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学習方法/高校英語/長文読解

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

長文読解

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まずは単語力

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長文を読むために、単語力が必要です。

日本の大学受験で、中堅私大マーチ以上や国公立などを目指す場合、

英単語の練習は、下記を終わらせないといけません[1]。塾などの高1生や、中高一貫校の生徒などは、このようなハイペースで動いています。

期限: 高校2年のうちに、
目標: 一通り、4500語レベル + 上級英単語(鉄緑や速読英単語・上級など)を学習する

上記スケジュールの理由は、高校3年からは、長文読解など別分野の練習も始めないといけないからです。入試英語は、基本的には長文読解の問題がほとんどだから、です。

このため、遅くとも高校3年の夏からは、長文読解を本格的に始めないといけないので、単語集を勉強する時間がほぼ無くなります。


詳しくは、単語の学習のサブページで説明していますので、そちらを参考にしてください。 学習方法/高校英語/単語


一例として、最低でも高校の2年の終わりまでに下記のようなルートを通ります。このルートに4冊もあるのに注意してください。これを、2年の終わりまでに、一通り習得させるのです。

「旺文社ターゲット1200 + 桐原データベース3000」 → 「桐原データベース4500」 → 鉄緑


これ以外にも熟語集とかもありますが、省略します。

かつて2001年ごろ、地方では情報不足で、都心の進学塾の単語学習が、上記のようなハイペースだという事が地方の塾には知られずに、地方塾では、生徒がまだ4500語レベルの単語集が終わってない状態で2年生の後半から長文読解をさせるという講義をするという失敗がありました。

過去のその失敗を、現代の私たちは決して繰り返してはいけません。

熟語集を忘れないように

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単語集が終わったら、長文読解だけでなく、熟語集を読むのも忘れないようにしましょう。

長文読解にはキリがありませんが、熟語集にはキリがあるので、読解練習よりも先に熟語集を何周か通読しておくと良いかもしれません。

英文を読んでて熟語に当たった時、いちいち辞書を読み込む時間も節約できます。


読解のスピードアップの目的でなら、熟語集をぜんぶ覚える必要はありません。

使用頻度の高い熟語は、単語集や文法書でも出てくるからです。

熟語集にしかない熟語は、使用頻度がやや劣る熟語なので、ザックリと通読して目を通しておく程度でも大丈夫です。


それ以上の熟語の暗記は、実際に長文読解のなかで遭遇してから、熟語を確実に身に着けていくと良いでしょう。

けっして事前の単語集・熟語集のマスターを目指さない

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上述の、3000語および4500語+鉄緑レベルを何周か通読して、ある程度は覚えたら、そして熟語集を何周かしたら、たとえ全部の単語・熟語は覚えなくて良いので、とりあえず、さっさと長文読解の勉強を始めてください。

なぜなら、読解の教材の側でも、単語および熟語を説明しています。すくなくとも、Z会の速読英単語はそうなっています。

単語集・熟語集の通読の段階では、まだ長文の読解量が、不足している状態ですので、まずは、高校中級くらいのレベルで良いので、簡単な長文でも良いので読み始めましょう。


高校上級の長文は、時間が無い場合は、入試の ぶっつけ本番に回すという手もある。もし単語集4500語と熟語集がほとんど出来ていて、中級の長文読解が出来るなら、あとはその組み合わせで、本番でも何とかなる・・・かもしれない。

大学入試の英語は論説文

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大学入試の英語のリーディング問題は、ほとんどの場合、論説文です。つまり、物語や小説は、基本的には大学受験の英語では、出ません。

仮に物語が出たとしても、簡易的な、オリジナルの物語でしょう。文学性の理解などは問われない長文だと思います。

少なくとも、新共通テストや、国公立大の文学部国文科以外での入試の英語は、そうでしょう。

ただし、私大の英文科などは、例外かもしれません。英文科志望などで気になる人は、志望大学の過去問などを確認してください。

長文は引用が多い

また、大学入試の長文の大半は、例外として新共通テストおよび難関大でないかぎり、多くの大学で、(書き下ろし ではなく、)既存の英語の書籍や論文を引用して改変した問題です[2]

