日本語/品詞/自立語/用言/動詞
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動詞
[編集]- 物事の作用や動作、存在を表す。単独で述語になることができる。
- 活用の仕方に、口語においては五段活用、上一段活用、下一段活用、サ行変格活用、カ行変格活用がある。
- 日本語の動詞は、終止形で必ず言い切りの形が「う段」の音になる。これは、たとえばドイツ語において、多くの動詞の原形の語尾が「-en」となることと同じであるが、日本語では例外がない。
| 動詞/ 活用形 |
来る | 勉強する | 覚める | 起きる | 走る |
|---|---|---|---|---|---|
| 語幹 | × | べんきょう | さ | お | はし |
| 未然形 | こ | し・せ・さ・そ | め | き | ら・ろ |
| 連用形 | き | し | め | き | り(っ) |
| 終止形 | くる | する | める | きる | る |
| 連体形 | くる | する | める | きる | る |
| 仮定形 | くれ | すれ | めれ | きれ | れ |
| 命令形 | こい | しろ せよ | めろ | きろ きよ | れ |
五段活用
[編集]活用が、あ・い・う・え・おの五段で行われる活用形。文語ではあ・い・う・えの四段で活用した。
- 例
-
- 歩く
- このとき歩くはか・き・く・け・こ、とカ行の中で活用しているので歩くはカ行五段活用であるという(連用形は音便)。
| 母音/ 活用形 |
a | i | u | e | o |
|---|---|---|---|---|---|
| 未然形 | か | × | × | × | こ |
| 連用形 | × | き | × | × | × |
| 終止形 | × | × | く | × | × |
| 連体形 | × | × | く | × | × |
| 仮定形 | × | × | × | け | × |
| 命令形 | × | × | × | け | × |
上一段活用
[編集]活用語尾がすべてイ段のもの。ウ段を中心と考えると、すべてウ段のひとつ上で活用している。
- 見る
- 未然形、連用形のときの活用がみになるのでこのとき語幹はなしになる。みはマ行だからマ行上一段活用という。
文語で上一段動詞はつぎのとおりである。着る、似る、煮る、干(ひ)る、乾(ひ)る、簸(ひ)る、嚏(ひ)る、見る、うしろみる、おもんみる、かへりみる、かんがみる、こころみる、回(み)る、射(い)る、鋳(い)る、癒(い)る、沃(い)る、居(ゐ)る、率(ゐ)る、率(ひき)ゐる、用(もち)ゐる。
| 母音/ 活用形 |
a | i | u | e | o |
|---|---|---|---|---|---|
| 未然形 | × | み | × | × | × |
| 連用形 | × | み | × | × | × |
| 終止形 | × | みる | × | × | × |
| 連体形 | × | みる | × | × | × |
| 仮定形 | × | みれ | × | × | × |
| 命令形 | × | みろ | × | × | × |
下一段活用
[編集]活用語尾がすべてエ段で活用する活用の仕方。文語では 蹴(け)る の1語のみであった(←蹴(く)ゑる)。
- 例
-
- こける
- 斜体は語幹
| 母音/ 活用形 |
a | i | u | e | o |
|---|---|---|---|---|---|
| 未然形 | × | × | × | こけ | × |
| 連用形 | × | × | × | こけ | × |
| 終止形 | × | × | × | こける | × |
| 連体形 | × | × | × | こける | × |
| 仮定形 | × | × | × | こけれ | × |
| 命令形 | × | × | × | こけろ | × |
サ行変格活用
[編集]- 口語では為(す)る、文語では為(す)、おはす のみである。
カ行変格活用
[編集]- 来る、文語では来(く)の1語のみである。
上二段活用(文語のみ)
[編集]- ヤ行上二段活用の動詞は、老(お)ゆ、悔(く)ゆ、報(むく)ゆ の3語のみである。
下二段活用(文語のみ)
[編集]- ア行下二段活用の動詞は、得(う) の1語のみである。
- ワ行下二段活用の動詞は、植(う)う、飢(う)う、据(す)う の3語のみである。
ナ行変格活用(文語のみ)
[編集]- 死ぬ、いぬ(往、去)のみである。
- 「死ぬ」は息を表す「し」に「往ぬ」が付いたものとされる。
- 「(動詞の連用形) + 往ぬ」から、動詞の連用形に接続する完了の助動詞「ぬ」が生まれた。
ラ行変格活用(文語のみ)
[編集]- あり、をり、はべり、いますがり、いまそがり のみである。
- 終止形がイ段で終わることから、橋本進吉の説では形容詞に準ずるものとされる。

