公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題13

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問題[編集]

 「金融商品に関する会計基準」および「金融商品会計に関する実務指針」に基づき,次の〔資料〕の借入金および金利スワップを会計処理する場合,X2 年度(X2 年4 月1 日〜X3年3 月31 日)に関する以下の記述のうち,最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,計算結果に端数が生じる場合,円未満を四捨五入すること。(8点)

資料

1.X1 年4 月1 日に期間3 年,LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)による変動金利で10,000,000円の借入れを行った。それと同時に,以下の金利スワップ契約を締結した。

(1) 変動金利を固定金利に変換するため,LIBOR の変動金利を受け取り, 2 %の固定金利を支払う。
(2) 期間を3 年,想定元本を10,000,000 円とする。
(3) 借入金および金利スワップの利息は,毎年, 4 月1 日の金利水準により翌年の3月31 日に後払いされる。

2.LIBOR の推移は,X1 年4 月1 日時点で2.00 %,X2 年4 月1 日時点で2.20 %,X3 年4 月1 日時点で2.40 %である。

3.金利スワップの特例処理およびヘッジ会計の適用要件はいずれも満たされているものとする。ヘッジ会計を適用する場合,洗替処理はせず,評価差額の純変動額を計上するものとする。

4.期末の金利スワップの時価の算定に当たっては,翌期首のLIBOR を使用する。

5.税効果は考慮しない。

1.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は234,375 円となる。

2.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される受取利息は220,000 円,支払利息は420,000 円,また金利スワップ(資産)は計上されない。

3.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)については時価増加額345 円を認識する。

4.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は234,375 円となる。

5.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される受取利息は220,000 円,支払利息は420,000 円,また金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は39,063 円となる。

6.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)については時価増加額345 円を認識する。

正解[編集]

6

解説[編集]

特例処理[編集]

借入金利息
(借) 支払利息 220,000 (貸) 現金預金 220,000
※10,000,000×X2年4月1日2.20%
金利スワップ
(借) 現金預金  20,000 (貸) 支払利息  20,000
※10,000,000×(変動金利2.20%-固定金利2%)
スワップの時価評価
仕訳なし

ヘッジ会計処理[編集]

金利スワップの時価[編集]

金利スワップなどデリバティブの時価は将来キャッシュフローを割り引くことで求める。

X2年3月31日
20,000÷1.022+20,000÷1.0222≒38,718
※将来CF20,000=10,000,000×(変動2.20%-固定金利2%)
X3年3月31日
40,000÷1.024≒39,063
※将来CF40,000=10,000,000×(変動2.40%-固定金利2%)

仕訳[編集]

借入金利息
(借) 支払利息 220,000 (貸) 現金預金 220,000
※10,000,000×X2年4月1日LIBOR2.20%
金利スワップ
(借) 現金預金  20,000 (貸) 支払利息  20,000
※10,000,000×(変動金利2.20%-固定金利2%)
スワップの時価評価
(借) 金利スワップ     345 (貸) 繰延ヘッジ損益     345
※当期末39,063-前期末38,718=345
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