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民事訴訟法第29条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民事訴訟法

条文

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(法人でない社団等の当事者能力)

第29条
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

解説

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法人ではない社団であっても、代表者又は管理人の定めがある場合、訴訟の当事者となることができる。
  • 法人ではない社団が、原告として勝訴した場合には、取得資産は団体の共有物(総有)となり、被告として敗訴した場合は、団体の総有物に対してのみ執行できる。
  • 訴訟の途中で代表者又は管理人がかけることになった場合の取り扱い。
    1. 訴訟手続きの中断
      代表者/管理人が欠けると、第124条により訴訟手続きは中断。
    2. 新代表者選任の手続き
      中断後は以下の方法で手続きを再開
      • 遅滞なく(概ね3ヶ月以内)、構成員による新代表者の選任。
        団体の規約に従い新代表者を選出→裁判所に訴訟手続継続届を提出
      • 構成員が新代表者を選任できない場合
        特別代理人の選任申立て(第37条による第35条第1項の準用)
        利害関係者(一般に原告:原告が選任しないで、中断後6ヶ月以内に手続き再開しないと訴え却下のリスクあり)が裁判所に申立て→裁判所が特別代理人を選任
    3. 特別代理人の役割(特に被告団体側)
      選任された特別代理人は、第35条第3項の準用により、
      • 訴訟追行権限を取得
      • 答弁書の提出や証拠調べへの対応
      • 和解を含む一切の訴訟行為を実行可能
      なお、特別代理人の報酬は裁判所が金額決定し原告が予納する。
      不動産登記が必要な場合、特別代理人名義で手続き可能(「代表者」表記なし)
    4. 手続き再開後の影響
      • 特別代理人が行った訴訟行為は団体を拘束

参照条文

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判例

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  1. 建物収去土地明渡請求(最高裁判決 昭和39年10月15日) 民法第33条
    1. 法人に非ざる社団の成立要件。
      法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する。
    2. 法人に非ざる社団の資産の帰属。
      法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属するものと解すべきである。
  2. 所有権移転登記請求(最高裁判決 昭和47年6月2日) 民法第33条
    1. 権利能力なき社団の資産たる不動産についての登記方法
      権利能力なき社団の資産たる不動産については、社団の代表者が、社団の構成員全員の受託者たる地位において、個人の名義で所有権の登記をすることができるにすぎず、社団を権利者とする登記をし、または、社団の代表者である旨の肩書を付した代表者個人名義の登記をすることは、許されないものと解すべきである。
    2. 権利能力なき社団の資産たる不動産につき登記簿上所有名義人となつていた代表者が交替した場合における新代表者の旧代表者に対する登記請求権
      権利能力なき社団の資産たる不動産につき、登記簿上所有名義人となつた代表者がその地位を失い、これに代わる新代表者が選任されたときは、新代表者は、旧代表者に対して、当該不動産につき自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求めることができる。
  3. 所有権移転登記手続等請求事件(最高裁判決 平成26年2月27日)
    権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産につき所有権の登記名義人に対し当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟と当該社団の原告適格
    権利能力のない社団は,構成員全員に総有的に帰属する不動産について,その所有権の登記名義人に対し,当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有する。

前条:
第28条
(原則)
民事訴訟法
第1編 総則

第3章 当事者

第1節 当事者能力及び訴訟能力
次条:
第30条
(選定当事者)
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