商法第551条
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法学>民事法>商法>コンメンタール商法>第2編 商行為 (コンメンタール商法)
条文
[編集]- 第551条
- この章において「問屋」とは、自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入れをすることを業とする者をいう。
改正経緯
[編集]2018年改正にて現代語化
解説
[編集]代理商の一種である問屋(といや)を定義する。
日常用語の「問屋(とんや)」とは、まったく異なっていることに注意する。日常用語において、問屋(とんや)とは、「卸問屋」即ち卸売りを専業とする商店をいい、「自己の名をもって他人のために」ではなく「自己の名をもって自己のために」物品の売買を行っている。すなわち、購入した商品は、転売を目的とするものであっても、買い入れた時点において、所有権等が自己に帰属している(会計的には、自己の資産として認識される)。一方で、本条に定める「問屋(といや)」は「自己の名をもって」売買を行う、即ち契約行為・金銭債権授受の主体は「といや」にあるが、その売買の対象である商品は顧客に帰属する。破産時において、「とんや」の在庫は一般債権者共通の破産財団を構成し、債権者は破産債権としてのみ行使が認められるが、「といや」の在庫は預かり資産であり、破産財団から取戻権を行使し分離することができる。
「問屋(といや)」営業の典型は、証券会社における売買仲介(ブローカレッジ)業務である。ドイツ商法典の規定からわかるように、「物品」とは商品又は有価証券をいう。
立法経緯
[編集]ドイツ商法典第383条⑴に由来する。
- ドイツ商法典第383条(問屋,問屋契約)
- ⑴ 問屋とは自己の名において他人(委託者)の計算で商品又は有価証券を買入れ又は売却することを業として引き受ける者をいう。
- ⑵
- ①本章の規定は,問屋の企業がその性質又は範囲に照らして商人的な方法で調整された経営組織を必要とせず,企業の商号が第2条に基づいて商業登記簿に登記されないときにも適用される。
- ②この場合,問屋営業に関しては,第4編第1章の規定も,第348条(注:違約金の規定)ないし第350条(注:保証等の規定)を除き適用される。
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