ただし、原典そのままだと高校英語を超えた単語が続出するので、いくつか単語を改変して、単語を高校レベル(ただし、4500語レベルの単語集にあるレベルに毛の生えた程度)にまで落とします[3]

高校入試のように注釈を加えるのではなく、そもそも文章そのものを原典から改変する事を大学入試では行っています。


例外として、対話文や、簡単な文法問題などのため文章では、原典の無いような書き下ろし問題もありますが、しかしその程度です。

大学入試センターや、東大・京大などの旧帝大や、あるいは大規模な英文科をもつ大学でない限り、既存の書籍や論文にある長文を改変した英語の問題のほうが多いのです。

このため、よく入試に出てくるトピック(環境問題など)の英語を押さえておくと、それだけで得点アップをある程度は出来ます。

英文の読解スピードはもうアップしない

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世の中には、速読・速聴を歌う教材もありますが、あいにく、どんなに単語力を磨いても英文を読んでも、例外としてネイティブみたいに英語漬けの生活でも送らないかぎりは、一定以上は速度はアップしません。つまり、けっして日本語を読むのと同じスピードでは、高校生では英語の長文を読めるようになりません。

たとえ大学レベルとされる英検準1級レベルの単語をいくつも知っていても、例えば英検準2級(高校1~2年程度とされる)の長文のたった10行を読むのにも3分とか5分とか掛かってしまいます。それですら、3分で確実に読めて意味を正確につかめるなら早いほうです。

なぜ高校英語ではこうなるかというと、高校英語は、もはや中学卒業までの分かりやすい表現ではなく、実際の英語の文章に近づけた言い回しに変わってくるので、読むのに時間がどうしても掛かってきます。

また内容も、社会的な内容が増えてきます。(例外として、日常会話の文章でもないかぎりは。)

たとえ知ってる単語ばかりを使っている文章でも、英語の一つの単語には複数の意味があるので、どの意味かを考えながら文を行きつ戻りつ前後に読むので、読むのに時間はそこそこ掛かってしまいます。

ときとして推測した意味が外れて別の意味で使われている場合もあるので、読むのにかなりの時間が掛かることもあります。

よって、あまりスピードアップを目指すのではなく、時間さえ掛ければ読める長文の種類を増やしていくのがコツでしょう。

なお、説明の都合として英検の長文を使いましたが、実際の大学入試の出題傾向は、英検とは微妙に異なります。たとえば旅行英語みたいなのは、英検ではよく出ますが、大学入試では(志望学科にもよりますが)出題の頻度は低めです。少なくとも、理工系の学部学科では、旅行英語みたいなのは入試にめったに出ません。


正直、浪人生でもないかぎり、高校生むけの平均的な英語長文の教材すら、ろくに終わらないと思います。

Z会の速読英単語の標準レベルのヤツ(「速読英単語 必修編」)は、あれは習得しなくてもマーチ理系とか四工大とかに2001年くらいなら合格しました。(ただし、今はどうか知りません。)

2001年ごろの当時の高校生たちは、桐原の単語集だけだと短文しかないので読解練習ができないから、Z会のアレを補助的に買ってたのであって。べつに2001年当時の高校生たちは、Z会のアレだけで単語の勉強をしてたわけではありません。

だいたい、高校英語の検定教科書などの学校配布のリーディング教材ですら、全部を読み終えずに高校卒業する人が昔から多いのが実情です。

結局、長文を読む勉強には、あまり深入りせずにいるのが良いでしょう。長文は、単語や文法などの理解の確認のための手段にとどめ、つまり、まるで「問題練習」の代わりとしての手段にとどめるのが良いと思います。普段の英語学習は、長文読解ではなく、単語の練習に重点を置くほうが良いでしょう。

1960年代みたいな単語の少なかったと思われる昭和のなかばごろの時代なら、長文読解を中心に勉強時間を掛けるのもアリだったかもしれませんが、しかし21世紀は高校範囲の単語が大幅に増えたので、もう長文読解を中心に単語を学ぶのは無理でしょう。

