消費税法第28条
条文
[編集](課税標準)
- 第28条
- 課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。以下この項及び第3項において同じ。)とする。ただし、法人が資産を第4条第5項第2号に規定する役員に譲渡した場合において、その対価の額が当該譲渡の時における当該資産の価額に比し著しく低いときは、その価額に相当する金額をその対価の額とみなす。
- 特定課税仕入れに係る消費税の課税標準は、特定課税仕入れに係る支払対価の額(対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額をいう。)とする。
- 第4条第5項各号に掲げる行為に該当するものについては、次の各号に掲げる行為の区分に応じ当該各号に定める金額をその対価の額とみなす。
- 第4条第5項第1号に掲げる消費又は使用 当該消費又は使用の時における当該消費し、又は使用した資産の価額に相当する金額
- 第4条第5項第2号に掲げる贈与 当該贈与の時における当該贈与をした資産の価額に相当する金額
- 保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税の課税標準は、当該課税貨物につき関税定率法(明治43年法律第54号)第4条から第4条の9まで(課税価格の計算方法)の規定に準じて算出した価格に当該課税貨物の保税地域からの引取りに係る消費税以外の消費税等(国税通則法第2条第3号(定義)に規定する消費税等をいう。)の額(附帯税の額に相当する額を除く。)及び関税の額(関税法第2条第1項第4号の2に規定する附帯税の額に相当する額を除く。)に相当する金額を加算した金額とする。
- 第3項に定めるもののほか、第1項、第2項又は前項に規定する課税標準の額の計算の細目に関し必要な事項は、政令で定める。
- (平成6年12月2日法律第109号、平成9年3月26日法律第5号、平成25年3月30日法律第6号、平成27年3月31日法律第9号改正)
解説
[編集]本条では、課税標準について規定している。課税標準とは、消費税額を計算するための基礎となる金額をいい、消費税額は課税標準に税率を乗じて算出する。消費税の課税標準は、次のように区分される。
課税資産の譲渡等
[編集]課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(税抜)とする。「対価の額」とは、対価として収受し、または収受すべき一切の金銭または金銭以外の物もしくは権利その他経済的な利益の額をいう。
低額譲渡
[編集]法人が、譲渡時の時価に比べて著しく低い価額(時価のおおむね50%未満)で役員に資産を譲渡した場合の課税標準は、譲渡した資産の時価とする。
みなし譲渡
[編集]個人事業者が事業の用に供していた資産を家事のために消費・使用した場合、法人が資産を役員に対して贈与した場合について、これらの行為を一般に「みなし譲渡」といい、消費税法上、資産の譲渡とみなされる。
個人事業者が、棚卸資産を消費・使用した場合の課税標準は、(1)仕入金額、(2)販売価格の50%のいずれか大きい金額とし、それ以外の資産を消費・使用した場合の課税標準は、家事のために消費・使用した資産の時価とする。
法人が、役員に、棚卸資産を贈与した場合の課税標準は、(1)仕入金額、(2)販売価格の50%のいずれか大きい金額とし、それ以外の資産を贈与した場合の課税標準は、家事のために消費・使用した資産の時価とする。
特定課税仕入れ
[編集]特定課税仕入れに係る消費税の課税標準は、特定課税仕入れに係る支払対価の額とする。「支払対価の額」とは、対価として支払い、または支払うべき一切の金銭または金銭以外の物もしくは権利その他経済的な利益の額をいう。
課税貨物
[編集]保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税の課税標準は、関税定率法の規定に準じて算出した価格(CIF価格)と、消費税以外の消費税等の額と、関税の額に相当する金額の合計額とする。
資産の譲渡等に類するもの
[編集]上記のほか、消費税法施行令において、「代物弁済」「負担付き贈与」「金銭以外の資産の出資」「資産の交換」などの資産の譲渡等に類するものの課税標準を規定している。
参照条文
[編集]- 消費税法第4条(課税の対象)
- 消費税法施行令第45条(課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れに係る消費税の課税標準の額)
- 国税通則法第2条(定義)
- 関税定率法第4条(課税価格の決定の原則)
- 関税定率法第4条の2(同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定)
- 関税定率法第4条の3(国内販売価格又は製造原価に基づく課税価格の決定)
- 関税定率法第4条の4(特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定)
- 関税定率法第4条の5(変質又は損傷に係る輸入貨物の課税価格の決定)
- 関税定率法第4条の6(航空運送貨物等に係る課税価格の決定の特例)
- 関税定率法第4条の7(価格の換算に用いる外国為替相場)
- 関税定率法第4条の8(課税価格の計算に用いる資料等)
- 関税定率法第4条の9(政令への委任)
- 関税法第4条(課税物件の確定の時期)
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 松本正春 『消費税法 ―理論と計算― 〔8訂版〕』 税務経理協会、2019年7月1日。ISBN 9784419066277。
- 池本征男 『2訂版 裁判例からみる消費税法』 大蔵財務協会、2019年8月17日。ISBN 9784754726904。
- 熊王征秀 『消費税法講義録〔第2版〕』 中央経済社、2020年12月10日。ISBN 9784502370717。
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