制御と振動の数学/第一類/連立微分方程式の解法/例題による考察/行列による表示、その2

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

前項のベクトル・行列による表示をさらに一歩進めよう.

とおき,例 104 の解法をたどってみよう.このとき,

に留意すれば,次のように簡潔に記述することができる.まず 式 (5.1)

と表すことができる.これをLaplace 変換すれば,

すなわち,

これを解けば,

この原像は,

となる.これは,

(5.8)

であるから式 (5.2) と一致する.


例 108 を同様に取り扱ってみよう.

とおけば,式 (5.3) は,

である.これを Laplace 変換すれば,

すなわち,

これを について解けば,

となる.いま、

とおけば,

を得る.式 (5.8) で与えられているから,この結果は 式 (5.4) にほかならない[1]

このようにベクトル・行列表示を用いれば,連立微分方程式は,スカラの 1 階微分方程式と,形式的には全く同様に取り扱うことができる.


例111

例 109 を行列表示で解け.

解答例


にて, とおいて各式両辺をラプラス変換すると,



とおくと,



より,


とおくと,



いま,


とおけば,この原像は,

[2]

  1. ^ 式 (5.7a) も参照せよ.
  2. ^ に関係ない定ベクトルとすれば
    すなわち であるから,