教材えらび

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読解練習をしたい場合は、まずは学校でのリーディングの教科書などをきちんと読むのは当然ですが、そのほかにも参考書があると便利かもしれません。

書店の参考書コーナーに、高校生用の英文読解の参考書などが置いてあるはずですから、それら高校生用の参考書で勉強してください。

大学入試の英文では、平均以上の難度の大学になると、単語の知識がないと、まったく内容が把握できないでしょう。なので、読解練習だけでなく単語の勉強もしてください。とりあえず単語集などで4500語レベルまでの範囲の単語は最低限、ひととおり学習してください。


長文読解の参考書選びのコツとして、自分にレベルのあっている参考書を選ぶ必要があります。知らない単語が多すぎる場合、あっていません[4]。もし長文教材で知っている単語が3割未満の場合、もっと平易な長文教材を使うか、あるいはまず先に単語集を学ぶべきです。(ただし、学校の検定教科書や、学校配布のリーディング教材については別です。上記の話は、自分で買った参考書などの話をしています。)

英語の場合、自分のレベルに合ってない参考書を使っても、学力が伸びづらいのです。数学などと違って英語は思考力がそれほど伸びない科目なので、レベルのあってない英語参考書だと、時間の無駄になりやすいのです[5]


長文は、せいぜい過去問や予想問題などで志望校や新共通テストなどの傾向をつかむ程度にとどめておいて、普段の英語学習では単語帳での単語習得を優先したほうが良いでしょう。

単語集は背伸びして少し難しめのものを買ってもいいですが、一方で長文読解の本は逆に少しやさしめのものを買う[6]のがコツです。

  • 試験での読解問題の時間配分について

出題英文を読むのに時間が掛かりますから、試験中の時間の配分にも気をつけてください。まずは単語力を増やすと読解スピードも上がるので(ただし前の節で説明したように、スピードには上限があります)、普段の勉強では単語力を増やしてください。

試験中の配分の対策として、実際の入試では、たとえば、長文読解問題よりも先に、短時間で解けそうな単語問題・文法問題などを先に解くとかして、時間配分の対策をしてください。あるいは、設問の問題文を先に読んでおいて、見当をつけてから長文を読むなどという方法もあります。ここらへんの対策は、じっさいに過去問や想定問題などを解いて練習してください。基本的に、入試国語での現代文などでの読解問題対策などの際の時間配分と似ていると思います。

ただし、時間配分のテクニックばかりを磨いてもダメであり、単語力などを増やさないと、読解スピードも上がりません。

  • 学部と出題内容の関係

入試では、ときどき、志望先の学部の内容に関する記述が出る場合もあります。また、高校で習う教科に関する記述が出る場合もあります。もっとも、べつに必ずしも志望先学部と近い内容の英文が出題されるとは限らず、あまり関係のない内容の英文も出題される場合もあります。

どちらにせよ、合格後の人生も考えて、学生は、志望先学部に近い内容の高校教科の勉強もしておいたほうが安全でしょう。たとえば経済学部に進学志望なら高校政治経済などの参考書を読んでおくとか、あるいは理工学部に志望なら理科・数学の参考書を読んでおいたほうが安全でしょう。

参考文献

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  1. ^ 『英単語最前線2500 新刊レビュー!【英語参考書ラジオ】』 2023/06/03 ,17:00 あたりから
  2. ^ 『受験に、リベンジはいらない』
  3. ^ 『受験に、リベンジはいらない』
  4. ^ CASTDICE TV『配られてもやらなくていい「ハズレ」学校参考書 代わりに何をやるべき?』2024/04/15 2024年04月15日に確認.
  5. ^ CASTDICE TV『配られてもやらなくていい「ハズレ」学校参考書 代わりに何をやるべき?』2024/04/15 2024年04月15日に確認.
  6. ^ (動画)ずんだで学ぶ英語学習 『【超有益】99%が知らない英語速読の本質的なやり方を完全解説【ずんだもん・四国めたん解説】』 2024/03/17