

直接工賃金(資料1より)
諸口:7,500,000円

(前月21日から当月20日)

前月未払:2,400,000円

(前月21日から前月末)

直接労務費:6,800,000円

@1,000円×6,800時間

機械加工時間、組立作業時間、段取時間

当月未払:2,600,000円

(当月21日から当月末)

間接労務費:680,000円

間接作業時間(機械設備保全時間、工場清掃時間)、手待時間

賃率差異(不利差異):220,000円
10,100,000円 10,100,000円

間接労務費[編集]

直接工間接作業賃金
上表より680,000円
間接工賃金
右表より4,600,000円
間接工賃金(資料2より)
当月支払賃金:4,500,000円

(前月21日から当月20日)

前月未払額:1,000,000円

(前月21日から前月末)

 
当月未払額:1,100,000円

(当月21日から当月末)

4,600,000円

(当月1日から当月末)

その他
右表より、
3,200,000円+490,000円+580,000円+350,000円=4,620,000円
資料3
費目 分類
買入部品費 500,000 円 直接材料費
外注加工賃 630,000 円 直接経費
工場機械設備減価償却費 900,000 円 間接経費
工場事務員給料 3,200,000 円 間接労務費
工場事務用機器減価償却費 250,000 円 間接経費
従業員賞与引当金繰入額 490,000 円 間接労務費
退職給付費用 580,000 円 間接労務費
福利施設負担費 120,000 円 間接経費
法定福利費 350,000 円 間接労務費
厚生費 130,000 円 間接経費

※個人に跡づけできるものは労務費,できないものは経費

合計
680,000 + 4,600,000 + 4,620,000 = 9,900,000円

参考基準[編集]

原価計算基準
一〇費目別計算における原価要素の分類
一二労務費計算
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