"公式とは、数式で表される定理のことである " (出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』- 公式)
以下に、日本の数学教育において大学入学程度の水準までに用いられる、主な公式をジャンルごとに分けて記しておく。
初等幾何[編集]
三平方の定理[編集]
- 直角三角形の直角をはさむ2辺の長さをa、b、斜辺の長さをcとすると、以下の関係が成り立つ。:

- 三角形の三辺の長さa,b,cが
を満たすとき、この三角形は長さcの辺を斜辺とする直角三角形となる。
(参考) 三平方の定理
正弦定理[編集]
において、
, 外接円の半径を
とすると、

(参考)正弦定理
余弦定理[編集]
において、
とすると
第一余弦定理[編集]



第二余弦定理[編集]



(参考)余弦定理
多角形[編集]
- n角形の内角の和:

- n角形の対角線の本数:

- 半径rの円の円周l:

- 半径r、中心角a(度)の扇形の弧の長さl:

- 半径rの円の中心点Oと弦ABとの距離をaとしたときの弦ABの長さ:

- 方べきの定理:
- 点Pを通る2本の直線が円とそれぞれ2点A、Bと2点C、Dで交わっているとき(図1、図2):

- 円外の点Pを通る2本の直線の一方が点Tで円に接し、他方が2点A、Bで交わっているとき(図3):

(参考) 方べきの定理
三角形[編集]
メネラウスの定理。A→F→B→D→C→E→Aの順で循環する。
- メネラウスの定理
- 任意の直線
と三角形ABCにおいて、直線
とBC、CA、ABの交点をそれぞれD、E、Fとする。この時、次の等式が成立する。

- チェバの定理
- 三角形ABCにおいて、任意の点
をとり、直線AOとBC、BOとCA、COとABの交点をそれぞれD、E、Fとする。この時、次の等式が成立する。なお、点
は、三角形の内部にあっても外部にあってもよい。

立体図形[編集]
- 縦の長さa、横の長さb、高さh の直方体の対角線 l:

- 底面の半径をr、母線の長さ lの円錐の高さ h:

- 凸面体の頂点の数をv、辺の数をe、面の数をfとすると以下の関係が成り立つ(オイラーの多面体定理):

図形と方程式[編集]
- 中心座標
、半径rの円の方程式(標準形):

- 円の方程式の一般形
ただし、
。
- 円
上の点P
における接線:

- 2点A
, B
間の距離:

- 点P
と直線
の距離:

- 原点O・点
・点
を結んでできる三角形OABの面積S:

- ただし
はそれぞれ直線ABのx切片・y切片。
- または
(サラスの公式)
- 2次関数(
)上の3点
・
・
を結んで出来る三角形ABCの面積S:
,
,
とすると、

面積と体積[編集]
平面図形の面積[編集]
解説はこちらのページをご覧ください
- 三角形
- 底辺のながさ a、高さ h の三角形の面積 S:

- 二辺のながさが a, b でその間の角が θ である三角形の面積 S:

- ある辺のながさが a でその両端の角が θ, δ である三角形の面積 S:

- 三辺のながさが a, b, c で内接する円の半径が r である三角形の面積 S:

- 三辺のながさが a, b, c である三角形の面積 S:(ヘロンの公式)

- また、
とすると、
- 内接円の半径を
とすると、三角形の面積 
- 従って、

- 一辺のながさ a の正三角形の面積 S:

- 四角形
- 縦のながさ a、横のながさ b の長方形の面積 S:

- 一辺のながさ a の正方形の面積 S:

- 底辺のながさ a、高さ h の平行四辺形の面積 S:

- 上底のながさ a、下底のながさ b、高さ h の台形の面積 S:

- 対角線のながさ a、もう一つの対角線のながさ b のひし形の面積 S:

- 四辺の長さがa,b,c,dで円に内接する四角形の面積S:(ブラーマグプタの公式)

- また、
とすると、
- 正多角形
- 一辺のながさ a の正n角形の面積 S:

- 円と扇形
- 半径 r の円の面積 S:

- 半径 r 、中心角a(度)の扇形の面積S:

- 半径 r 、中心角 θ(rad) の扇形の面積 S:

- 半径 r 、弧の長さlの扇形の面積 S:

立体図形の面積[編集]
解説はこちらのページをご覧ください
- 縦のながさ a、横のながさ b、高さ h の直方体の表面積 S:

- 底面積 B:

- 側面積 A:

- 一辺のながさ a の立方体の表面積 S:

- 底面の周の長さ l、高さ h の柱体の側面積 S:

- 半径rの球の表面積S:

解説はこちらのページをご覧ください
- 縦のながさ a、横のながさ b、高さ h の直方体の体積 V:

- 一辺のながさ a の立方体の体積 V:

- 底面積 S、高さ h の柱体の体積 V:

- 底面積 S、高さ h の錐体の体積 V:

- 一辺のながさ a の正四面体の体積 V:

- 一辺のながさ a の正八面体の体積 V:

- 一辺のながさ a の正十二面体の体積 V:

- 一辺のながさ a の正二十面体の体積 V:

- 球の体積 V:

ベクトル[編集]
以下に挙げる公式で空間ベクトルで成り立つものは、その
成分を
とした平面ベクトルでも成り立つ。
と
の成す角が
のとき

,
のとき、

,
, O は原点とするときの三角形 OAB の面積
:

- とくに、
,
とすると、

- 二つのベクトル
,
に対し、

- よって、

- 等号成立は、実数 k があって
とできるときのみ。
初等代数[編集]
展開公式[編集]
解説はこちらのページをご覧ください
- 基本公式



- 累乗










- 応用






の展開式の一般項(多項定理):
(ただし、n=p + q + r)







式の変形[編集]








絶対不等式[編集]
- 正の実数からのみ成る数列
に対し、
![{\displaystyle {\frac {a_{1}+a_{2}+\cdots +a_{n}}{n}}\geq {\sqrt[{n}]{a_{1}a_{2}\cdots a_{n}}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/cfb4601ce1fa0b83c97d132d3b8f21d9d1431469)
- 等号成立は a1 = a2 = … = an のときのみ。(相加平均と相乗平均の関係式)
- 複素数から成る数列
に対し、

- 等号成立はすべての数の偏角が等しいときのみ。(三角不等式)
- 二つの数列
,
に対し、

- 等号成立は、複素数 z で b1 = za1, b2 = za2, ..., bn = zan が全て成り立つようなものが存在するときに限る。(コーシー・シュワルツの不等式)
方程式[編集]
- 1次方程式
の解の公式:

- 2次方程式
の解の公式:
の場合:

(
において
) の場合 :

- ※上記の3つの公式の根号の中の式は、各方程式の判別式Dとなる。
- 2次方程式
の2つの解を
とすると:

- であり、この
は次の関係式を満たす。(解と係数の関係)


(
において
) の2つの解を
とすると:

- であり、この
は次の関係式を満たす。(解と係数の関係)
- 零点の和 :

- 零点の積 :

- 3次方程式
の3つの解を
とすると:

- であり、この
は次の関係式を満たす。(解と係数の関係)



数の性質[編集]
- 自然数Nが相異なる素数
を用いて
と素因数分解されるとき、
- Nの約数の個数は

- また、その約数の総和は

- 自然数Q,Nに対し、1以上Q以下のNの倍数の個数。:
ただし、
はガウス記号。
- 自然数P,Q,Nに対し、P以上Q以下のNの倍数の個数
ただし、
はガウス記号。
- 自然数a,bについて、それらの最大公約数をg、最小公倍数をlとすると、以下の関係が成り立つ。:

- 奇数の和:

- a、bを互いに素な整数とするとき、1次不定方程式
を満たす整数解:
(kは整数)



複素数[編集]
(オイラーの式)

- 複素数のべき乗:(ド・モアブルの定理)

Eを2次単位行列、Oを2×2の零行列とすると、任意の2次正方行列
について
(ケイリー・ハミルトンの定理)









初等関数の性質[編集]
- xをaからbまで変化させたときの関数
の変化の割合(平均変化率):

一次関数[編集]
- 2点
,
を通る直線の式:

- 2点
切片
,
切片
(但し、ab≠0とする)を通る直線の式:

- 点
を通り、傾き
の直線の式:

- 傾き
を方向ベクトル
と捉えると:

接線の方程式[編集]
- 関数
のグラフ上の点
における接線:

- 楕円
上の点
における接線:

- 双曲線
上の点
における接線:

- 放物線
上の点
における接線:

二次関数[編集]
- 点
を頂点とし,2次の項の係数が
である二次関数の式:

- 点
を頂点とし,点
を通る二次関数の式:

- 2点
,
を通り,2階微分の係数が
である二次関数の式:

- 3点
,
,
を通る二次関数の式:

関数のグラフの移動[編集]
平行移動[編集]
の表すグラフを x軸方向にa、 y軸方向にb移動したときのグラフを表す式:

対称移動[編集]
の表すグラフを x軸に関して対称移動したときのグラフを表す式:

の表すグラフを y軸に関して対称移動したときのグラフを表す式:

の表すグラフを原点に関して対称移動したときのグラフを表す式:

の表すグラフを
に関して対称移動したときのグラフを表す式:

三角関数[編集]
基本公式[編集]






- 三角比の相互関係
(ピタゴラスの基本三角公式)



補角の公式(還元公式)[編集]



余角の公式(還元公式)[編集]



負角の公式(還元公式)[編集]



加法定理[編集]



(すべて複号同順)
二倍角の公式[編集]



半角の公式[編集]




和積の公式[編集]




積和の公式[編集]




三角関数の合成[編集]
ただし、
指数関数・対数関数[編集]
以下、この節内では a, b ,c は実数とする。
指数関数[編集]




