公認会計士試験/平成30年論文式/租税法/第2問問題3問2
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問題
[編集]出版業を営むQ株式会社(以下,「当社」という。)の当課税期間(自平成29 年4 月1 日 至平成30 年3 月31 日)における調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整について,次の[資料]1.〜3.に基づき,以下の[問]に答えなさい。
[資料]
- 1.全般的な事項及び注意事項
- ⑴ 当社は,国内に本店を置く株式会社で,従来,課税資産である学習用書籍の販売のみを行っていたが,数年前より,学校教育法に規定する教科用図書の販売(消費税法別表第一(第6 条関係)第12 号に該当するものである。)を開始したことから,課税売上割合が著しく低下している。
- ⑵ 設立以来,当社の各課税期間における課税売上高は5 億円を超えており,控除対象仕入税額の金額の計算は一括比例配分方式によって行っている。
- ⑶ 当社は,消費税及び地方消費税の経理処理について税抜方式を採用しており,問題文中に記載されている金額は全て消費税及び地方消費税の額を除いた金額である。
- 2.各課税期間における課税売上額及び非課税売上額に関する事項
- 最近の課税期間における課税売上額及び非課税売上額は,下表のとおりである。
課税期間 課税売上額 非課税売上額 合計 自平成26年4月1日
至平成27年3月31日980,000,000円 20,000,000円 1,000,000,000円 自平成27年4月1日
至平成28年3月31日920,000,000円 230,000,000円 1,150,000,000円 自平成28年4月1日
至平成29年3月31日863,600,000円 1,261,400,000円 2,125,000,000円 自平成29年4月1日
至平成30年3月31日682,500,000円 2,817,500,000円 3,500,000,000円
- 3.固定資産の取得に関する事項
- ⑴ 平成26 年5 月10 日に,在庫管理システムを13,500,000 円で購入し,同日から事業の用に供している。なお,平成30 年3 月31 日において,同資産を引き続き所有している。
- ⑵ 平成27 年9 月25 日に,次の資産を20,600,000 円で購入し,同日から事業の用に供している。なお,平成30 年3 月31 日において,同資産を引き続き所有している。
資産名 単価 数量 金額 在庫保管用書架 300,000円 2組 600,000円 販売管理システム 20,000,000円 1式 20,000,000円
- [問]
- 次の割合及び金額を答えなさい。なお,⑶の解答に当たり,調整前の控除対象仕入税額から消費税額の調整額を控除する場合は,金額の前に△表示を付け,調整額を記入すること。
- ⑴ 通算課税売上割合(小数点第3 位未満の端数が生じた場合は,その端数を切り捨てること)
- ⑵ 調整対象基準税額
- ⑶ 調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整額
解答解説
[編集]調整対象固定資産
[編集]- 在庫管理システム
- 当期間が第3年度の課税期間でないから,調整対象固定資産でない
- 在庫保管用書架
- 300,000<1,000,000 ∴調整対象固定資産でない
- 販売管理システム
- 20,000,000≧1,000,000 ∴調整対象固定資産である
変動の判定
[編集]- 仕入課税期間(調整対象固定資産を取得した日の属する課税期間)の課税売上割合
- 920,000,000/1,150,000,000=0.8
- 通算課税売上割合
- (920,000,000+863,600,000+682,500,000)/(1,150,000,000+2,125,000,000+3,500,000,000)=0.364
- 変動差
- 0.8-0.364=0.436≧5%
- 変動率
- (0.8-0.364)/0.8=0.545≧50%
- 結論
- 著しい減少
調整税額
[編集]- 調整対象基準税額
- 20,000,000×6.3%=1,260,000
- 調整税額
- 1,260,000×0.8-1,260,000×0.364=549,360(控除)