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公認会計士試験/平成30年論文式/租税法/第2問問題1問2

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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問題[編集]

 当社は,設立時より資本金の額が50,000,000 円である電気製品卸売業を営む株式会社であり,株主は全て個人である。当社の当期(自平成29 年4 月1 日 至平成30 年3 月31 日)における納付すべき法人税額の計算に関して,以下の[資料]1.〜5.に基づき,次の[問]1.及び[問]2.に答えなさい。なお,複数の計算方法があるものについては,当期の納付すべき法人税額が最も少なくなる方法により計算するものとする。消費税及び地方消費税は考慮する必要はない。

[問]
1.次の[資料]1.〜4.の会計処理について,当期の所得の金額の計算上,申告調整すべき金額を答えなさい。
[問]
2.[資料]5.⑵に基づき,当期の一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の計算において使用される貸倒実績率を計算しなさい。なお,貸倒実績率は小数点第4 位未満の端数を切り上げる。

[資料]

1.得意先A社に対する債権に関する事項
 得意先A社に対して当期末に売掛金3,000,000 円及び貸付金4,000,000 円を有しているが,A社との継続的な取引を停止し,取引停止の時,最後の弁済期及び最後の弁済の時のいずれの時からも1 年6 か月以上を経過したため,当期末に次の会計処理を行った。なお,貸付金は,平成28 年6 月15 日に売掛金から準消費貸借契約により貸付金に振り替えたものである。また,A社に対するこれらの債権の担保として,A社所有の土地に抵当権を設定しており,当期末における担保価値は1,000,000 円と見積もられる。
(借方) 貸倒損失 2,999,999円 (貸方) 売掛金 2,999,999円
貸倒損失 3,999,999円 貸付金 3,999,999円
2.得意先B社に対する債権に関する事項
 得意先B社に対する売掛金5,000,000 円のうち4,000,000 円は,平成23 年5 月13 日の再生計画認可の決定により切り捨てられていたが,前期まで会計処理をしていなかった。このため,当期末に次の会計処理を行った。なお,平成23 年5 月13 日を含む事業年度において,この4,000,000 円は申告調整により損金の額に算入されている。
(借方) 貸倒損失 4,000,000円 (貸方) 売掛金 4,000,000円
3.得意先C社に対する債権に関する事項
 得意先C社に対して売掛金10,000,000 円を有していたが,平成27 年7 月7 日に更生計画認可の決定があり,6,500,000 円は切り捨てられ,残額の3,500,000 円については,平成28 年1 月末日を第1 回として,毎年1 月末日に,500,000 円ずつ7 回で分割弁済されることとなり,過去3回は計画どおりに弁済されている。この切り捨てられた金額6,500,000 円については,更生計画認可の決定のあった事業年度において,貸倒損失として費用処理をしたが,分割弁済額については,前期まで,何ら会計処理をしていなかった。そこで,当期に次の会計処理を行い,売掛金残高の全額を貸倒引当金に繰り入れた。
(借方) 貸倒引当金繰入額 2,000,000円 (貸方) 貸倒引当金 2,000,000円
4.一括評価金銭債権に係る貸倒引当金に関する事項
 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金について,当期末に次のとおり会計処理を行った。なお,前期まで,一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入れは行っていなかった。
(借方) 貸倒引当金繰入額 8,000,000円 (貸方) 貸倒引当金繰入額 8,000,000円
5.一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の計算に関する資料
⑴ 当期末の金銭債権の金額は次のとおりであり,[資料]1.と2.の会計処理を行った後の金額である。なお,債務者から受け入れた金額があるため,その全部又は一部が実質的に債権とみられない金銭債権はない。また,当期に計上されている貸倒引当金は,[資料]3.と4.において会計処理が行われたもののみである。
  • 受取手形:154,600,000 円
  • 売 掛 金:520,560,501 円
  • 貸 付 金: 33,500,001 円
  • 未収入金: 15,600,000 円
⑵ 貸倒実績率の計算の基礎となる前期以前の各事業年度末における一括評価金銭債権の金額,売掛債権等に係る貸倒損失の金額等は,次のとおりである。
事業年度 各事業年度末における一括評価金銭債権の金額 売掛債権等に係る貸倒損失の金額 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金繰入額 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金戻入額
自平成24年4月1日

至平成25年3月31日

650,000,000円 2,000,000円 3,000,000円 1,000,000円
自平成25年4月1日

至平成26年3月31日

640,000,000円 1,400,000円 1,200,000円 3,000,000円
自平成26年4月1日

至平成27年3月31日

680,000,000円 1,500,000円 4,000,000円 1,200,000円
自平成27年4月1日

至平成28年3月31日

710,000,000円 8,000,000円 1,500,000円 4,000,000円
自平成28年4月1日

至平成29年3月31日

720,000,000円 2,600,000円 0円 1,500,000円
⑶ 卸売業について,租税特別措置法第57 条の9(中小企業等の貸倒引当金の特例)で規定する政令で定める割合(法定繰入率)は1,000 分の10 である。

解答項目[編集]

[問]1.
(1) 得意先A社に対する債権
(2) 得意先B社に対する債権
(3) 得意先C社に対する債権
(4) 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金繰入額
[問]2.
貸倒実績率(小数点第4位未満の端数切上げ)

解答解説[編集]

得意先A社に対する債権[編集]

売掛金
2,999,999(加算)∵担保物がある
貸付金
3,999,999(加算)∵売上債権でない

得意先B社に対する債権[編集]

4,000,000(加算)∵平成23年5月13日を含む事業年度に損金算入

得意先C社に対する債権[編集]

当期末の取立不能見込額
2,000,000(H31.1.31~.H34.1.31)
決定のあった事業年度の翌期首から5年以内に弁済される金額
1,500,000(H33.3.31までに弁済される分)
繰入限度額
500,000
繰入超過額
1,500,000(加算)

一括評価金銭債権[編集]

一括評価金銭債権
(154,600,000+520,560,501+33,500,001+15,600,000)+A社6,999,998-D社2,000,000=729,560,500
貸倒実績率
[{分母期間貸倒損失(1,500,000+8,000,000+2,600,000)+個別繰入(4,000,000+1,500,000+0)-個別戻入(1,200,000+4,000,000+1,500,000)}×12月/36月] / [前々々期~前期一括評価金銭債権(680,000,000+710,000,000+720,000,000)÷3事業年度]
≒0.0052
貸倒実績率による繰入限度額
一括評価金銭債権792,560,500×0.052=3,792,154
法定繰入率による繰入限度額
一括評価金銭債権792,560,500×10/1,000=7,292,605
繰入限度額
7,292,605(有利選択)
繰入超過額
8,000,000-7,292,605=707,395(加算)

参照法令等[編集]

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