商法第530条
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(商業証券に係る債権債務に関する特則)
- 第530条
- 手形その他の商業証券から生じた債権及び債務を交互計算に組み入れた場合において、その商業証券の債務者が弁済をしないときは、当事者は、その債務に関する項目を交互計算から除外することができる。
解説
[編集]次のような場合を考える。
AはBと交互計算契約を結んでいた。その期間内に、AはS振り出しの100万円の約束手形を譲り受けた。AはBに当該手形を5万円割引いてもらい、Bに対する95万円の代金債権を得た。割引人Bは振出人Sに手形金100万円を請求したが、Sが破産してしまっていたので、当該約束手形を呈示してAに手形金100万円を請求した。しかし約束手形などの商業証券は証券が無ければ金銭債権を行使することができないので、100万円の債権が交互計算に組み入れられない。Aも破産してしまい、債権者平等の原則によって10万円しか破産手続きから回収できなかった。
このとき530条が無ければ交互計算契約によってAは交互計算に組み入れることで確実に95万円を回収することができるが、Bが回収できたのは結局10万円だけとなる。これではバランスを失するので、530条が存在する。これによってAのBに対する95万円の代金債権は交互計算に組み入れられず、Aが破産するとBはその債権と100万円の手形金支払債務を相殺することになる。これでバランスは保たれる。
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