気象学/大気の層

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

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大気圏は層の集まりであると考えることができます。 大気の中を上に向かって旅をしたとすると、対流圏成層圏中間圏熱圏があります。電離圏と呼ばれる領域もありますが、これは本当は層ではなく後に扱うこととします。層同士が接触する面は界面(例えば、対流圏界面成層圏界面)といいます。それぞれの層はその隣の層とは区別される特徴を持っていますが、単に高さによって決められるというものではありません。大気の層は空間のロードマップを提供するかのように積み重なっているのです。

対流圏は最下層にあり最も密度があります。地球の引力は地表付近にある最軽量の分子以外をすべてキープするので、対流圏は大気の質量の大部分を含みます。

宇宙の真空と大気圏を分ける境界面は明確に定義されてはいません。地球からより遠くへ移動すると、大気を組成する分子は衝突しなくなって(すなわち、粒子の平均自由行程がとても長くなり)、地球の影響外の太陽風の環境にだんだんと移っていきます。大気圏の上層部になると、大気の組成は古典的な流体ではない振る舞いに変わっていき、地磁気や太陽風といった電磁場の影響を強く受けます。この極端な人工衛星が軌道に乗るような環境では、“天気”は“宇宙天気”として表現され磁気流体力学(magnetohydrodynamics (MHD))の範疇となり、この本では扱いません。

温度[編集]

それぞれの層は独自の“温度分布”や高度に対する平均気温を持っています。地球の表面から対流圏を登るとき、あなたの周りの空気は冷たくなってゆきます。“対流圏界面”にいる間は気温は一定のままなのですが、成層圏を登り続けると気温は上昇していきます。中間圏では正反対になり、熱圏に入ると再び気温が上昇します。

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雲全般に関する章で習いますが、雲は対流圏と成層圏のごく低い部分でしか形成されません。極端な気温のため大気の上層では水分含有量が僅かしかないからです。雲の高度(高層、中層、下層)と言っても、対流圏より上には雲は行かないということがお分かりでしょう。