公認会計士試験/平成30年第II回短答式/財務会計論/問題7

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問題[編集]

 次の〔資料〕に基づき,当期末(X年3 月31 日)の貸借対照表の負債の部に計上すべき引当金の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,計算結果に端数が生じる場合,百万円未満を四捨五入すること。(8点)

資料

1.当社は,自社製品の販売について,販売時より1 年間の保証期間を設けており,保証期間内に当社の責任により故障または不具合が生じた製品を無償修理することを,顧客に約している。製品保証による過去の無償修理費用の売上高に対する実績率は1.25 %であった。また,製品保証を設けている製品の当期の売上高は,640,000 百万円である。
2.当社は,営業債権に対する貸倒引当金を設定しており,前期末の貸倒引当金の金額は4,125 百万円であった。前期末営業債権のうち105 百万円が当期に貸倒れとなり,適切な会計処理を行っている。また,当期末の貸倒引当金の決算整理前残高は,当期末に計上すべき貸倒引当金の金額より1,480 百万円不足している。
3.当社は,毎年6 月と12 月に従業員に対し,賞与を支払っている。6 月の賞与の支給算定期間は10 月から3 月であり,12 月の賞与の支給算定期間は4 月から9 月である。当期の支給額は6 月に6,840 百万円であり,12 月に7,152 百万円であった。次期6 月の支給については,同年6 月末に7,800 百万円を支払うことが当期末において確定している。
4.当社は,B社によるA社への貸付について,A社の債務保証のためB社と保証契約を結んでいる。当社が債務保証をしているB社によるA社への貸付額は,2,500 百万円であり,当期末において当該債務保証に対して保全される金額は,500 百万円である。A社は,B社に対し,返済期日延期の申込みをしており,これを受けて当該貸付金の回収可能性を懸念したB社から当社に対して,当該可能性について問い合わせがあった。当社は,A社による返済の延期は資金繰りの一時的な事情によるものであるとB社に回答した。
1. 8,000百万円 2. 9,800百万円 3. 13,500百万円
4. 15,800百万円 5. 21.300百万円 6. 23,300百万円

正解[編集]

1

解説[編集]

※単位:百万円

1. 製品保証引当金
売上高640,000×実積率1.25%=8,000
2. 貸倒引当金
資産の部に計上するため,負債の部に計上すべき引当金ではない
3. 賞与引当金
支給額が確定しているから引当金ではなく未払費用
4. 債務保証損失引当金
発生の可能性(A社の負債を当社が代わって弁済する可能性)が高いとはいえないため計上要件を満たさない
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