「高等学校化学II/イオン交換樹脂」の版間の差分

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;イオン交換樹脂
;イオン交換樹脂
純水の製造や、溶液中の成分の濃縮に、イオン交換樹脂が用いられている。
純水の製造や、溶液中の成分の濃縮に、'''イオン交換樹脂'''(ion-exchange resin)が用いられている。イオン交換樹脂とは、溶液中のイオンを、べつのイオンに交換する樹脂である。

純水の製造には、海水の淡水化(塩水から飲み水にするということ。)や、他には工業用の純水化がある。
純水の製造には、海水の淡水化(塩水から、ま水にすること。)や、他には工業用の純水化がある。




== 陽イオン交換樹脂 ==
== 陽イオン交換樹脂 ==
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File:Styrene illust for highschool.svg|スチレン
File:P-divinylbenzene illust for highschool.svg|Pジビニルベンゼン
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[[File:陽イオン交換樹脂の構造.svg|thumb|500px|陽イオン交換樹脂の構造]]
スチレンC<sub>6</sub>H<sub>5</sub>-CH=CH<sub>2</sub> とp-ジビニルベンゼン CH<sub>2</sub>=CH-C<sub>6</sub>H<sub>5</sub>-CH=CH<sub>2</sub> を共重合化させると、立体網目状で、水には不溶の高分子が得られる。これを濃硫酸でスルホン化すると、スチレンのベンゼン環にスルホ基-SO<sub>3</sub>Hが導入される。
スチレンC<sub>6</sub>H<sub>5</sub>-CH=CH<sub>2</sub> とp-ジビニルベンゼン CH<sub>2</sub>=CH-C<sub>6</sub>H<sub>5</sub>-CH=CH<sub>2</sub> を共重合化させると、立体網目状で、水には不溶の高分子が得られる。これを濃硫酸でスルホン化すると、スチレンのベンゼン環にスルホ基-SO<sub>3</sub>Hが導入される。
この樹脂は、水溶液中では水素イオンを放出し、代わりに溶液中の他の陽イオンと結合する事ができる。このような、水溶液中では水素イオンを放出し、代わりに溶液中の他の陽イオンと結合する事ができる 樹脂を'''陽イオン交換樹脂'''という。
この樹脂は、水溶液中では水素イオンを放出し、代わりに溶液中の他の陽イオンと結合する事ができる。このような、水溶液中では水素イオンを放出し、代わりに溶液中の他の陽イオンと結合する事ができる 樹脂を'''陽イオン交換樹脂'''という。

2016年1月5日 (火) 00:58時点における版

イオン交換樹脂

純水の製造や、溶液中の成分の濃縮に、イオン交換樹脂(ion-exchange resin)が用いられている。イオン交換樹脂とは、溶液中のイオンを、べつのイオンに交換する樹脂である。

純水の製造には、海水の淡水化(塩水から、ま水にすること。)や、他には工業用の純水化がある。


陽イオン交換樹脂

陽イオン交換樹脂の構造

スチレンC6H5-CH=CH2 とp-ジビニルベンゼン CH2=CH-C6H5-CH=CH2 を共重合化させると、立体網目状で、水には不溶の高分子が得られる。これを濃硫酸でスルホン化すると、スチレンのベンゼン環にスルホ基-SO3Hが導入される。 この樹脂は、水溶液中では水素イオンを放出し、代わりに溶液中の他の陽イオンと結合する事ができる。このような、水溶液中では水素イオンを放出し、代わりに溶液中の他の陽イオンと結合する事ができる 樹脂を陽イオン交換樹脂という。 このスチレンとp-ジビニルベンゼンを共重合化させたものを濃硫酸でスルホ化させた樹脂は、陽イオン交換樹脂の代表的なものとして、よく用いられる。

使用して、陽イオンが水素以外と交換したものは、そのままでは交換能力を失っているが、この樹脂に希塩酸や希硫酸などの酸性の溶液を通すと、ふたたびスルホ基-SO3 に水素分子Hが結合した状態-SO3Hに戻り、陽イオンの交換能力を取り戻す。 使用済みの陽イオン交換樹脂が、陽イオンの交換能力を取り戻すことを、イオン交換樹脂の再生という。


陰イオン交換樹脂

ポリスチレン分子中に、トリメチルアンモニウム基-N+(CH3)3などの塩基性の基を導入し、さらに強塩基でアルカリ化して基を-N+(CH3)3OH- にしておく。

この基は、溶液中の陰イオンとOH- を交換する能力を持つ。このような樹脂を、陰イオン交換樹脂と呼ばれる。

使用済みの陰イオン交換樹脂は、水酸化ナトリウム溶液などの強塩基を通すことで、イオン交換が再生する。