財産犯総論
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財産犯総論
[編集]財産犯の保護法益
[編集]- 学説
- 本権説
- 所持説
- 242条の解釈
- 判例
- 大判大正7年9月25日刑録24輯1219頁
- 大判大正12年6月9日刑集2巻508頁
- 詐欺(最高裁判決昭和24年2月15日刑集3巻2号175頁)
- 私人の所持を禁ぜられている物に對する詐欺罪の成立
- 本件被害物件は元軍用アルコールであつて、かりにこれはいわゆる隠匿物資であるために、私人の所持を禁ぜられているものであるとしても、それがために所論のごとく詐欺罪の目的となり得ないものではない。
- 刑法における財物取罪の規定は人の財物に對する事實上の所持を保持せんとするものであつて、これを所持するものが、法律上正當にこれを所持する權限を有するかどうかを問はず、たとい刑法上その所持を禁ぜられている場合でも現實にこれを所持している事實がある以上社會の法的秩序を維持する必要からして、物の所持という事實上の状態それ自體が獨立の法益として保護せられみだりに不正の手段によつて、これを侵すことを許さぬとする趣意である。
- 恐喝(最高裁判決昭和24年2月8日刑集3巻2号83頁)
- 他人の所持する盜品に對する恐喝罪の成立
- 本件において被害者Aの持つていた綿糸は盜品であるから、Aがそれについて正當な權利を有しないことは明らかである。しかし正當な権利を有しない者の所持であつても、その所持は所持として法律上の保護を受けるのであつて、例へば窃盜したものだからそれを強取しても處罰に値しないとはいえないのである。恐喝罪にしても同様であつて、賍物を所持する者に對し恐喝の手段を用いてその賍物を交付させた場合には矢張り恐喝罪となるのである。
- 詐欺(最高裁判決昭和34年8月28日刑集13巻10号2906頁)
- 担保に供した国鉄公傷年金証書に対する詐欺罪の成立
- 国鉄公傷年金証書はこれを債権の担保に供することは法令上禁止され無効であるとしても、該年金の受給者がその証書を債権担保のため債権者に差入れた後債権者を欺罔して右証書を交付させたときは、刑法第242条にいわゆる「他人ノ財物ト看做」された自己の財物を騙取した詐欺罪が成立する。
- 窃盗(最高裁判決昭和35年4月26日刑集14巻6号748頁)
- 窃盗罪を構成する事例(譲渡担保)
- 譲渡担保にとつた貨物自動車の所有権が債権者に帰属したとしても、債務者側において引き続き占有保管している右自動車を無断で債権者が運び去る所為は、窃盗罪を構成する。
- 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反、窃盗(最高裁決定平成元年7月7日刑集43巻7号607頁)
- 自動車金融により所有権を取得した貸主による自動車の引揚行為と窃盗罪の成否
- 買戻約款付自動車売買契約により自動車金融をしていた貸主が、借主の買戻権喪失により自動車の所有権を取得した後、借主の事実上の支配内にある自動車を承諾なしに引き揚げた行為は、刑法242条にいう他人の占有に属する物を窃取したものとして窃盗罪を構成する。
財産犯の分類
[編集]- 領得罪と毀棄罪
- 移転罪と非移転罪
- 財物罪と利得罪(財産犯の客体を参照)
財産犯の客体
[編集]財物
[編集]- 学説
- 有体物説
- 管理可能性説
- 判例
- 大判明治36年5月21日刑録9輯874頁
- 東京地判昭和40年6月26日下刑集7巻6号1319頁
- 東京地判昭和59年6月28日判時1126号6頁
- 東京地判平成9年12月5日判時1634号155頁
- 不動産