慶應義塾大対策/経済学部

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慶應義塾大学の看板学部。「理財(経済学の旧称)の三田」ともいわれており、他の文系学部に比べると必修科目が多く、忙しいと言われている。

一学年の定員は1,200名程度であり、そのうち630名程度が一般受験組、残が附属高校推薦入学者、帰国生・留学生入試枠合格者である。

受験方式は数学受験のA方式(定員420名程度)と、地歴受験のB方式(定員210名程度)が存在する。

1990年代に入るまでは数学でしか受けられず、数学または地歴で受けられるようになった今でも数学受験のA方式は募集枠が大きい。入学後も数学(線形代数学、微積分学、マクロ・ミクロ経済学、統計学が必修)を使うので数学を得意にしておく事を勧める。他の大学よりも非常に数学色が濃く、留年率も他の文系学部と比べ相対的に高いため、数学が苦手であると入学後苦労する可能性がある

A方式(英語・数学・小論文受験)
A方式では、英語(200点)・数学(150点)・小論文(70点)の3科目(計420点満点)が課される。A方式のほうがB方式より募集人数が多いため、数学が得意な者(文転者など)ならA方式の方がずっと受かりやすいが、英語・数学の比重が大きく、徹底した学習が要求される。東大などの国立大学が第一志望ならA方式を勧める。数学の難易度は標準~やや難である。
ちなみに医学部医学科などの理系受験生も併願して受ける事も多い(理工学部や医学部と併願して受ける者も多数存在する)。
商学部A方式(英語・数学・地歴受験)との併願は多いが、学部相性は悪いので、本命をどちらか一方に絞って対策する必要がある。近年ではSFCも英語・数学・小論文という科目で受験できるようになった為、併願が可能となった(ただし出題傾向は異なる)。
B方式(英語・地歴・小論文受験)
B方式では、英語(200点)・地歴(150点)・小論文(70点)の3科目(計420点満点)が課される。地歴は世界史・日本史から1科目選択である(地理の選択は認められていない)。慶應経済受験生のレベルにもなると、地歴・小論文のレベルはかなり高く、これらの科目では差がつきにくいので、実質的に英語で合否が決まると言える。ただ、地歴は最後に論述問題があるため、私大専願者にとっては厄介だと言える。山川出版社の「世界史論述問題集」などを使って十分に対策を取っておかないと周りに差をつけられてしまうだろう。また、年号問題が多数出る年もあるため、年号もしっかりと覚えておく必要がある。

例年、実質倍率はA方式が4倍前後、B方式が6倍前後である。

英語[編集]

試験時間は100分、配点は200点。慶應経済の英語では、超長文読解問題2題と本格的な英作文問題2題(和文英訳、自由英作文の2題)が出題される場合が多く、私大専願者には厳しい内容になっている。
※以前は文法・語法問題や討論文読解問題が出題されていたが、それらに関しては後述する。

超長文は2題で合計2500words程度と非常に長く、内容も深いため、受験生は非常に高い語彙力が求められる。受験生は日々語彙力の向上に努めなければならないが、その際意識してほしいことは、「単語を英語→日本語ではなく、日本語→英語で覚える」ということである。というのも、後述するが慶應経済で出題される自由英作文のテーマは専門性の高いものであり、難しい英単語を使うことになるので、日本語から英単語が出てくるようにしないと自由英作文に対応できないからである。

慶應経済の英語を最も特徴づけるのが自由英作文で、100~200語程度の指定条件の細かくついた本格的なものである。英作文の学習は「英借文」からはじまると言うように、まずは自由英作文対策用の参考書に記載されている例文の暗記からはじめよう。知識が定着してきたら、標準レベルの自由英作文の問題に当たり、暗記した例文どうしを組み合わせて文章を作る練習をしていこう。自由英作文は経験値が物を言うので、早い段階から対策していこう。

なお、前半部分で高得点を取らないと、後半部分は採点されず即不合格となる(足切り)。

  • 長文読解問題

基本的に2題であるが、年によっては3題の場合もある。しかし、合計語数が2500words程度であることは変わりない。論説文のテーマは環境・経済系が多く、設問及び選択肢もすべて英語である。長文は1000wordsを超える専門性の高い難しい文章が出題されるが、設問はそこまで難しくない。慶應経済は英作文が本格的で非常に時間がかかるため、長文読解問題は素早く処理できるようにしておかないといけない。自由英作文問題は、この長文読解問題で出題された文章の内容に基づいたテーマの見解論述をする形で出題されるため、内容を漠然と理解しただけでは、自由英作文の内容にも響いてしまう。

