銀河と分類
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銀河は何億もの恒星から成りその形状を維持している天体である。球状星団に似ているが質量をもつが電磁波では見えない暗黒物質を銀河は含んでいる。
銀河系[編集]
我々が住んでいる地球は太陽系にある。太陽系のある銀河を銀河系、または天の川銀河という。銀河系と銀河が紛らわしいためWikibooksでは特記のない限り天の川銀河を使用する。
天の川銀河の直径は約10万光年。その中心には超大質量ブラックホールがあり、太陽の300~400倍程度の質量を持つと言われている。このブラックホールは強い電波源であり、いて座A*と呼ばれる。
銀河の構造[編集]
銀河には特徴的な構造がいくつかある。銀河の中心のふくらんだ部分をバルジ、バルジを取り囲む円盤状の部分を銀河円盤、銀河を球状に包みこんでいる領域をハローという。
銀河系ではバルジには超大質量ブラックホールがあり、ハローには少ないものの球状星団などが存在している。銀河円盤の直径は約10万光年であるがハローの直径は約15万光年である。
渦巻腕[編集]

銀河のうち後に説明する渦巻銀河には渦巻腕といわれる特徴的な構造がある。これはその名の通り、渦巻銀河の渦巻を形成するものである。
※ここからは専門的な話になるので次のサブ節まで飛ばしてもらっても構わない。
宇宙には水素原子が多く存在するがよく見られる陽子1、電子1の水素原子を中性水素原子という。原子や電子はスピンという量を持つがスピンの向きが同じ時と違う時とではエネルギーの状態が異なるために遷移することがある。このとき放射される線を21cm線という。
1951年、中性水素原子から21cm線が放射されるのが見つかったため中性水素ガスの宇宙空間の分布を調べられるようになった。この水素ガスは渦巻状に分布していることが分かっている。
銀河の回転速度[編集]
天の川銀河の中は無数の恒星があるが、それは銀河中心の周りを公転している。太陽は銀河中心から約2.8万光年あるが、太陽の公転速度は約220km/s。1周するには2億年もかかる[1]。

銀河の回転速度は中心からの距離で変わるため、これを図にしたものを銀河の回転曲線という。銀河の回転曲線からは重力の分布を求めることができるが図でも分かるように予想値Aより実測値Bははるかに大きい。これは見ることのできないダークマターによるものと推定されている。
銀河の分類[編集]
銀河を分類する際はおもにハッブル分類が使われる。このハッブル分類はE4、Saなどとアルファベットと数字により表されるが、ここでは銀河を5つに大別した名称を用いる。
楕円銀河[編集]

楕円銀河はその名の通り楕円状の銀河で渦巻き構造がない。ハッブル分類ではEと表す。その後に扁平率の10倍[2]の数をつける。
レンズ状銀河[編集]

レンズ状銀河は楕円銀河と後に紹介する渦巻銀河の間の銀河である。楕円銀河に比べると扁平であり、渦巻銀河に比べると渦巻腕を持たない。ハッブル分類ではS0で表される。
渦巻銀河[編集]

渦巻銀河は円盤を持ち、渦巻腕を持つ銀河である。渦巻の形状でハッブル分類は異なり、Sa、Sb、Scがある。また、渦巻銀河のうち棒状の構造をもつものを棒渦巻銀河といい、ハッブル分類はSBa、SBb、SBc。棒渦巻銀河も合わせて渦巻銀河と呼ぶこともある。
不規則銀河[編集]

不規則銀河は上記の特徴を持たない、または持つがはっきりと区別できないものである。ハッブル分類ではIrr。
その他[編集]

銀河の中には普通とは少し違った特徴をもつものがある。これを特異銀河といい、それに似たもののハッブル分類の後ろにpecをつけて表す。
活動銀河[編集]
銀河の中でも中心から非常に強い電磁波を放出するものを活動銀河という。これは銀河中心の超大質量ブラックホールに物質が落ちて降着円盤と呼ばれるものを形成し電磁波を放出するためである。
電波銀河[編集]
ふつうの銀河よりも異常に電波を出す銀河を電波銀河という。その電波の強さは私たちの天の川銀河の1万倍にも及ぶ。
クェーサー[編集]
恒星のように見えるが大きい赤方偏移を示し強い電波を放出する天体をクェーサーという。クェーサーの明るさは天文学的には短い期間で変動する。
セイファート銀河[編集]

中心核が明るく、クェーサーに似た性質を持つものはセイファート銀河という。クェーサーの方が遠方にあり、セイファート銀河の方が比較的近い。