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- 等差数列(算術数列)
- 初項を
とし、公差を
とすれば、
番目の項
は

- 等比数列(幾何数列)
- 初項を
とし、公比を
とすれば、
番目の項
は

数列
に関して、
について区間
で足し上げた総和を記号:
(シグマ)を用いて、
と表す。
-
- 線形性

- なお、
、したがって、
- 等差数列の和
-
- 等比数列の和
-
- 自然数の累乗の和
(証明)
-
(証明)
-
(証明)
-
(証明)
-
- 連続する自然数の積の和 (証明)
-
-
[
個の連続する自然数の積の和]
-
- 連続する自然数の積を分母とする数列の和
-


初項が
であり、2項間の差
としたとき、
が規則性を持つのであれば(すなわち、いわゆる数列であれば)、
も規則性を有することとなり数列であると言える。このような数列を階差数列という。さらに、数列
の規則性が不明瞭である時、さらにその階差をとって数列
を作って明瞭な規則性を発見する場合もあり、それからさらに階差の深度を深める場合もある。数列
に対して、数列
を第1階差数列、数列
を第2階差数列という。
であるとき、

であるとき、
初項
の値と、第
項
と第
項
の関係によって数列を定義することができる。このような定義のしかたを数列の帰納的定義といい、
と
のような関係式を漸化式という。
※以下、初項
は所与
(定数) のとき、
- 一般項は、
[等差数列]
のとき、
- 一般項は、
[等比数列]
のとき、
- 一般項は、
[階差数列]
- 階差数列の拡張
の一般項は不明であるが、数列の和
を漸化式
として、
の式で与えられていたり、
を含んだ関係式が示されているとき、
, 
- の性質を用い、
の一般項を求める。
のとき、

- ここで、
とすると、
- 元の漸化式は、
となり、これは等比数列なので、一般項は、
となる。
-
かつ、
なので、
- 一般項は、
となる。
※以下、初項
及び第2項
は所与
- ① のとき、
- ② と変形、
・・・
- ③
- ①と②から、
,
が成立している(※)ので、①は
とも変形でき、③同様、
- ④となる。
- ③-④

- 即ち、

- ⑤
-
- (参考)
- ※から、
は、二次方程式
(特性方程式)の解であることがわかるが、高校の過程では「変形できる」でよい。
- 特性方程式の解が、以下に示す重解の場合を除き、有理数である時のみならず、無理数であっても(下記「フィボナッチ数列参照」)、虚数解であっても成立する。
上記②において、
であるとき
- 変形の結果、以下の式が得られる。

- 両辺を
で割ると、

- ここで、
、左辺は定数なので、
と置くと、この式の形は、
となり、等差数列となる。したがって、


(定数)は以下のように変形して解くことができる。

とおけば、
なので、
は等差数列となり、
である。これが
の階差数列であることから、

以下の関係で定義される数列をフィボナッチ数列という。
,
,
(
≧3)
- 上記三項間漸化式にあてはめ、
を解く。
- 特性方程式:
を解くと
であるから、
, 
- を⑤に代入する。
,
,
であるから、

の正の解;
(上記
)との比を黄金比(Golden ratio)、その値を黄金数といい、しばしば、
で表す。
- 同様に、
と共役関係にある負の解;
(上記
)を
で表し、フィボナッチ数を以下のように表すこともある。
-

-
- 黄金比・黄金数は、数学のその他の分野にも登場する興味深い数である。
- 順々に出現する自然数
について(離散的)、命題が成立することの証明法。
-
- (手順)
のときに、命題が成り立つことを証明。
のときに、その命題が成り立つことを仮定して,演算を行なって
のときその命題が成り立つことを証明する。
- 1.及び2.により、与えられた命題はすべての自然数
について成り立つことが証明された。
-
- (事例)一般項の式が漸化式を満たすことの証明
のとき、一般項は、
(命題※)となることの証明。
のとき、
。一般項の式:
、となり命題※は成立。
のとき、命題※が成立していると仮定。
のとき、


- となり、
のときも命題※は成立している。
- 1.及び2.により、命題※はすべての自然数
について成り立つ。
- 自然数
に対応する数列
について、
が無限に大きくなるものを無限数列といい、無限に大きくする操作を
と記述する。
による数列
の挙動には以下のものがある。
- ある実数
に限りなく近づく[1]。これを、
と表記し、「数列
は、
に収束する」という。
- (例)
,
いずれも、
となる。
が無限に大きくなることで収束しない場合を、発散するという。
が無限に大きくなると
も無限に大きくなる。これを、
と表記し、「数列
は、正の無限大に発散する」という。
- (例)
,
いずれも、
となる。
が無限に大きくなると
は負の方向に無限に大きくなる[2]。これを、
と表記し、「数列
は、負の無限大に発散する」という。
- (例)
,
いずれも、
となる。
が無限に大きくなると
は、
の値によって、正または負の値いずれかを取り、収束しない。これを振動するという。なお、
は、振動し収束しないが発散の範疇とは通常しない。
- (例)

- 上記の場合で、振動しないものを「極限がある」といい、振動するものを「極限がない」という。
- 数列
が、
が十分大きいとき常に
を満たし、
となるならば、
も収束し、

(はさみうちの原理)
- 数列
が
が十分大きいとき常に
を満たし、
となるならば、

(追い出しの原理)
- 数列
に対して,
,
ならば、
ただし
は定数。
(複号同順)。

(ただし、
)。
- 数列
について、
ならば
。(収束)
ならば
。(収束)
ならば
。(発散)
≤
ならば
は存在しない。(振動)
- 数列
において、
ならば 
- (証明)
であるから
とおくと、
のとき、
。
- ここで、
を2項定理で展開して、2次の項だけ抽出した。
のとき右辺
であるから、はさみうちの原理により、
- 無限数列
の各項を足し合わせたものを無限級数または単に級数と呼ぶ。和の表現を用いると、
であり、
という数列であると捉えると、
と記すことができる。
- 級数:
について、
のとき
。
≥
のとき
は発散する。
- (証明)


のとき
より
のとき
より
の極限は発散する。
- ^ 数学的に厳密な表現ではないが、高校数学では足りる。
となる自然数
が存在しているわけではないことに注意。
- ^ 「無限に小さくなる」は、基本的に「
に近づく」を意味するので、この表現を用いる。