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公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題18

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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問題

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 次の〔資料〕に基づき,20X1 年度第3 四半期会計期間における税引後の当期純利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)

資料

1.会計方針

(1) 四半期決算においては,原価差異の会計処理を除き,年度決算と同じ会計処理を行う。原価差異のうち,季節的な変動に起因し,かつ事業年度末までに解消すると見込まれるものは,四半期決算において繰り延べ,年度決算において残高を売上原価に振り替える。
(2) 減価償却費,貸倒引当金繰入額並びに法人税等および法人税等調整額は,四半期決算において計上する。

2.20X1 年度第3 四半期における四半期決算直前の残高試算表は,次のとおりである。なお,収益および費用は,期首からの累計額である。

残高試算表(単位:千円)
現金預金   345,200 買掛金   400,000
売掛金   500,000 原価差異     8,000
棚卸資産   200,000 未払法人税等    31,500
有形固定資産   800,000 貸倒引当金     1,200
繰延税金資産    20,000 長期借入金   500,000
売上原価   300,000 減価償却累計額   210,000
販売費    25,000 資本金   300,000
一般管理費    20,000 繰越利益剰余金   300,000
減価償却費    10,000 売上高   500,000
貸倒引当金繰入額     1,000 法人税等調整額     2,000
法人税等    31,500
2,252,700 2,252,700

3.第3 四半期会計期間における減価償却費5,000 千円を計上する。また,貸倒引当金を1,500 千円に設定する(差額補充法)。

4.原価差異のうち,5,000 千円(貸方)は,季節的な変動に起因するものであり,事業年度末までに解消する見込みである。

5.当事業年度全体の法人税等の計算に適用される税率は,35 %と見積もられた。法人税等は,第3 四半期会計期間までの税引前当期純利益に加算項目(期首からの累計額)8,000 千円を加えた金額に当該税率を乗じたものを計上する。なお,第3 四半期末における繰延税金資産の金額は,繰延税金資産の回収可能性を評価した結果, 28,000 千円と見積もられた。

6.第1 四半期および第2 四半期における期首からの累計期間に係る税引後の当期純利益は,それぞれ26,000 千円および58,500 千円であった。

1. 24,805千円
2. 28,855千円
3. 30,805千円
4. 38,855千円
5. 40,805千円
6. 43,605千円


正解

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5

解説

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第3四半期決算整理仕訳
減価償却
(借) 減価償却費 5,000 (貸) 減価償却累計額 5,000
貸倒引当金
(借) 貸倒引当金繰入額 300 (貸) 貸倒引当金 300
※要設定額1,500-前T/B 1,200
原価差異
(借) 原価差異 3,000 (貸) 売上原価 3,000
税効果会計
(借) 繰延税金資産 8,000 (貸) 法人税等調整額 8,000
※3Q末繰延税金資産28,000-前T/B 20,000
法人税等
(借) 法人税等 20,895 (貸) 未払法人税等 20,895
※52,395-前T/B31,500
 52,395=(税引前当期純利益141,700+加算項目8,000)×35%
 税引前当期純利益は下記参照
損益計算書
売上高 500,000
売上原価 297,000
 売上総利益 203,000
販売費及び一般管理費
 販売費 25,000
 一般管理費 20,000
 減価償却費 15,000
 貸倒引当金繰入額  1,300  61,300
  税引前当期純利益 141,700
  法人税等 52,395
  法人税等調整額 10,000  42,395
  当期純利益(税引後)  99,305

∴3Qまでの累計99,305-2Qまでの累計58,500=40,805

参照基準

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企業会計基準12号「四半期財務諸表に関する会計基準」12項

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