  • 和文英訳問題

日本語の自然な会話文を英訳する問題である。そのままの会話文を英訳することはまず不可能なので、文脈に応じて適切な日本語表現に読み替えていく力が求められる。会話の内容も一般的な会話文英訳問題で出題されるような浅い内容ではなく、それをいかに自分の語彙力の範囲に落とし込んでいくかが試されるため、難易度は非常に高く、受験生の間で差が出やすい。

  • 自由英作文問題

以前は多くの資料を読んで、自分の見解を100~200wordsで論述する問題であった。しかし近年は、2つのテーマから1つを選んで、見解を論述する形式で出題されている。2つのテーマは先に解く2題の超長文の内容に関しての自身の見解を述べるもので、専門性が高く難易度は非常に高い。以前の資料を読んで、見解論述をする問題では制限字数が指定されていたが、近年の設問形式では制限字数は指定されていない。しかし、解答欄や内容の深さからして、200words程度の記述が求められている。200wordsの専門性の高い見解論述をする問題は自由英作文としては大学入試最高峰と言える。

  • 文法・語法問題

以前は大問Ⅰとして出題されていたが、近年は出題されていない。問題形式も変動的であったが、難易度は高い問題が多かった。いきなり復活する可能性もあるため、受験生は基礎~応用問題までカバーした問題集を1冊完璧にしておいたほうが良いだろう。

  • 討論文読解問題

数人の参加者の討論のやり取りを読んで、参加者の発言を予想したり、それぞれの参加者の立場を答える問題。長い討論のやり取りの流れを追うのが非常に大変な問題であったが、近年は出題されていない。

数学[編集]

試験時間は80分、配点は150点。数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学B・数列・ベクトルが出題範囲で、領域・確率・微積分・数列・ベクトルは頻出である。制限時間の割に問題量が非常に多いため、スピードが鍵となる。大問は例年6題出題され、前半3題は標準問題、後半3題は思考力を求めるやや難度の高い問題となっている。そして、前半大問1~3のところで約75%以上確保しないと、後半大問4~6は採点されない仕組みであるため、数学が得意だからといって、前半の標準問題部分でケアレスミスをしないように。受験生のレベルから考えて前半の標準問題では差がつかないため、後半部分でどれだけ得点するかの勝負になる。したがって、標準的な問題に対処するために「チャート式基礎からの数学(数研出版)」(青チャート)などの網羅系参考書を暗記するくらいやり込み、大学受験数学の標準問題を確実に取れるようにし、過去問研究にしっかり取り組むことが必要条件である。これらをやっていれば、多少難度が高い問題にも食らいつく力が養成されているだろう。慶應経済の数学では時間配分を間違えると数学が得意な者でも失敗することが多い。したがって、赤本に載っているここ6年分の過去問をしっかり復習も含めてやって本番のイメージを作っておくべきである。本番に時間をロスしないように受験生が忘れやすい「メネラウスの定理&チェバの定理」や「方ベキの定理」などの幾何定理にも慣れておくこと。また、数列の漸化式から一般項を求める分野では、3項間の場合であるan+2=αan+1+βanまでをしっかりと理解しておきたい。そして、ベクトルの係数設定のために座標を設定する応用的な手法も頭に入れておきたい。

因みに難易度の高い問題の一例として、複数の場合分けが必要な確率漸化式、座標を設定して容積を求める問題、曲線の移動、高次の複接線などが過去に出題されている。

世界史[編集]

試験時間は80分、配点は150点。範囲は1500年以降を中心とする。(だからといって、その範囲だけを対策すればいいわけではないことは言うまでもない。現に、それ以前の歴史の知識を遠回しに聞いている問題、その知識がないと理解できない問題も出題されている。)例年の大問数は4題で、それぞれの大問に1~3題出題される100字程度の論述問題の難度はかなり高い。よって、私大受験生であっても論述問題対策は十分にする必要があるのは言うまでもない。図版、地図や史料を用いた問題が多く、第二次世界大戦後からの出題が多い。現代のニュースに絡めた内容も出題される。特に、現代アメリカの経済史は本学部の頻出分野である。このことを理解した上で、教科書・用語集の知識をマスターし、過去問分析に取り組むのが鍵となる。

日本史[編集]

