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慶應義塾大対策/薬学部

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

一学年の定員は薬学科(6年制)で150名、薬科学科(4年制)で60名であり、一般受験組は薬学科で100名程度、薬科学科で50名程度で、残りが附属高校推薦入学者等である。

慶應薬学部では、英語(100点)・数学(100点)・化学(150点)の3科目(計350点満点)が課される。化学の配点が高いため、化学が得意でない受験生にとっては厳しい内容である。因みに合格最低点は例年60~70%である。数学はハイレベル理系受験生にとっては標準的な内容であるが、英語・化学の難易度は非常に高い。

薬学部生のキャンパスは芝共立キャンパスであるが、入学試験は三田キャンパスもしくは日吉キャンパスで受験することになる。

実質倍率は薬学科で5倍程度、薬科学科で4倍程度である。


試験時間は80分、配点は100点。長文読解問題が3題出題される。長文の内容は、医学、心理学、動物行動学など、自然科学系のテーマを扱った専門的で硬質な難易度の高いものばかりである。しかも設問も非常に高度な語彙力や読解力を求めるものばかりであるため、高い英語力を持つ受験生でも手がかかる問題ばかりである。そういう意味では、同じく高度な学術英文と難しい設問を課す慶應法学部の英語と受験生に求める能力は似ている(もちろん英文の内容は全く違う)。受験生の間では、「化学」以上に差が生まれると言える。 問題形式は選択問題が多いが、和訳や内容説明などの記述式の問題も出題されている。和訳は1,2問出題されるが、構文が複雑で内容がつかみづらい英文を和訳させるものが多く、対策のできていない多くの受験生はここで取りこぼすと思われる。過去問研究するときは、どんな難しい文でもすべて和訳して練習するのが効果的である。

試験時間は80分、配点は100点。数学ⅢCまでの出題である。かなり繁雑な計算、工夫を要する計算が含まれる。80分の試験時間で合格に必要な高得点を取るにはかなりの計算力と数学的センスを要求される。「チャート式基礎からの数学(数研出版)」(青チャート)のような網羅系参考書を用いて標準的な問題を数多く解いて計算力をつけ、さらにやや難しい問題にも挑戦し、十分な数学的思考力を培った上で、過去問をしっかりやるべきである。

問題の難易度は高いが、それ以上に受験生のレベルが高いので、7割を目指してほしい。

試験時間は100分、配点は150点。大問が4,5題出題される。選択問題と記述問題の両方が出題される。量としては記述問題の方が多い。化学Ⅱの理論分野からの出題が多く、無機分野からの出題が少ない。ペプチド配列や溶解度積など難しい分野から問題が出題されることも多い。化学Ⅱも含めた全分野の基礎力を十二分に確立した上で、数多くの演習問題にあたり、計算力を培うように努める必要がある。例年目新しい題材を扱う問題が出題されるため、問題をしっかり読み取る力を養成すること。

毎年大問1,2題難易度の高い問題が出題されている。例えば、2012年に出題された大問2の触媒と反応速度、酵素が触媒として働く反応の問題はかなりの難問で、酵素反応の反応速度式を誘導なしに求めさせたり、過酸化水素の触媒下での分解が一次反応であることを前提としているなどかなり解答が困難なものであった。慶應薬学部を受験する受験生のレベルはかなり高いため、そのような問題にどれだけ食いついていけるかが合否を分けることになる。

対策としては、まずは受験基礎~標準レベルの網羅系問題集を1冊徹底的に仕上げること。次に、推薦図書として「化学I・II標準問題精講(旺文社)」を紹介しておきたい。この参考書は難易度の高い良問揃っている。当学部は化学の配点が高く(150/350)、できる受験生にとっては周囲に差をつけやすい科目であるため、この問題集の問題が8割程度スラスラ解けるようになった後に、過去問対策をすれば実のある過去問研究ができるだろう。また、当学部の過去問対策をしっかりやるのはもちろんのこととして、医学部や理工学部の化学の過去問にも取り組むことが望ましい。