対数関数[編集]
以下a>0かつa≠1とし、また対数の真数として表れるものはすべて正とする。



- 特に
, 

三次元空間[編集]
- 2点A
, B
間の距離:

直線の式[編集]
- 点
を通り、方向ベクトルが
である直線の式:

- 2点
,
を通る直線の式:

平面の式[編集]
- 一般式

- 点
を通り、法線ベクトルが
である平面の式:

- 3点
切片
,
切片
,
切片
(ただしabc≠0とする)を通る直線の式:

- 点P
と直線
の距離:

球面の式[編集]
- 中心座標
、半径rの球の方程式(標準形):

初等解析[編集]
数列と極限[編集]
一般項[編集]
- 等差数列(算術数列)
- 初項を
とし、公差を
とすれば、
番目の項
は

- 等比数列(幾何数列)
- 初項を
とし、公比を
とすれば、
番目の項
は

数列の和[編集]




(等差数列の和)
(等比数列の和)
数列の和の性質(線形性)[編集]


漸化式と一般項[編集]
(定数) のとき、
- 一般項は、
[等差数列]
のとき、
- 一般項は、
[階差数列]
のとき、
- 一般項は、
[等比数列]
等比数列となる漸化式の応用[編集]
のとき、

- ここで、
とすると、
- 元の漸化式は、
となり、これは等比数列なので、一般項は、
となる。
-
かつ、
なので、
- 一般項は、
となる。
数列・級数の極限[編集]
- 数列
が、
が十分大きいとき常に
を満たし、
となるならば、
も収束し、

(はさみうちの原理)
- 数列
に対して,
,
ならば、
ただし
は定数。
(複号同順)。

(ただし、
)。
- 数列
について、
ならば
。
ならば
。
ならば
。
≤
ならば
は存在しない。
- 級数:
について、
のとき
。
≥
のとき
は発散する。
関数の極限[編集]
,
のとき、
ただし、
は定数。
(複号同順)。

ただし、
。
のある近傍で定義された関数
,
,
があり、この近傍内の任意の
に対して、
≤
≤
かつ
ならば、
は収束し、





(
は正定数)。
![{\displaystyle \lim _{r\to \infty }{\sqrt[{r}]{r}}=1}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/91fd0581c520b4c7b489a6932c59f27e8f8b3512)
微積分[編集]
(微積分学の基本定理)
, 変数 x の微分可能な関数 f, g に対して

(ライプニッツ則)

- 別の表現で
(チェインルール)
とおくと、
で
とも表せる。
- 媒介変数による微分
ならば 

- ただし、t = a, b のとき、それぞれ x = α, β。
- ただし、
と略記。
- 別の表現:
![{\displaystyle \int _{a}^{b}f(x)\,dg(x)=[f(x)g(x)]_{a}^{b}-\int _{a}^{b}g(x)\,df(x)}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/42b1ab9082a7ea67a534d329e67ef40538933831)
(コーシー・シュワルツの不等式)
基本的な関数の微分公式・積分公式[編集]
実数
に対して
⇔ 
⇔
- 従って、
⇔ 
⇔

⇔ 
-

⇔ 
⇔ 



確率・統計[編集]
順列・組合せ[編集]
- 異なるn個からr個を取る順列:

- 異なるn個からr個を取るとき、重複を許す場合の順列(重複順列):

- n個のもののうち、p1個は同じもの、p2個は別の同じもの、p3個はさらに別の同じもの、……であるとき、これらn個のもの全部で作られる順列:
ただし、n=p1 + p2 + p3+ … +pk
- 異なるn個のものを円形に並べる順列(円順列):

- 異なるn個のものを(時計・反時計回り関係無く)円形に並べる順列(数珠順列) :

- 異なるn個からr個を取る組合せ:

- 異なるn個からr個を取るとき、重複を許す場合の組合せ(重複組合せ):





- Aが起こらない確率(Aの余事象が起きる確率)
:

- 事象A,Bが同時に起きる(すなわち積事象
の)確率:

- 特に事象A,Bが独立、すなわち
のとき:

- 事象AまたはBが起きる(すなわち和事象
の)確率:

- 特に事象A, Bが排反、すなわち
のとき:

- 確率pで事象Aが起こる試行を独立にn回行うとき、事象Aがちょうどr回起こる確率(反復試行の確率):

平均値・分散・標準偏差[編集]
以下、この節では度数分布表の階級値を
とし、それに対応する度数を
、総度数をNとする。
- 度数分布表からの平均値
:

- また、このときの分散
と標準偏差s:


- ある階級値を仮平均aとし、階級の幅をc、仮平均からの偏差をcで割った数値を
とする (すなわち
)ときの平均値
:
ただし、
- また、このときの標準偏差s:
ただし、

- 確率変数
が二項分布
に従い、
とする場合の平均値
, 分散
, 標準偏差
:


