民法第39条
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条文
[編集]削除
(寄付行為)
解説
[編集]本条文は、財団法人の設立に関する規定である。平成18年6月2日法律50号(施行:平20年12月1日)により削除され、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第152条等に継承された。
明治民法創設当時は、財団法人には、本来の意味での「定款(仏:statut;独:Vereinssatzung oder Statut)」というものを持つことはできないと考えられていた。もともと、「定款」は、社団の構成員相互の契約・約束事(法人の憲法)であり、構成員が社団の意思決定に参加する基礎となるものである。定款は、構成員の合意と意思によって成立し、変更もまた構成員の議決によってなされる。一方、財団はそのような構成員が存在しておらず、財団自身の意思決定は概念できない。しかしながら、財団法人もまた一人または数人の資産の出捐の意思によって設立されるものである(この意思を持ったものを「設立者」とする)。設立者による資産の出捐に際しては、その意思(出捐資産の使途等)を明示する行為が不可欠である。出捐行為自体は「寄附行為(仏:acte de fondation;独:Stiftungsgeschäft)」と呼ばれ、この行為に伴って作成される、出捐資産の特定の目的や管理方法について定めた文書も寄附行為と呼ばれ、「寄附行為」が文書を意味するというのは言語慣習としては奇異であるが、使用例としては、行為よりも文書を指すことが多かった。
寄附行為の絶対的記載事項(記載がなければ文書が法的に無効となる事項)は定款に準じるものであったが、民法第37条第6号(社員の資格の得喪に関する規定)の事項は社団法人に特有のものであるため、財団法人には適用されなかった。
寄附行為は、原則として一度定めた後に設立者といえども変更することはできない(社団法人の定款は民法第38条により変更が可能であった)。ただし、寄附行為の中にその変更に関する規定がある場合は、その規定は有効とされた。
後継の一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第152条においては、「寄付行為」に替え、社団法人同様「定款」とされ、変更手続きも同法第200条に定められ財団を管理する評議員会の決議により変更可能となったが、同法第153条に定める絶対的記載事項のうち、第1号「目的」と第8号「評議員の選任及び解任の方法」については原則として変更ができない旨定められている。
参照条文
[編集]旧・民法第37条
- 社団法人を設立しようとする者は、定款を作成し、次に掲げる事項を記載しなければならない。
- 目的
- 名称
- 事務所の所在地
- 資産に関する規定
- 理事の任免に関する規定
- 社員の資格の得喪に関する規定