試験時間は80分、配点は150点。範囲は1600年以降を中心とする。(だからといって、その範囲だけを対策すればいいわけではないことは言うまでもない。現に、それ以前の歴史の知識を遠回しに聞いている問題、その知識がないと理解できない問題も出題されている。)論述問題の難易度は世界史同様かなり高い。よって、私大受験生であっても論述問題への十分な準備が必要である。また、地図、統計史料を用いた問題が例年見受けられるため、これらに対応できるように分析力や思考力を養成することも必要である。教科書・用語集レベルの知識をマスターしたことを前提に過去問分析に取り組むのが鍵となる。

慶應経済の日本史は、前述のように近現代史の比重が大きいので、受験生はかなりやりこんでおかなくてはいけない。しかし現役生の場合、近現代史は、学校の授業でも最後に学ぶ所がほとんどなので、授業で習う内容だけでは不十分になってしまう場合が多い。であるから、早めに自分で対策していくことが必要となる。また、現在の経済や政治とも関わる内容が出題されるので、日本や世界の動きなど、最新のニュースは常にチェックしておく必要がある。

小論文[編集]

試験時間は60分、配点は70点。課題文の分量が年々増加傾向。公共性の高いテーマが選ばれることが多く、課題文の内容説明が求められる。難易度は慶應の学部の中では標準レベルだが、しっかりとした対策をしなければ、手も足も出ないだろう。具体的には、まず小論文の書き方の基礎をじっくりと時間をかけてしっかりとつくる。そしたら、どんどん当学部の過去問を実際に解いていく。はじめは全くできないだろう。問題によっては、何をすべきなのかも分からないこともある。それでも、小論文の書き方にそって考えに考えて書き上げる。解答例と見比べるとクオリティーは程遠いだろうが、それを実際に小論文の講師などに厳しく添削してもらう。そうすれば、どんどん解答の質は上がっていく。慶應経済の小論文は法学部や文学部ほど厄介なものではないので、この地道な作業をしていけば周りに差をつけられることは無いだろう。 慶應経済の小論文で最も困難な点は、60 分という制限時間内に課題文を読んで、煩雑な問題の答案を完成させることだとも言える。600 字前後をこの時間で書くというのは、高校生にとっては、事実上、下書きなしで簡単なメモを取る程度で、解答用紙にいきなり書かねばならないということだ。ゆえに、簡潔に分かりやすい文章を短時間でまとめる力が求められる。

経済学部の課題文のテーマは生命科学的もしくは自然科学的な内容の時もある。例えば、2012年の霜柱に関する科学的研究についての課題文を読むには化学の基礎的な知識(状態変化など)が不可欠であった。このように、経済学部の小論文対策としては、高校1年の時から、文系理系科目すべてを幅広く学習しておく必要がある。2012年の問題は経済学部があらゆる学問と通じているという大学側のメッセージとも解釈できる。

入学後の履修分け[編集]

経済学部は入試方式によって入学後の履修タイプが分かれる。A方式(数学受験)で入学した者・附属高校推薦入学者(内部進学者)・留学生の一部は高校数学1A・2Bの知識を前提とした講義でカリキュラムが組まれた「タイプ1」とし、B方式(地歴受験)で入学した者・留学生の一部、内部進学者のごく一部はそれらを前提としてない「タイプ2」となる。「タイプ1」から「タイプ2」への変更は認められないが、「タイプ2」から「タイプ1」への変更は可能。「タイプ2」の学生で、高度な数学を多く使う分野(理論経済学・金融論・ゲーム理論・金融工学・計量ファイナンス・応用ミクロ経済学・現代マクロ経済学・数理経済学など)を学びたい場合は「タイプ1」に変更したほうがよい。履修タイプの変更は第1学年の4月初旬に受けられる標準レベルのテスト(範囲は数学1A・2BでA方式の入試の数学より簡単)である一定の基準を超えれば認められる。年度途中や第2学年以上でこのテストは受けられないので、B方式合格者で数学色のより一層深い分野を専攻したい者にはお勧めである。逆に、開発経済学・労働経済学・財政社会学・環境経済学・経済地理学・経済学史・経済思想史・国際経済学(国際貿易論、国際金融論)など数学色がそこまで強くない分野に興味がある者は「タイプ2」のままでもいい。

ただ、一つ重要なことは、当該学部は入学後非常に数学を使うので、実質「タイプ1」の生徒は入学段階で高校数学1A・2B・3Cすべての知識があったほうが入学後の苦労が減るだろう。また、「タイプ2」の生徒も結局大学1年次に高校数学3Cまでと大学の数学(微積分学・線形代数学)の基礎的な内容をすべてしっかりおさえるようになっているので、数学が得意でない者は相当な覚悟が必要である(これは第2年次に必修のミクロ経済学・統計学のためである)。内部進学者は基本的に3Cも高校時に勉強している。