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線形代数学/余因子行列

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
線型代数学
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余因子行列

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余因子

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正方行列に対して、 行列の行目と列目を取り除いて得られる行列をと表す。このとき、

余因子という。

余因子は、である。

余因子展開

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次のように、余因子を利用することで、行列式を求めることができる。

ただし、次正方行列である。

これを、余因子展開という。

証明

とする、このとき、

である、ここで、行列列目は、 と表すことができ、 (1)式は、 と、表すことができる。これに、行列式の性質を使えば、 である。

ここで、について考える。

この行列の行目と、行目を入れ替る。行目と、行目を入れ替える。・・・行目と、行目を入れ替える。という操作をすると、次のような行列になる。

行列の行または列を入れ替えると、行列式の値は倍されるのだった。この操作では、回の入れ替えを行うので、この式は、倍されている。

次に、同じように、列目と、列目を入れ替える。列目と、列目を入れ替える。・・・列目と、列目を入れ替える。という操作をする。すると、次のような行列になる。

であることについての説明は不要であろう。 これを、行列式の定義に従って展開する。

一行目で、(1,1)要素を選ばない項は、いずれ、一列目の0を選ぶので、0となる。 なので、一行目で、(1,1)要素を選ぶ項だけを考えれば良いが、これは、と一致する。 よって、この行列式は、である。


これを、(2)式に代入すれば、となり、証明された。

これと同様の議論を行にも行えば、もう一方の式も導くことができる。

余因子行列

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をAの余因子行列という。

余因子行列には、以下の性質がある。

証明

なので、 行列成分は、

である。


(i)のとき

(1)式は、行列列目に関して余因子展開をした式と一致するので、(1)式はのとき、である。

(ii)のとき

行列列目が行列列目になっている行列の行列式について考える。この行列式は以下のようになる。
この行列のi列目について、余因子展開を行うと、(1)式と一致する。
同じ列がある行列の行列式は0になるのだった。なので、(1)式は、のとき、0である。

まとめると、である。 よってである。同様の議論を行えば、も導くことができる。

逆行列の計算

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のときが存在するので、を右からかけで割れば、 である事がわかる。

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