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有機化学/アルキン

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

有機化学>アルキン

アルキンの定義と命名法

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アルキンの定義

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炭素間に三重結合を1つだけ含む脂肪族炭化水素をアルキン (alkyne) という。 アルキンは一般式CnH2n-2で表される。 定義より、炭素原子が1つのアルキンは存在しない。

命名法

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アルカンの語尾aneをyneに変える。 エチン (ethyn)、プロピン (propyne)、ブチン (buthyne)、ペンチン (pentyne)・・・

但し、エチン、プロピンは正式な名称(国際名)より、慣用名アセチレン、メチルアセチレンの方が良く使われる。

構造異性体の命名についてはアルケンと同じである。

アルキンの性質

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置換反応

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C≡Cに直接結合したH原子は弱いイオン性を示すので、アンモニア性硝酸銀水溶液([Ag(NH3)2を含んだ溶液)にアセチレンを通じると銀アセチリド(白色沈殿)を生じる。アセチリドは不安定で、特に乾燥したものは爆発性がある。末端三重結合の検出に用いられる。

H-C≡C-H + 2Ag → Ag-C≡C-Ag + 2H

H-C≡C-CH2-CH3 + Ag → Ag-C≡C-CH2-CH3

付加反応

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三重結合のうち1本はσ結合、残りの2本はπ結合である。よって、アルキンは付加反応する。

  • H-C≡C-H + 2H2 → CH2=CH2 + H2 → CH3-CH3
  • H-C≡C-H + 2Cl2 → (CHCl=CHCl + Cl2) → CHCl2-CHCl2
    • 水素付加はアルキンからアルケン、アルケンからアルカンへと連続的に変化するが、ハロゲン付加はアルキンから一気にアルカンになる。
  • H-C≡C-H + 2Br2 → CHBr2-CHBr2
  • H-C≡C-H + H2O → (CH2=CHOH) → CH3-CHO
    • ビニルアルコールCH2=CHOHは不安定なので、ヒドロキシル基のH原子が二重結合の反対側に飛んで互変異性を起こし、アセトアルデヒドとなる。

付加重合

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アセチレン分子は少数で付加重合する。

  • 2 H-C≡C-H → CH2=CH-C≡CH
    • 片方の原子の三重結合が1本開き、もう片方の原子はCH間の結合が切れてそれぞれ結合する。

アセチレン三分子が重合するとベンゼンを生じる。

  • 3 H-C≡C-H → C6H6
    • ベンゼンC6H6は芳香族化合物の最小単位である。
   CH=CH
 /      \
CH      CH
 \\    //
   CH-CH
ベンゼンC6H6